片道切符 最終地”あいりん”の冬
昨晩深夜のNNNドキュメント10を見た。
20年前、1日3万人が集まる日本一の日雇い労働者の街だった大阪・西成区のあいりん地区。そこが今、「日本一の生活保護の街」に変貌している。仕事や住まいを失った人たちが、片道切符で流れ着く最終地だ。生活保護を受け、自立を目指しながらも這い上がれない人…。「自分の葬式代くらいは自分で稼ぐ」と言って、夜な夜な空き缶拾いに精を出す人…。しかし、唯一この街で暮らす人が輝くときがある。それは、働いているとき。金を稼ぐためだけではない。社会の一員として自分がいることの誇り、生きがい…あいりんの長期取材を通して見えてきたものは、働くこととは何か、生きることとは何かという本質だった。
ボクはこの地域のすぐそばで生まれ育ったから、この地域のことはずっとみてきたけれども、その様変わりには驚かされる。人なつっこい、おっちゃんたちの姿は変わりはないけど、ここに暮らしていけなくなった、若者が流入しているというのだ。支援員の活動は、やはり頭がさがる。
ただ、番組を見ていて、その若者の姿のとらえ方は、もう少し突っ込んだものはほしいと感じてしまう。なぜ、若者が、働くということに動けなくなってしまっているのだろうかという問題だ。おっちゃんたちが働こうとするときの思いと、若者たちが働くとき、たちどまって動けないでいるのを単純に比較してしまえば、やはり若者は甘えているといしか見えない。それで若者の問題は解決するのだろうか。登場していた36歳の人は、大卒で、教員をめざしていたという。彼が、どんな育ちをして、どんな働き方をこれまでして、なぜ、立ち止まってしまうのか? 肉体労働を嫌っているとか、えり好みをしているといえば、それで終わってしまう。そうではない、問題のとらえ方をしていかないと、ほんとうに、動けない若者が、足を踏み出していくために必要なことということは見えてこないのではないのだろうか。
自分の子どもを見ていても、つくずく、”動けない”という問題を考えさせられてしまう。もちろん、しかったり、小言を言ったりしてしまうのだけれども。裏切られたり、期待通りにならなくても、よりそい、受けとめ、よく聞きながら、支えているということに支援員の活動の真骨頂もあるのだろうと思う。そういうところにも、光をあててほしいような気がしたけれども。
さて、今日の仕事は、座談会の集録。あとは、実務。仕上げなければいけない原稿がすすんでいないで、やや焦り気味である。
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