韓国併合への道 伊藤博文とアン・ジュングン
注目される「韓国併合」を描くNHKスペシャル、プロジェクトJAPANのシリーズがはじまった。第一回目の今日は、表題のタイトル。
第1回は、1910年の韓国併合。その歴史的評価をめぐって、今も日韓の間で議論を呼んでいる。その中心人物・伊藤博文について、最近、新資料が発掘された。伊藤は欧米列強との協調を重視し、一種の「自治植民地」も構想していたというのだ。
しかし、1905年、日露戦争の勝利を受けて、伊藤が韓国を保護国化した第2次日韓協約を結ぶと、大韓帝国皇帝・コジョン(高宗)と対立する。1907年、コジョンはオランダ・ハーグで開かれた万国平和会議に密使を派遣。協約が自らの意志に反すると訴えようとした。しかし、英米だけでなく、議長国ロシアも外交方針を転換、日本と協約を結んでいた。
このハーグ密使事件を機に、伊藤がコジョンを退位させると、激しい義兵闘争が起こる。そして、1909年、伊藤はアン・ジュングン(安重根)により、ハルビンで暗殺された。アンは獄中で「東洋平和論」を執筆、韓国、清、日本が「みな自主独立して行くこと」を考えていた。しかし、日本は韓国併合から大陸進出へと歩み出していった。
伊藤博文とアン・ジュングン、二人の軌跡を新資料で描き、韓国併合への道を国際的な視点から明らかにする。
感想は、どうか。
ある面は、この時期の歴史の流れはうまく追っている。武力による韓国併合の道は、朝鮮王妃暗殺事件などにもふれ、それなりに描かれている。一方で、朝鮮・韓国国民の抵抗の歴史も描かれる。
ただ、番組の構成が、保護国化以後から併合ということが中心に描かれていて、そもそも、保護国化に至る日本の意図というものはつっこんで描かれているとは思えない。ロシアの脅威だけが強調され、日本の対外膨張をともなった近代化についてはふれないし、この時期の韓国の近代化の模索も見えない。だから、第二次日韓議定書そのもののもつ問題が、表面的に両論併記をするだけで、結局、この問題の本質に迫れているとは思えない。
同時に、その後の歴史についても伊藤博文のある一面の主張に引きづられていて、伊藤が直面した矛盾の本質には迫っていない印象もうける。たとえば義兵闘争の描き方もちょっと表面的。結局、伊藤の視線から、日本というすすんだ国と韓国という遅れた国の関係では、日本が有意な位置にあるのは当然という見方を当然視する。そういう印象をぬぐえないのだけれども、どうだろうか。
もう一点。ここで紹介されていた、日本の研究者の主張も、日本の研究舎を代表するような主張とは思えない。この辺も、ちょっと気になる点でもある。
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