知る楽 歴史は眠らない ”貧困”国家 日本の真相 明治の貧困と闘った男
内橋さんが、日本の貧困の歴史をたどるシリーズの1回目。
明治維新は多くの困窮者を生んだ。新政府が財源不足から国民に新たな税負担を強いる一方、貧困対策をほとんど行わなかったためである。この状況に動き出したのが渋沢栄一(しぶさわえいいち)だった。実業家としてさまざまな企業の創設に関わり日本の近代化を経済面から支えた渋沢。しかしその一方で「東京養育院」という施設の院長となり貧しい人々に食事や寝場所を提供、その社会復帰の手助けに奔走したのだ。運営費を税金で賄っていた養育院が公金の無駄遣いと批判され廃止の危機に直面した時には、「困った人々を助けるのは義務である」と反論し、養育院を守った。しかし明治中期、貧しい工場労働者の権利を守る工場法の制定が議論されると渋沢は強く反対する。まだ産業界が発展途上のため、労働者の権利よりも産業育成を優先、貧困救済は個人が行うべきと考えざるを得なかったのである。明治の貧困問題に取り組んだ渋沢の苦闘を通して、日本の貧困問題の源流を探る。
日本の資本主義の父とも言われる渋沢栄一が、社会活動に積極的だったことは知られているが、貧困問題にこうも向き合ったのかという点ではなかなかおもしろい番組だった。同時に、その思想的な基盤は、やはり国を強くするということにある。貧困対策への否定的な議論への彼の反論は、先進的な面もあるが、同時に、そういう限界もよく見えてくる。
では、現在の貧困をめぐる議論は、思想的な基盤という点で、どれだけ、広がったのか。前進と限界と、いろいろなことを考えるべきなんだろうな、などと考えながら見た。
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