大学大競争:国立大法人化の功罪
今日から毎日新聞で、表題の連載がはじまった。のっけからショッキングな記事になっている。
寄付集め、東大も本気(毎日新聞)◇財源確保へ、基金増強
世界一高い電波塔を目指し、建設中の東京スカイツリーを望む東京大の本部棟(東京都文京区)。渉外本部職員の谷本知嘉子さん(30)の今の仕事は「東大に就職したときには想像もしなかった」内容だ。日々、卒業生名簿を見ながら電話を掛け、面会の約束を取り付ける。大学への寄付を依頼するためだ。
上司からは「週に5人会うのを目標に」とハッパをかけられる。だが、「実際に会えるのは10人に1人。会えても寄付してもらえるのはその一部。3勝7敗くらいかな」。東大病院の事務職員から学内公募に応じてこの部署に来て3年目。見知らぬ相手に電話を掛けるのは今でも緊張する。…
東大の寄付集めの姿も少し、驚きだけれども、地方大学の疲弊状態は目を覆うばかりだ。
当然、この額では満足な教育もできない。一番切ないのは、学生が好きな研究テーマを選べないことだ。研究室では、「お金のかからないテーマ」を選ぶのが暗黙のルール。高価な試薬や装置が必要な研究はしない。
財務省は、現場の教員からの悲鳴に対し、「運営費交付金は減ったが、科学研究費補助金(科研費)など競争的資金は大幅に増えた。全体で見てほしい」と反論する。だが、競争的資金には日本中の研究者が群がる。
「東京大のような大学と地方大は、そもそも出発点が違う。金も人材も少ない。同じ土俵で戦っても勝てるわけがない」と、男性教授はため息をついた。男性教授の研究室の顕微鏡は、15~20年前に買った。実験画像を録画するビデオデッキも20年前のものだ。「今は、昔の遺産で何とか生きている。だが、学生がふびん。学生が好きな実験ができるくらいにはしてほしい」
何よりも、「04~09年に三重大学長を務めた豊田長康・同大学長顧問が、国立大医学部の研究者による医学論文(基礎・臨床)の数を分析したところ、法人化前まで増えていた論文数が、07年は03年比で3%減少した。特に東大、京都大など旧帝国大7大学以外の落ち込みが大きく、同8%も減った。一方、旧帝大は同5%増えた」という指摘が、国立大学の危機の今を物語る。
にもかかわらず、OECDで最低の高等教育への公的資金の支出を増やす動きはない。教育・研究の裾野からの崩壊の先に、どんな日本の姿があるのか。空恐ろしい事実は、積み重なっていくのだけれども。
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