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2010/03/02

貧困の連鎖に歯止めを イギリスの取り組みに学ぶ

Img00063201003021842_2 今日は、夜は、さいたまの教育文化研究所が主催した、表題の学習会に行ってきた。日弁連の貧困と人権に関する委員会海外調査団による「イギリスにおける子どもの貧困対策」という報告。報告を森川清弁護士、質疑応答が岩重佳治弁護士がおこなった。このイギリスの子どもの貧困対策は、1999年にブレアが「子どもの貧困が撲滅される最初の世代になる」という誓約がはじまる。04年までに子どもの貧困を4分の1、10年までに2分の1、20年までに撲滅するという目標をたてた。実際に、97年から10年間で、子どもの貧困は50万人減っている。

 イギリスの貧困対策は、継続的なプログラムということに大きな特徴がある。生まれた直後のシェアスタートやチャイルドトラストファンドからはじまって、義務教育におけるエクステンデッド・スクールなどのサービス、13歳から19歳のコネクションズ、18歳から24歳の若者向けニューディールと続く。
 調査団は、それぞれについて、調査するために、子ども・家庭・教育省からはじまって、チルドレンズ・センターという子育ての支援のための施設、プライマリースクール(貧困地域の学校)、コネクションズ、そして社会的企業やIPPRやCPAGなどの民間組織など多岐にわたる。しかも、イギリスの貧困対策の最大の特徴である、社会調査をすすめている研究者などにも聞き取りをおこなっている。

 弁護士さんの調査なので大くくりの調査ではあるのだけれども、それだけに大きな特徴がよくわかる報告だった。
 イギリスも新自由主義が席巻した国である。が、なぜ、日本のと違うのか。どこがちがうのか。いろいろ感じたことがあるけれども、あまりにも、いろいろな問題がたくさんあって、なかなか自分でこなせないことろがある。肝心なポイントになるのは、国民的な合意をつくり出すような、国民的な運動(たたかいと言っていい)だろう。それを裏づけるのは、その合意をつくりだす説得力ある議論だ。この問題での認識のうえで歪みがあるのだから、社会調査による事実の提示というのがたぶん決定的なのだと思う。
 説得力ある議論とは何なんだろうか? 認識は、やっぱり根源をつくものでなければ説得力はない。が、同時に、多くの人が違和感をもたないものでなければならない。ボクらにとって大事なことは、根源にせまるうえでの説得的な議論をかかげながらも、議論は柔軟にということだろうか? ほんとうによく勉強して、しっかり議論を積みかさねなければならないことは痛感したのだけれども。

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コメント

 いつも貴重な情報ありがとうございます。日弁連の英国調査に関する情報に関心を持っていましたので、参考になりました。本日の記述を読ませていただいた範囲ですが、内閣府共生局による調査報告(宮本、乾、平塚各氏等参加)と共通する点がかなりあるように思いました。欧州の中で、英国はサッチャー政権による新自由主義的政策等もあったのでしょうか、子どもに関する施策に消極的と批判されていたそうですね。その点では日本と共通する面も多いのでしょう。ブレア以降の英国の施策に触れて、私なりに思うことは子どもの権利条約をはじめとする国際条約・国連決議・サミット合意事項等に対するスタンスが英国と日本ではかなり違うように思います。鳩山首相が先に行った所信表明演説でも、「発展途上国の飢餓や貧困」という文言はありましたが、日本の現状に対してはそのような認識はないように感じました。
 貧困撲滅、貧困と闘う等の強い決意が見られないのが、今の政権の特徴 点でもあるのでしょうか。運動で政府に迫ることが必要と思います。
 私どもの地域で、今年度中に実現しようと思っているのですが、北海学園大学経済学部教授伊藤淑子さんが2009年12月に『21世紀イギリスの子どもサービスー日本への示唆ー』ドメス出版(4、515円)を出版しました。伊藤先生からも学ぶ機会を企画したいと思っています。本は値段が高いので、中央図書館に貸し出しを申請したのですが、まだ購入されていませんでした。


 貴重な情報ありがとうございます。イギリスは、労働党政権下でも、やっぱり新自由主義はすすんだわけで、いろいろな問題をかかえながらの施策だと思います。が、だからこそ、よく知る必要があるのでしょうね。知り合いが、この間、イギリス留学をしばらくしていたりしていたので、いろいろ教えてもらおうとは思っているところです。
 伊藤さんの本もぜひ読んでみたいです。さっそく図書館で見つけました。

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