主婦パート 最大の非正規雇用
ボクらがちゃんと見ることができていない問題というのが多いということを痛感させられる。いかに、二〇〇〇年代の雇用の劣化の契機に、主婦パートというものがあったのか。製造業の場で、派遣労働が、基幹労働化されたという議論があるが、サービス業や流通業では、主婦パートが基幹労働化される。しかも、劣悪な実態で。帯には、主婦パートはなぜつらいということに関して、「大卒が増えても平均時給は男性正社員の半分以下」「パートなのに3人にひとりは週1回以上、残業」「パートタイム労働法 企業の罰則はたった10万円」「夫の1日の家事・育児時間、最短なのは主婦パートの夫・わずか28分」「4~6歳児の母親の3人にひとりは主婦パート」「主婦パートの34・6%がDV被害経験者」とある。根底には、安上がりの主婦パートをテコに、飽くなき儲けを追求する資本の論理がある。それが、企業経済の健全な発展そのものをむしばんでいることを、この本は告発している。
考えてみれば、日本の場合、ファストフードなどでは、基幹とまでいかなくても、重要な戦略として、高校生バイトが位置づけられ、無法も広がっている。こういう雇用の劣化が、全体として日本の雇用の劣化をつくりだしている。そのことそのものを変えていかないと、日本経済の歪みなどは解決しない。これは異常な事態だ。
ただ、この分野の研究そのものは、まだ緒に就いたばかりなのだと思う。議論はまだまだ荒削り。対策も、このパート労働を全体に位置づけながら考えないと、リアリティが出てこないし、社会保障のあり方も、子育て層全体の社会保障の不備を全体として問題にしないと、なかなか、社会的合意をつくって、変革にすすんでいくようには思えない。このあたりは、この本の提起を、受けとめながら、もう少していねいな、全体的な議論が求められるんだろうな。難しい問題が多いけど、しっかり考えなければいけない問題でもありそうだ。
今日のクローズアップ現代で、高校生の就職難をとりあげていた。就職難もそうだけど、あまりにもの労働条件の劣化にはおどろかされている。こうしたところにも、現在の日本経済の歪みの本質的な面があらわれているようだ。
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