愛を読むひと
結局、この映画もDVDで、やっと見られました。何とも言えない余韻が残る映画で、たぶんいろいろな解釈がされるのだと思います。しかも、その余韻は、決してうすっぺらではなく、深く、重い。こういうのって邦画ではなかなか、ないですよね。
1958年のドイツ、15歳のマイケルは21歳も年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)と恋に落ち、やがて、ハンナはマイケルに本の朗読を頼むようになり、愛を深めていった。ある日、彼女は突然マイケルの前から姿を消し、数年後、法学専攻の大学生になったマイケル(デヴィッド・クロス)は、無期懲役の判決を受けるハンナと法廷で再会する。
そのとき、彼は、ハンナの文盲という秘密に気づく。それが機能的なものなのか、経済的なものが中心なのかは分からないが、ハンナが、親衛隊に行き看守となるのも、彼の前から姿を消す理由もここにある。そして、事実とはちがう供述には反論しながらも、必要以上の罪を引き受けるのも。
ただ、それでも、彼は、「朗読者」(原題を正確に訳すと朗読する男か)であるしかなかった。そこに込められた、彼の思いや葛藤が切ない。
もちろん、ハンナの、ナチスの罪は、決して許されるものではない。では、まわりの、現代に生きる人間は、この罪にどう向きあえばいいのか。しかも、ハンナは、もっとも困難を強いられて生きていた人でもある。
(先週のETVで、「名前を書いた~吉田一子・84歳」というのをやっていた。字を書けないこと、読めないことの困難を思い知らされた番組だった)
彼が、最後に、彼女の人生を、自身の言葉で。
小説も読んでみたいですね。
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