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2009/12/02

番組紹介

 今度の日曜日には、ちょっと注目すべき番組がいくつかあります。

 まず、ETV特集で「障害者たちの太平洋戦争」。

 太平洋戦争の最中、日本は障害者たちを軍属、あるいは工場労働者として動員に踏み切っていた。視覚障害者は、敵機を見分ける「防空監視員」として、あるいはパイロットの身体をほぐす「技療手」として、そして軍需工場の労働者として・・。聴覚障害も工場労働者として動員された。戦前、差別に苦しんできた障害者の側も「国の役に立ちたい」と、政府や軍に協力を申し出た。障害者団体、障害者学校は軍に「嘆願書」を出し、戦地に赴いた。戻らぬ人もいた。
 障害者が太平洋戦争をどう闘ったのか、戦後は体験した障害者もどちらかと言えば口を閉ざし、語られることが多くはなかった。
 しかし、最近、筑波大学附属視覚特別支援学校の教員・卒業生たちが中心となって、当事者の証言を集め始めた。また、資料室からは戦争中の写真や文集が見つかり、障害者の戦争との関わりが明らかになってきた。「防空監視員」として視覚障害者を訓練するためのレコード(爆音で敵機を判別するなど)や教材も見つかっている。
番組では、視覚障害・聴覚障害などの戦争中の記録を発掘する動きをきっかけに、戦争の時代を障害者たちはどう過ごしたのか、どう戦争と関わったのか、新しい資料と証言に基づいて明らかにする。

 もちろん、障害者全体をあつかったものではないけれども、「防空監視員」の話などは近年の研究でやっと明らかにされたもの。ボクは戸ノ下達也さんたちの『総力戦と音楽文化』という本で初めて知った。ちょっと期待する番組。

 もう1つは、NHKスペシャル「真珠湾の謎~悲劇の特殊潜航艇~」。

 真珠湾の湾外、水深400メートルの海底で、3つに解体された日本軍の特殊潜航艇が発見された。このほど、NHKではアメリカの公共放送WGBHと共同で潜水撮影に成功した。魚雷は発射されていた。艦尾にはケーブルが残されており、何者かが移動させた可能性が高い。いったい誰が、何のために潜航艇を海底に移動させたのか?
 1941年12月の真珠湾攻撃では、5隻の特殊潜航艇が出撃していた。大本営は攻撃後、潜航艇が戦艦アリゾナを撃沈する大戦果をあげたと発表。なくなった9人の搭乗員は「9軍神」と称揚され、日本の特攻作戦の第一歩となった。しかし、実際には真珠湾内に潜入する前に発見された艇もあり、酒巻少尉は座礁後、捕虜になっていた。飛行隊隊長の淵田美津雄の回想録によれば、アリゾナの轟沈が飛行隊によることは皆知っていたが、特殊潜航艇を軍神として宣伝するため、手柄を譲るように求められたという。戦意高揚のプロパガンダであったというのだ。
 その後、5隻のうち4隻が発見されたが、今回、見つかったのは横山正治らが搭乗した5隻目と考えられる。横山艇はどのような運命をたどったのだろうか。
 番組では、真珠湾に沈む特殊潜航艇や戦艦アリゾナの潜水撮影に加え、日米海軍の証言者を取材。特殊潜航艇をめぐる日米の情報操作を明らかにする。そして、国家の戦略によって翻弄された特攻兵器の悲劇を描く。

 酒巻少尉の話は木坂順一郎先生が『太平洋戦争』で紹介されているのだけれども、その実相が明らかになるのかな。興味津々である。
 ただ、この2つの番組。同じ時間なので。Nスペの方は翌日再放送があるようですが。

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コメント

『障害者たちの太平洋戦争』は全障研の京都の方(岸さん)がずっと取材に協力されていたようです。
期待できそうですね。

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