それでも、日本人は「戦争」を選んだ
やっぱりベストセラーになっているから、いちおう読んでおこなければいけないのかなと思って、合間にぱらぱらと読み進めて、やっと読み終えた。
とにかくよく売れている本である。が結構、批判も多い。本のタイトルから類推されるが、この本は、あくまでも、時の、政治や軍事の指導者が、どのような意図で戦争をすすめたのかということについて、書かれているのであって、近代史やその戦争史の通史ではない。だから、当然、中国や韓国の側から見た問題は十分には示されていない。ただ、そういう限定をつけたうえで読めば、それはそれでおもしろい。それでも、韓国の侵略の過程などはそれとなくふれていて、さすがに、いろいろな意味で「バランス感覚」のある著者ならではのものになっている(だからメディアに重宝されるのだろうなあ)。でも、高校生相手の歴史の授業としては、一面疑問で、もう一面、高校生の関心をひきだしているかなとも。
国家戦略の話が中心にはじまるが、日中戦争以降は、かなり自説強調されるという感じはする。ボクはしろうとだからよくかわらなけれども、あまり強調されていなかったようなことが強調されていたりして。
そして日中戦争から太平洋戦争に向かうほど、話は細かくなる。
でも史料がたくさん示されていて、これはなかなか刺激的。もう1つは、いろいろな批判があるにしても、日本の侵略と植民地支配をベースにおいた実証的な歴史研究に根ざしたものにはなっている。伊藤隆の弟子の著者がこういう議論をしていることが大事だし、何が歴史和解のベースとなっていくのかということはそれはそれで教えてくれているようにも、思う。
政府サイドの日中の歴史共同研究は、最終盤なのだろうか? 最終報告が9月に延期になってどうなっtのだろうか? ただ、北岡さんや坂元さんが日本側のメンバーだから、最終的には近現代は、十分なものにならないだろうと予想される。そのために、政府サイドと平行して、民間レベルで、この加藤さんなどの参加した共同研究がおこなわれているという話を、ずいぶん前に聞いたことがある。そのとりくみも気になるところだし、期待したいところなんだけれども。
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