「アメとムチ」の構図――普天間移設の内幕
普天間のことをもう少し知ろうと思って、いろいろと読んでみる。そんななかで、見つけたのがこの本。佐藤という沖縄施設局長のメモをもとに、沖縄タイムスで連載したもの。04年から08年ぐらいの期間の、ほとんど、推進派の動きが明らかにされている。もともと、辺野古の移設案をめぐる数々の取引など、東京の全国紙ではまったくといっていいほど報道されない。だからわかりずらい内容が、ならんでいるわけだけれども、豊富な注とあわせて読めば、いろいろと整理されてくる。その姿は、これまた驚くほど醜い。防衛庁、内閣府、県、名護市、県財界のさまざまな思惑とやりとりが、どろどろした利権をはさんで繰り広げられる。その中心にいたのが、守屋次官だったことはいまさらながらいろいろ考えさせられる。妥協と繕い。そこには、県民の切なる願いにどうこたえるのかなどの考えはまったくといっていいほど存在しない。
読んでみると、なぜ、今度の選挙で自民党がすべての選挙で負けたのかということがよくわかる。結局、ここ数年繰り広げられてきた政治劇は、決して、県民と基地との分かちがたい矛盾を解決するようなものにならなかった。この路線が破綻したということだろう。だから、鳩山さんは、選挙中、あのような発言をしたのだろうし、もし、民主党政権がそのことを裏切れば、政治は再び県民から厳しい審判をうけることになるに違いない。だから、この問題の解決は、東京の新聞が描くように容易ではない。そのことを教えてくれるような、愚かな政治劇の顛末である。
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