アメリカはなぜ変われるのか
少し前に出た本。やはり少し前に読み始めて、何度か中断しながら、読み終えた。
アメリカの現在をどう見ればいいのかというところから、読んだ本。マスメディアの報道なども見ていると、オバマ政権は立ち往生しているように見える。①金融破綻からの回復のうえでも障害、②そもそもの実体経済の上でも疲弊と国民生活を守るうえでの欠陥、そして③外交政策のうえでも国防総省・軍の抵抗などなど。たしかに、さまざまな障害に直面しているのは事実だけれども、どうも日本のメディアは表面のあれこれしか報道していないように思えてくる。
本については、ちくまのHPに次のような紹介がある。
アメリカ合衆国は、建国以来、数十年周期で大変革をもたらす大統領選挙を経験してきた。それにより国家的危機を乗り越えてきたのである。初の黒人大統領となったオバマの奇跡も、そうした地殻変動として位置づけられよう。格差拡大、金融危機、戦争の常態化、移民の急増とミレニアム世代の台頭…本書は、こうした米国のリアルと、草の根の力に支えられ大躍進したオバマの選挙戦とを丹念に取材。オバマ現象の背景にある、変化を引き起こすアメリカの底力を浮き彫りにする。
この本を読んでいて、思ったのは、やはり、アメリカのいまの考えるうえでも、オバマ政権がなぜ生まれたのかということを考えることは大事だということ。アメリカ初の黒人大統領ということのもつ大きな意味を。
オバマを生み出したのには、オバマの選挙の新しさというものがある。その内容から学ぶことが多いことは事実だけれど、そのことが大きな力をもったのは、現在のアメリカの深い矛盾というものが横たわっている。そうした矛盾を政治的表出させたことに先の新しさがある。その意味では、これまでの2大政党制と小選挙区制という形での、アメリカの政治制度が封じ込めてきたものが大きな転機を迎えているかなとも思ったところである。
外交の変化という点でも、その背景には、アメリカの深い矛盾があるのだと思う。なぜ、イラク戦争への批判がアメリカ社会のなかでここまで広がったのか。それは戦争の泥沼化にはとどまらない問題がありそうだ。核兵器廃絶の発言以外で言えば、強固な、軍や国防筋の抵抗があり、なかなかオバマはそこに踏み込めきれないでいる。であるけれども、アメリカの深部から、大きな変化を求めるうねりがあるのなあらば、今後のアメリカは、どのようにすすんでいくのかは、また興味深い。
楽観視はしていないけれども、大いなる関心事である。
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