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2009/10/21

学力テスト体制とは何か―学力テスト・学校統廃合・小中一貫教育

 新政権では、学力テストの悉皆方式から抽出方式への見直しがすすむ。先日には、こんなニュースもあった。

全国学力テスト:抽出40% 費用30億円に圧縮--文科省調整(毎日新聞)

 来年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)について、文部科学省が、小6と中3の40%程度を抽出して実施する方向で調整していることが分かった。対象の教科と学年は現行方式を維持するが、11年度以降の拡大を視野に入れ、調査費を含めて来年度予算の概算要求に計上する。採点や発送などのコスト削減で、今年度は58億円かかった費用が約30億円にまで圧縮可能となる見通し。
 ……一方、対象から漏れても、希望すれば参加が可能な仕組みとする方針。その場合、模範解答を元に各学校が採点することになる。「希望参加」を自治体ごとで認めるか、学校に認めるかは未定。
 全員対象の学力テストは64年を最後に打ち切られ、07年度に復活。80、90年代に何度か実施された全国テストは抽出率が1%程度だった

9f9056efc87bcadc90aad6bbc134f64d802 90年代より本格的にくり広げられた新自由主義「改革」は、「小泉改革」の結果、大きな破綻に直面している。その見直しの流れのなかに、この見直しもある。この本でも指摘しているけれども、犬山1つ、参加しなかったことが、学力テストによる、学校評価体制の大きな風穴をあけるものであったことを考えると、この悉皆から抽出への変更は、画期的なものということもできる。
 もちろん、さまざまな識者が指摘しているように、40%という抽出は、全数調査に近いものができるような逃げ道を残すということは、そのとおりだと思うけれども、この数はどう考えても根拠のあるものとは思えないから、常識的に考えて、事業仕訳けに引っ掛かって、さらなる見直しということになるような気がするのだけれども。
 ただ、2つの点で、新自由主義的な改革の尾っぽをひきづっているということは、よく見ておく必要があるのだろうと思う。つまり、40%といういかにも中途半端なものになっているのも、政権の内部に、従来型の教育改革を推進することを望んでいる人が(たぶんあの人?)いるのだということを想像させるし、そもそも、学力テストを中心とした、競争を強化し、上からの評価による統制と管理をおしつける体制の全体が見直しの対象になっているわけでは決してない。
 もう1つは、地方の問題。実際には、地方が「教育改革」推進の旗振り役をになってきたことが少なくないわけで、そこがどう変わっていくのかを注視する必要がある。東京で教員をやっている知人が、社会の変化を見ながら、現場は、「一周遅れの感じで学校は、教員も走らされている」と言っていたが、まだまだ、深刻な事態が広がっているのだ。
 だからこそ、この本で明らかにされているような、「教育改革」が全体として、教育をどのようにしようとしていたのかをもう1度、よく確認しておくことが、いま、いっそう重要になっているようにも思える。とりわけ、学校統廃合や小中一貫教育は、いまなお、矛盾を広げ、紆余曲折をへながらも、すすめられようとしているのだから、その実態や、それらをめぐっての言説や俗論について、1つひとつ、問題を確認しておくことが大事なのだと思う。
 学テの見直しは、第一歩である。これをさらに前にすすめるためにも、とても学ぶことが多い本だと思った。

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