人生最初の社会保障
紹介をしていたNHK福祉ネットワークで、3日間、「子どもサポートネット シリーズ『人生最初の社会保障』」が放映され、3日間とも見た。
1日目は、「保育所に入れない」と題して、「保育所に入所できずに待機している子どもの数が増え続けている。今年は2万5千人あまりと去年より30パーセント近くの増加となった。このことが子どもたちに何をもたらしているのか。保育所不足によって追いつめられる親と子の姿を通して“子どもの貧困大国”日本の厳しい現実を見すえる」というもの。母子家庭で経済的にきわめて困難な状態にあるが、働くにも保育園に入れないという人をおいかけていた。
2日目は、「“認定こども園”を知っていますか?」と題して、「幼稚園と保育所の機能を一体化し、3年前にスタートした『認定子ども園』。保育所待機児童の受け皿として期待され、2011年度までに2000か所の設置が目標とされたが、実際には今年の4月で350か所あまりで国の思惑ほどは数が増えていない。どこに壁があるのか?認定子ども園の現場から、現状と課題を考えていく」というもの。この制度がつくられたとき、少なくない保育関係者が反対したが、その際、懸念された保育内容の低下や、財政的な支援の問題など、十分検証されたわけではなかった。
3日目は、「緊急提言 “力強いスタート”を」と題して、「幼い子どもたちの育ちを支えるために、いま何が必要なのか?1,2回目で提起された問題点を踏まえ、海外の取り組みや新政権の子ども政策も見すえながら話し合う」というもの。OECDの「ストロング スタート」というとりくみの紹介、スウェーデンの待機児もいない手厚い保育制度との比較はおもしろい。
なぜ、今度の選挙で、子育て支援が、選挙の争点になったのか。その背景の1つには、まちがいなく、子育て世代の経済的な困難が急速に拡大したことがある。この世代はとりわけ、このままではどうにもならない経済的困難な状況にある層が急激にひろがった。一口に「国民生活が第一に」と言っても、ここの問題を解決しないと、それは見にみえてあらわれない。その子育て世代の困難がまず、第一回目には焦点があわされる。
ただ一回目は、そうした問題と、待機児童の増加という問題が、十分わかりやすくむすびつけられたかという点は、不満。求められる子育てのなかで、この待機児童の問題がどういう問題なのか? そのために、この問題にはどんな問題が背景にあり、解決が必要なのか、消化不良ではあるのだけれど。
2回目は、認定こども園の紹介に終始した観がある。でも、考えてみれば、実際に、はじまったこども園そのものがどうなっているのかは知られていない。よくわかったのは、制度がつくられたあと、すべて現場に問題が押しつけられているということ。現場の関係者の奮闘と努力のみでこの制度は成り立っているのか。
3回目は、ほんとは、海外取材がほしいところ。それでも日本の異常さは際だつ。OECDのとりくみが経済の効率性の点からもすすめられているというものおもしろい。問題なのは、北欧のとりくみにしても、それが、個別におこなわれているのではなく、大きな流れとなっていること。その背景というか、象徴というか、には子どもの権利条約があり、日本はこの条約を批准しているということ。そのあたりはもっと踏み込んでもいいのではないのかな。
関係者がみればいろいろ不満はあろうけれども、総じてはまじめにつくられているとは思うけれど。
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