戦場のラブレター 玉砕の島で拾われた手紙
戦争物が並ぶけれど、いい番組が多い。NNNドキュメントのこの番組は、小作品ながら、ていねいにつくられている。
戦地の夫に宛てた手紙が60数年ぶりに妻の手に戻った。「坊やが貴方のことを尋ねますの。(中略)お父ちゃんどうぞお元気で最後までガンバッテ下さい」硫黄島で手紙を拾った元アメリカ兵が「差出人を探して返してほしい」と友に託したものだ。妻・きく枝さんは89歳。心臓病に加え痴ほうが進行しているが毎朝、夫の遺影に手を合わせることは忘れない。手紙に登場する「坊や」も65歳。手紙を見て涙が止まらなかった。遠くを見つめていたきく枝さんがひと言つぶやいた。「手紙よりもあの人に帰ってきて欲しかった…」奇跡的に遺族の元に舞い戻った手紙が、伝えるものは何か?
大事なことは、その歴史の一コマ一コマに、ある名前をもった人間が生きていたということだ。戦争の体験者にも顔がある。その人の人生から見えてくるもの、そこからくみ取らなければならないことがある。そんなことを感じた。1つの家族と硫黄島の玉砕の物語である。
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