戦争とラジオ 第一回 放送は国民に何を伝えたか
昨日のETV特集。
戦争とラジオ 第一回 放送は国民に何を伝えたか
太平洋戦争の時代、ラジオ放送の現場にあった人々は、あるべき放送をどう模索し、何を国民に送り届けていたのだろうか。最近掘り起こされた資料から、それを明らかにすることが初めて可能となった。戦時中、日本放送出版から刊行されていた月刊誌「放送」及び「放送研究」には、放送の第一線にいた人々の座談会や、各セクションの戦略、主要番組の放送原稿などが採録されている。また、メデイアを統制していた内閣情報局が、出していた「放送しるべ」からは、国家が放送をどうコントロールしようとしていたかを読み取ることができる。
戦時下、ラジオ放送は、国策伝達の手段であることを免れえなかった。新たな資料からは、報道・教養・演芸などの各現場で議論を尽くし、時代の要請を実践してゆく様がありありと浮かび上がってくる。 番組では、雑誌「放送研究」をはじめとする活字資料、わずかに残された音声資料、そして当時、放送業務に携わった人々の証言を立体的に構成し、戦時下ラジオ放送の実像に迫る。
戦争と新聞の問題などは、いくつかの研究書などを読んだことはある。けれど、放送については、これまで、話に聞くぐらいで、ほとんど知らなかった。そもそも、資料がほとんど残されていないという実情があるのだろう。当時の、放送業界の雑誌や、かろうじて残された録音をもとに、番組は検証する。
最初から、国策にもとづき、国策の遂行ということを意識して、日本の放送というものが成り立っていたということがよくわかる。それが、太平洋戦争期になると、いっそう極端に、新聞など他のメディア以上に、国民を動員する柱となっていく経過もよくわかった。
でも、体験を語っている人たちの証言を含め、深い後悔というものが感じられないのはどうしてなのだろうかと感じてしまう。ほんとうになぜだろうか。
やはり、放送がはたした役割というものについての検証は、まだまだこれからだと感じた。もっと以前、日本が戦争をすすめていく国家を形成していく過程からさかのぼって、ほんとうに放送の初期にさかのぼって、どのような役割をはたしたのか、具体的に検証する必要は感じる。
また、圧倒的な影響力の大きさである。一つ一つの放送が、どのように国民の影響をあたえていったのかということも、もっと迫って検証してほしい。たとえば、番組でも出ていた、少年兵の問題などがそうだ。そういったことがないと、ほんとうの教訓は見えてこないようにも思える。
「放送研究」という雑誌に掲載された座談会の再現や、残された録音から伝わってくることも少なくないし、はじめて知ったこともあるけれど、もう少し、歴史の中に、そのことを置き直して、そこから見えてくるもの、見なければいけないものを探ってほしかったというのが、正直のところである。
« 政権交代意識、質問が様変わり 6政党の党首討論会 | トップページ | 核兵器廃絶について語りたい »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『自由光州 —1980年 5月—』『はじけ鳳仙花 —わが筑豊 わが朝鮮—』と「太陽の運命」(2025.05.05)
- WOWOWシネマのラインナップ。「国際市場であいましょう」からはじまって、「光州5・18」「1987 ある闘いの真実」「KCIA 南山の部長たち」そして「ソウルの春」(2025.05.04)
- 玉木雄一郎氏 日本経済復活へ“働きがい改革”提唱 「残業減らそうみたいな話だけど、私はむしろ…」(2025.05.01)
- 「“権力”と性暴力」(2025.04.28)
- 戦犯死刑囚 スガモプリズンの日々(2025.04.26)
「平和」カテゴリの記事
- 「日本軍は県民を殺していない」 沖縄戦を巡り参政党・神谷代表 自民・西田氏の発言に同調 青森で街頭演説(2025.05.13)
- 旧日本軍の元従軍慰安婦が死去、生存者は6人に…韓国政府「残された被害者の名誉回復に尽力する」(2025.05.12)
- 体験談を積み重ねて見いだした「軍隊は住民を守らない」 平和教育の専門家、西田氏の「謝罪」による沖縄ヘイトを危惧(2025.05.10)
- 自民・西田議員、「歴史の書き換え」発言を削除 「非常に不適切だった」と沖縄県民に謝罪(2025.05.09)
- 在日米軍 性的暴行2070件 横須賀突出 半数は沖縄県内 8年間の申告数(2025.05.08)
「メディア」カテゴリの記事
- 体験談を積み重ねて見いだした「軍隊は住民を守らない」 平和教育の専門家、西田氏の「謝罪」による沖縄ヘイトを危惧(2025.05.10)
- 自民・西田議員、「歴史の書き換え」発言を削除 「非常に不適切だった」と沖縄県民に謝罪(2025.05.09)
- 「玉木首相」なら即解散? 「地下アイドル」脱した党首が目指すもの(2025.04.29)
- NHK 「ETV特集」再放送延期&配信停止は「取材を深めた上で、改めてお伝えしたい」(2025.04.19)
- 日米の国防、防衛大臣会談、予算成立へ、フジの第三者委員会などなど(2025.03.31)
「政治」カテゴリの記事
- 自民、参院選公約に「消費減税」盛り込まず 財政重視をアピール(2025.05.14)
- 「日本軍は県民を殺していない」 沖縄戦を巡り参政党・神谷代表 自民・西田氏の発言に同調 青森で街頭演説(2025.05.13)
- 旧日本軍の元従軍慰安婦が死去、生存者は6人に…韓国政府「残された被害者の名誉回復に尽力する」(2025.05.12)
- 6月号ができています(2025.05.11)
- 体験談を積み重ねて見いだした「軍隊は住民を守らない」 平和教育の専門家、西田氏の「謝罪」による沖縄ヘイトを危惧(2025.05.10)
「歴史」カテゴリの記事
- 旧日本軍の元従軍慰安婦が死去、生存者は6人に…韓国政府「残された被害者の名誉回復に尽力する」(2025.05.12)
- 体験談を積み重ねて見いだした「軍隊は住民を守らない」 平和教育の専門家、西田氏の「謝罪」による沖縄ヘイトを危惧(2025.05.10)
- 自民・西田議員、「歴史の書き換え」発言を削除 「非常に不適切だった」と沖縄県民に謝罪(2025.05.09)
- 在日米軍 性的暴行2070件 横須賀突出 半数は沖縄県内 8年間の申告数(2025.05.08)
- 自民・西田氏の「ひめゆり歴史書き換え」発言、県議会が抗議へ 自民県連の動向注目 沖縄(2025.05.06)
コメント