バンキシャ! 検証番組
昨日の夜中、日本テレビの報道番組「真相報道バンキシャ!」の、岐阜県庁などの裏金誤報問題を検証する番組が放送されていた。仕事がら、眠い目をこすりながら、見た。
だいたい、0:50という時間からの放送というのはどういうことだろうか。もちろん、夕方6時台にダイジェスト番組を放映するという措置をとったということだけれども。もともと、この問題は、テレビの「報道」の根幹にかかわるものだ。誤解をおそれずいえば、視聴者がまゆつばで見る、バラエティにおける”誤報”とはちがう。しかし、真摯に、その誤りについて、視聴者の前に明らかにするという点で、まずどうなのだろうか。
そこで、その内容である。「バンキシャ裏金報道」検証報告書が公表されているので、これを見ればそのポイントはわかる。
ボクは、番組を見ていて、登場してお詫びする、局幹部、番組制作幹部たちの発言が、何か、他人事を言っているようで、どうも気持ちが悪かったけれど、どうだろうか?
それなり、経過は明らかにされているのだろうし、そこで何が問題なのかということを明らかにされてはいる。だけど、その内容は、どう考えても、あまりにも「報道」としては初歩的な問題で、それができなかったことを反省する。今後は誤りがないように教育を強めるといわけれても、もう1つ説得力がないのだ。
それに、今度の検証番組は、BPO(放送倫理・番組向上機構)放送倫理検証委員会からの勧告で作成されたものであるのだけれど、番組は、その上塗りをしているような印象になってしまっているのだ。
この問題の背景には、安易な下請け発注をおこなうテレビ局の姿勢、そこにある、コストカットという問題があることはすでに多方面から指摘されている。もちろん、下請けがつくるものが粗雑だというのではなく、極端なコストカット、劣悪な労働条件という問題は、報道のありようの劣化と不可分な問題ではないのだろうか?
そして、この問題は、現在、経営危機のもので、お金のかからない番組をすすめるテレビのありようにかかわる問題でもある。そこで、ジャーナリズムとしての報道は維持されるのか?
しかし、検証番組では、そんな指摘はなかった。
もちろん、BPOの勧告は重要なものではある。しかし、同時に、放送局自身が、検証するのだから、さまざまな意見を聞きながら、自己検証するべき問題はないのだろうか? 労働組合や監視的な市民団体などの意見に耳を傾ける力量というのは、ないのだろうか?
ここには、ジャーナリズムとしての深い問題があるような気がしてならないのだけれども、番組を見た人は、どのような印象をもったのだろうか?
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