“生きづらさ”の時代の保育哲学
北陸への帰りとかで、中西さんの新著を読み始めた。講演などをベースにしているので、中西さんのものにしてはわかりやすい(笑い)。
格差と貧困のひろがり、消費文化の広がりなど若者の生きづらさの広がりの中で、一方で、すすめられる保育の「構造改革」。今度の選挙は「子育て」をどう応援するのかが大きな争点になっているが、では、本当に応援するということはどういうことなのか、とても考えさせられる。
一言で言えば、子育ては親が努力するべきだという根強い考え方がある。もちろん、一面それはそうでもあるのだけれど、家庭にのしかかっている困難は、そんなに生やさしいものではない。むしろ、過度な評価にさらさえ、自己責任でしばりあげられる。そのとき、保育や子育て全体を、市場のうえにのせようとしたのが、自・公の「改革」であろう。彼らが言う「就学前教育の無償化」もその方向のうえにある。では、民主党はどうか、簡単に言えば保育園の設置基準など国の法律や政省令で定められている基準を廃し、地方の実情に合わせて条例により基準を設けることができるよう関係法の改正も進めるというものだ。これは実は、財界の言っていることと同じでもある。保育のナショナル・ミニマムを捨て去るという方向だ。子ども手当も、こういう方向で、子育て政策がすすめば、バウチャーと同じように、市場化の促進の方向に役割をはたすということなのだろう。とても心配な方向である。
総選挙の政策を、ていねいに読み解かないと、「構造改革」はいっそうすすみ、子育ての困難・自己責任は拡大するということは、心すべきだと思う。ちゃんと、メモをとったりしないといけない。
さて、中西さんの著作の2章は、若者の今。ただ、雑誌連載を編集したもので、ぶつ切れという印象があり、ちょっとものたりない。提起されている問題は、これまでもいろいろなところで、中西さんが議論してきたものだけれど、すこし、つめて考えないといけないと思った次第。
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