ビルマ 濁流に散った敵中突破作戦 ~徳島県・歩兵第143連隊~
シリーズ証言記録 兵士たちの戦争が、数年前からNHKで随時放映されている。日頃は、BShiで放映されているわけだけど、それを見る条件にないボクは、いつも夏の地上波での再放送で見ている。今年も、昨日から、その再放送がはじまった。昨日は、このビルマの話と、沖縄の鉄血勤皇隊。とにかく深夜の放送なので、1本しか見れなかった。
この「ビルマ 濁流に散った敵中突破作戦 ~徳島県・歩兵第143連隊~」は、NHKが出版している、このシリーズ本の、最新刊の冒頭にも掲載されている。
ビルマに侵攻し、そして英米の反撃に対応するための無謀な作戦(インパール)の失敗で、取り残された兵士たちが、膨大な犠牲を出しながら、敵中突破する話である。日本の戦後の平和意識が、こうした無謀で、非人間的な戦争の惨劇にもとどいたものであることは、このシリーズを何度見ても痛感させられる。最後に、生き残った兵士が言う言葉、「兵隊は1銭5厘。消耗品」という言葉が痛烈だ。
兵士たちが、いま語りはじめている。それは風化し始めた、日本の平和意識を、もう1度再確認していくうえでも、大きな意味をもつのであろうと思う。そして、ボクはもう1つ注目していることがある。たとえば、ビルマは、最初、日本が侵攻したとき、イギリスに対する解放軍として日本を迎え入れた。ところが、戦争を通して、住民たちは離反していく。たぶん、いろいろな残虐行為もあったのだろう。この番組でも、日本兵がいた村は、去った後、何も残らなかったことが、語られている。補給路をもたず、すべて現地調達に頼った日本軍は、どこでも略奪の限りをつくしたのだろう。戦後、こうした加害の事実と、日本は必ずしも向き合ってきたわけではない。むしろ、戦争だから仕方がないと、その記憶を封印してきて、国民的な共通の認識にはなっていなかった。体験は封じ込められてきたのだ。
では、この兵士たちの語りは、その封印を解き放ち、新しい国民の認識をつくっていくのだろうか。そうなっていかなければならないとは思うのだけれど。
今回の集中再放送の予定は:8月4日(火)~8月9日(日)総合
8月4日(火)
午前0時45分~1時28分 ※3日(月)深夜24時45分~
証言記録 兵士たちの戦争 「ビルマ 濁流に散った敵中突破作戦 ~徳島県・歩兵第143連隊~」
午前1時29分~2時12分 ※3日(月)深夜25時29分~
証言記録 兵士たちの戦争 「戦場の少年兵たち ~沖縄県・鉄血勤皇隊~」
8月5日(水)
午前0時45分~1時28分 ※4日(火)深夜24時45分~
証言記録 兵士たちの戦争 「中国雲南 玉砕・来なかった援軍 ~福岡県・陸軍第56師団~」
午前1時29分~2時12分 ※4日(火)深夜25時29分~
証言記録 兵士たちの戦争 「フィリピン・シブヤン海 戦艦武蔵の最期 ~横須賀海兵団~」
8月6日(木)
午前0時45分~1時28分 ※5日(水)深夜24時45分~
証言記録 兵士たちの戦争 「人間魚雷 悲劇の作戦 ~回天特別攻撃隊~」
午前1時29分~2時12分 ※5日(水)深夜25時29分~
証言記録 兵士たちの戦争 「東部ニューギニア 絶望の密林戦 ~宇都宮・歩兵第239連隊~」
8月7日(金)
午前1時35分~2時18分 ※6日(木)深夜25時35分~
証言記録 兵士たちの戦争 「重爆撃機 攻撃ハ特攻トス ~陸軍飛行第62戦隊~」
午前2時19分~3時02分 ※6日(木)深夜26時19分~
証言記録 兵士たちの戦争 「中国戦線 大陸縦断 悲劇の反転作戦 ~福島県・歩兵第65連隊~」
8月9日(日)
午前1時55分~2時38分 ※8日(土)深夜25時55分~
証言記録 兵士たちの戦争 「従軍看護婦が見た戦争」
午前2時39分~3時22分 ※8日(土)深夜26時39分~
証言記録 兵士たちの戦争 「インパール作戦 補給なき戦いに散った若者たち ~京都 陸軍第15師団~」
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