強いられる死 自殺者三万人超の実相
久しぶりに斎藤貴男さんの本を読んだ。よくもまあ、こんな過酷な取材を続けたものだと、それだけで頭がさがる。
自分自身、そんなに強い人間では決してないから、いつもくじけそうになりながら生きている。でも、こんな本を読むと、心の底から、怒りの感情がわき出てくる。強いられた死を強制する、日本社会のみにくい姿が浮き彫りになる。だから、こんな社会をボクは許すことはできないと、強い思いに駆られる。
そのとき、憲法を思い出す。25条もそうだけれど、その根底にある13条には「すべて国民は、個人として尊重される」とある。これを、一人の人間としての尊厳を大事にするということととらえたい。日本は、どうして、ここまで、人間としての尊厳を踏みにじるようになってしまったのだろうか。その再生の道筋を、自分の目で見つめたい。
本そのものは、歯切れの悪さという批判もなりたつ。何を問いかけるのか? では、どうするのか? そこが明示されているわけでは必ずしもない。もともと、斎藤さんはこういうものの言い方をしたのかなあなどとも考える。
でも、受けとめる人間は、社会や政治を問いかけるしかない。
最後に1つ。中小企業の経営者の自殺の防止のとりくみに、生命保険の解約をすすめるということがあるそうだ。それを読んだとき、感じたこと。二男が大学に入学したとき、加入した生協の学生保険には、保護者死亡の際の、学費保障の特約があった。私学の学費がはっきりいって、極端に高額である。もし、自分が仕事を失ったり、病気になったりしたら、死を選べということかと感じた。四年前の長男のときには、こんな特約はなかった。もしかしたら、子どもの学費のための自殺というものも、今後、日本では増えるのだろうか? そんなことを感じさせた。
現実に、自殺を誘発する穴が、この日本の政治と社会には、大きく開いている。
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