私は貝になりたい
今日は、実務をすすめる日です。少し、掃除もしましたが、資料が山積みの机のまわりはいっこうに整理されません。
早めに家に帰って(と言っても、9時はすぎますが)、実は、見ていなかったこの映画のDVDを見た。
中居くんは、案外、よくがんばっている。戦争や軍隊の理不尽さや、主人公のやるせなさ、切なさ、痛々しさもよくでていて、泣かせる。心のそこから戦争は許してはならないと思わせる映画でもある。
だけれど、以前にも書いたけれども、どうしても、気になるのは1つは、ほんとうに歴史の事実が描かれているのかという問題。BC級戦犯で最終的に死刑を執行された一般の兵隊はいないと林博史さんが書いている。そして、石坂浩二が演じた司令官のモデルとされる、岡田資にしても、中国戦線では、毒ガスの使用を指揮している。はたして、描かれたように、正義感にみちた人物だったのだろうか。
もう1つは、BC級戦犯のほんとうの姿を描いたのかという点。戦犯たちは、大なり小なり捕虜の虐待や加害というものにかかわってきている。その事実と彼らは向き合うようになる。私は…のモデルの加藤哲太郎氏は、その後、巣鴨プリズンにおける反戦運動に参加し、「私たちが罰せられているのは、再軍備とのひきかえのためではない」と、日本の再軍備を批判した。
この映画には、当然のごとく、加害という事実が視野の外におかれてしまっている。ましてや巣鴨にいた、朝鮮人の軍人・軍属のことなども視野の外におかれている。
歴史の全容が、なかなか明らかでなかった、時代に、岡本さんたちが、このドラマをまずつくったことは、大きな意味があったと思う。しかし、ある程度歴史の事実が明らかになっている、今日に、そのままの内容で無批判につくるというのはどうなのだろうか。もっと問題の全体を正面から問いかけるような映画ができないのだろうか?
とりあえず見ておかなきゃと思って見た映画で、見て損はなかったけれども…。
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