キャラ化する/される子どもたち―― 排除型社会における新たな人間像 ――
疲れがだいぶたまっていますね。なかなかのんびりはできません。世の中は、いよいよ選挙という雰囲気になってきた。その選挙の日程は、メディアでは、8月末説が有力だが、ここにきて、国会の雰囲気は都議選投票日前解散というのが浮上している。いやがっていた公明党との話もすすんでいるなどという噂も出ていたりしている。麻生さんは、都議選後だと麻生おろしが強まるのを嫌っているという話もある。そんな決断が麻生さんにできるのかというのは疑問だが、さてどうなるのか。日々、緊張感が高まる日が続く。
今日は、夜は、今週末に、また講義をしなくてはいけないので、先日とテーマは違うので、その内容をあれこれ考え始める。
さて、衝撃的な秋葉原の事件から1年がたった。事件の真相や深層がすべて明らかになっているとは言えないが、この事件を通して、考えるべき問題は、たくさん提示されていて、考えるべきことは多い。
たとえば、こんなブックレットが発売されている。
価値観が多元化した社会で感じる閉塞感.「優しい人間関係」のなかで排除におびえる恐怖感.ケータイやネット,家庭から学校といった子どもたちの日常は,過剰な関係依存で成り立っている.子どもたちにとって,現実を生き抜くための羅針盤,自己の拠り所として機能する「キャラ」.この言葉をキーワードに現代を読み解く.
土井さんは、これまでも『友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル』 (ちくま新書)、『「個性」を煽られる子どもたち』. (岩波ブックレット)、『非行少年の消滅―個性神話と少年犯罪』など、刺激的な議論を提起して、子ども論をリードしている論客の1人。今度の本も、キャラということをキーワードに、子ども世界の深層を読み解く。
カースト化する子ども世界とコミュニケーションの偏重、人間関係を乗り切るすべとしての外キャラと自己の安定をはかるための内キャラを求める心性の読み解きは、なるほどと教えられることは多い。
しかし、この本のおもしろいとこは、その後半にある。子どもたちのこうした心性は、実は大人社会の裏返しなどだという指摘だ。大人自身が、子どもとの葛藤をさけ、内的キャラを求め、子どもをキャラという視点から見ようとする。そこでは、子どもの成長にかかわる社会的側面への関心はすてられる。問題のあるキャラは、排除されていく。少年犯罪をめぐる議論を題材にその議論をすすめている。
では、子どもたちの行方は? 筆者は、多様な人間関係のなかで、異質な他者と、不気味な自己と向き合うことだと言う。それは、子どもや若者たち、そして現代に生きる大人自身のアイデンティティの再建ということなのだろうか?
社会的な構造や国家政策などを対象に仕事をしているボクにとって、では、こうした問題を今の教育政策や社会政策という点で、どのように引き受けて、議論することが必要なのだろうか。
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