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2009/06/09

学びたいのに:奨学金の課題

 現在は、同居する息子たちのどちらかが、かなり早い時間に学校に向かう。そのため、その時間(5時過ぎ)には目が覚める。したがって、どうしてもこちらは睡眠不足になる。自分の仕事が、朝早い日もあるわけで。
 今日は、朝から、原稿の処理を一本。今後の原稿の手だてをいろいろ考える。電話で相談なども。それから、会議。夕方に、日曜の講義の感想がおくられてくる。ちょっとした、新しい話のところが受けていた。そのことを念頭に置きながら、土曜日講義の準備を夜はすすめる。まだ、まとまらないけれど。

 さて、今日の毎日にこんなニュースが載っていた。

高校奨学金:24都府県で併用禁止 自治体移管で変更に(毎日新聞)

 日本学生支援機構(旧日本育英会、横浜市)から都道府県に移管された高校生への奨学金事業で、24都府県が公益法人や民間団体の貸与型奨学金との併用を禁じていることが毎日新聞の調べで分かった。機構が実施していた04年度までは併用を認めていたが、移管後に自治体の判断で方針を変更した。家庭が困窮し一つの奨学金では通学できない子も多く、教育の機会均等を掲げる奨学金制度の貧しさが浮かんだ。
 高校奨学金事業は特殊法人改革に伴い05年度、都道府県に移管された。自治体ごとに収入・学力基準を設けて申請を審査し、無利子で貸与する。額も一律ではないが、自宅生の標準的な額(3年間)は国公立高で64万8000円、私立高108万円。日本政策金融公庫の調査(08年)によると、高校3年間にかかる教育費は1人平均約326万円に上る。
 併用を禁じた自治体に理由を尋ねると「より多くの人に利用してもらうため」(青森県、岡山県ほか)▽「借りた子の返済負担が増え、多重債務に陥るのを防ぐため」(東京都、長野県ほか)--などの回答が多かった。
 併用を認めている23道府県の多くは「禁止の必要はない」と回答。愛知県は「ローンと違い修学にいそしむためのもの」、神奈川県や埼玉県は「学習の機会を保障するため禁じていない」と答えた。…

 記事には、解説も付されている。
解説:高校奨学金、併用禁止 教育の安全網、拡充を 高すぎる私的負担

 実態を追ったルポの内容はリアルだ。

学びたいのに:奨学金の課題/上 母子家庭「やっていけない」

 教育にかかる費用が家計を圧迫している。日本では国や自治体の教育費負担が少ないためだ。とりわけ不況や家庭の事情による低所得世帯が増え、子どもたちに進学のチャンスを与える奨学金制度の乏しさが浮き彫りになってきた。「学びたい」という若い願いをもっとかなえることはできないのか。まずはある母子家庭が直面した問題から考えたい。

 ◇私立校進学後に父急死/他制度併用禁止で働きづめ
 「なんでパパ死んじゃったの……」。高校2年の真紀さん(17)=仮名=は4年前、泣き疲れて眠りに落ちる夜を過ごしていた。父は職場から帰宅してくも膜下出血で倒れ、亡くなった。37歳の若さだった。
 一人っ子の真紀さんは小学生のころから家の経済状況が良くないことを感じていた。それでも両親は娘が受験で苦労せずに済むようにと、私立の中高一貫校に進ませた。母はパート、個人で建設業を営む父は土日も働き詰め。それでもたまの休みには真紀さんを遊びに連れて行ってくれた。
 母雅美さん(39)=同=は悲しみに暮れている間もなかった。労災申請は認められず、独立したばかりで年金保険料の支払いが足りなかったため、遺族年金も出なかった。中学校には授業料免除制度があったが、高校に上がると教育費の負担は大幅に上がる。でも娘の気持ちを考えると「家庭環境が急に変わったのに、学校や友人関係まで変わるのはかわいそう」と思った。
 悩んでいた時、中学の教諭に東京都の奨学金制度を紹介された。貸与額は月3万円。学校から「公的な奨学金との併用はだめだが民間なら可能」と聞き、遺児家庭を支援している「あしなが育英会」の奨学金制度を見つけた。学校に了解を取り、二つの制度で計月6万円を借りて昨春、真紀さんの高校生活が始まった。
 ところが半年後。高校の事務担当者から「併用はできない。どちらか選んでください」と指摘された。授業料だけで月3万5000円。施設整備費なども含めれば、学校に納める額は年間70万円を超える。通学定期代も高い。保険会社の契約社員として働きだした雅美さんの月収は15万円で、約2万円の児童扶養手当を含めても家賃や生活費に消える。「一つの奨学金では、とてもやっていけない」…

 学費や教育費の私的な負担が高すぎる――ここにそもそもの問題がある。
 しかも、日本の奨学金という制度には、子どもたちの教育をうける権利を守り、支えるという発想はない。たんなる自己責任、家庭責任のサポートをしているにすぎないという実態があらわになってくる。

 たしかにいろいろな対策もあらたに打たれている。それはそれで大切なことではある。

奨学金:無利子枠を倍増 家計急変に配慮…学生支援機構(毎日新聞)

 独立行政法人「日本学生支援機構」は09年度、親の所得減などで家計が急変した学生への無利子奨学金の貸与枠を倍増の8000人分に拡大する。過去に借りた奨学金が返せなくなった人への返済期限猶予や、海外留学する人への有利子奨学金の枠も大幅拡大する。
 同機構の奨学金の対象は、大学や短大、高等専門学校などの学生。家計の急変に対応する無利子奨学金は、従来は年4000人分の貸与枠があり、07年度は約2100人、08年度は約1900人が利用した。また、失業などで返済困難となった人には最長5年(病気などの場合は無期限)返済を猶予する制度があり、08年度は約4万5000人が利用したが、09年度は10万人まで猶予できるようにする。…

 しかし、根本から変えていかないかぎり、この進学をめぐって起きている、困難や悲劇は解決しないということは心したいと思う。

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記事の続き

 遺児の進学を支援する「あしなが育英会」(東京都)には3年前から「県の奨学金と併用が認められなかった」と、奨学金を辞退する例が相次いでいる。
 昨年2月、同会の奨学金を利用(予定含む)する母子家庭の母親にアンケートで尋ねたところ(回答数1064)、「一つの奨学金だけでは進学させられない」家庭が31.7%あった。工藤長彦理事は「低所得者層が広がり、奨学金が一つではどうにもならない。あしながの奨学生でも親が負担に耐えきれず中途退学する子が目立つ。親の経済力に差があっても子どもが同じスタートラインに立てるようにするのが社会の責務」と、制度の充実を求めている。
 ◇都道府県の併用状況
 ○=公益法人、民間団体ともに併用可 ×=公益、民間ともに不可 △=公益は不可で、あしながを含む民間は可 ▲は公益とあしながは不可で、他の民間は可
北海道 ○
青森県 ×
岩手県 ○
宮城県 ○
秋田県 ×
山形県 ○
福島県 ×
茨城県 ○
栃木県 ×
群馬県 ×
埼玉県 ○
千葉県 ○
東京都 ×
神奈川県○
新潟県 ×
富山県 ×
石川県 ○
福井県 ×
山梨県 ×
長野県 ×
岐阜県 ○
静岡県 ×
愛知県 ○
三重県 △
滋賀県 ○
京都府 △
大阪府 ○
兵庫県 ○
奈良県 ▲
和歌山県○
鳥取県 ×
島根県 ○
岡山県 ×
広島県 ○
山口県 ×
徳島県 ○
香川県 ○
愛媛県 ×
高知県 ○
福岡県 ×
佐賀県 ▲
長崎県 ×
熊本県 ×
大分県 ○
宮崎県 ○
鹿児島県○
沖縄県 ×

解説
 高校奨学金の申請は少子化などでここ数年横ばい傾向だったが、毎日新聞の調べでは08年度、32都府県で増加に転じた。窓口には「解雇されたが奨学金を受けられるか」といった相談が増えている。
 国は今年度の補正予算に都道府県奨学金事業への緊急支援を盛り込んだ。しかし利用者の一時的な増加に備えるもので、貸与額を増やす目的ではない。
 奨学金の併用を認めない都府県は「返還時の負担が重くなるため」と説明する。確かに大卒でも正社員への道が狭まり、卒業と同時に返還していくのは楽ではない。日本学生支援機構の06年度調査では、卒業後に高校・大学の奨学金返還を延滞している理由のトップが低所得(45・1%)だ。
 だがそもそも日本では教育費の私的負担が突出して高い。経済協力開発機構の昨年9月の報告によると、国内総生産に対する教育費の公的支出の割合は調査した28カ国中最下位。「教育は国が担う」との意識が強い欧米との違いが際立つ。
 子どもたちが学習の機会を失い、将来安定した生活を営めなければ、社会の基盤も危うい。返済義務のない給付型の奨学金を増やしたり授業料の負担軽減を進めるなど、教育のセーフティーネットの拡充が急がれる。【

実態
 …都の奨学金業務を担当する都私学財団の担当者は「複数の奨学金を借りると、返還する際の負担が大きく、生徒にとって良くない。各校には説明しており、学校の認識が足りなかったのではないか」と話す。
 しかし併用は全国一律で禁じられているわけではない。神奈川、愛知、大阪など23道府県では認められ、どこに住んでいるかで借りられる額が倍近く違う。雅美さんは割り切れない。
     *
 困り果てた雅美さんは区の福祉の窓口に駆け込み、母子家庭に月額最高4万5000円を無利子で貸す「母子福祉資金」の存在を知った。ただしこれも奨学金との併用は認められないという。結局、奨学金は両方とも辞退し、福祉資金を借りることにした。それでも足りないため、土日もアルバイトに出る。
 そんな母を見て真紀さんは心配でならない。「体は大丈夫なのかな。倒れて入院したこともあるのに」。母は娘の前で苦労を一切口にしない。
 高校では新聞配達のバイトだけが認められている。同じ母子家庭のクラスメートがやっているが、授業中に疲れて眠っているのを見て「勉強ができなくなっては仕方がない」と思う。
 真紀さんはいま国立大への進学をめざしている。夢がある。「脳内出血の薬を開発したいんです」。突然倒れた父は手術もできない状態で、処方できる薬もなく、ただ息絶えていくのを見守っていることしかできなかった。「医学部は授業料が高いけれど、薬学部なら何とかなるかもしれない。ただし浪人と下宿だけは絶対にできない」
 第一志望に決めた大学の競争倍率は10倍近く。勉強机の電気を消すのは午前1時近くになる。

 ◇授業料以外の支出大きく
 文部科学省の調査によると、高校の平均的な年間学習費(全日制)は公立約52万円、私立約104万円。3年間なら公立約150万円、私立約300万円が必要になる。特に負担が重いのは修学旅行積立金や制服代、通学費など授業料以外の支出だ。公立でもPTA会費や生徒会費、施設整備費などは少なくなく、もはや「公立なら経済的負担が軽い」とは言えない。
 フランスをはじめ欧米各国では日本の高校にあたる公立学校の授業料はほとんどが無料。私学に通う生徒の割合は日本では約3割だが、英国や米国、ドイツは1割以下だ。奨学金制度に詳しい小林雅之・東京大大学総合教育研究センター教授は「日本では『親が教育費を負担するのは当然』と考える風潮があるが、もはや限界。今後親になる世代は年金や介護、医療費負担が増え、今のような教育費を担うのは一層難しくなる」と話し、家庭の財力で子の将来が決まらぬよう、奨学金制度などの充実を提言する。

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