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2009年6月

2009/06/30

民主・鳩山氏、「故人献金」認める=4年で2200万円-代表辞任は否定

 今日は、ココログのサーバーがダウンして、アクセスができなくなっていた。めずらしいですね。
 さて、民主党とカネの問題では、今日はこんなニュースがありました。

民主・鳩山氏、「故人献金」認める=4年で2200万円-代表辞任は否定(時事通信)

 民主党の鳩山由紀夫代表は30日午後、衆院議員会館で記者会見し、自身の資金管理団体「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書に、死亡した人などの名前が個人献金者として記載されていた問題について、事実関係を認めた上で、虚偽記載による献金額は2005年からの4年間で約2200万円に上っていたと明らかにした。鳩山氏は自らの責任を認めて陳謝する一方、「説明責任を果たしていく中で代表としての責務を果たしていきたい」と述べ、代表辞任は否定した。…
 鳩山氏は会見で、収支報告書を訂正するとともに、虚偽記載をした会計実務担当の公設秘書を解任したと説明。会計責任者の公設秘書(政策担当)も責任者としての職を解き、さらなる処分を検討するとした。
 鳩山氏らによると、会計実務担当の公設秘書は05年から、故人を含め実際には献金していない人の名前を収支報告書の献金者欄に記載。その数は約90人計193件で、金額は年間400万~700万円に達していた。原資には、政治活動資金が不足した場合などに備えて鳩山氏が秘書に預けていた個人資金が充てられたという。。…

 政治とカネの問題は、決して、形式的な問題ではありません。政党や政治家の成り立ちそのものが象徴的にあらわれるですから。では、鳩山さんは、これですべてを説明したと言えるのでしょうか。2200万円ものおカネの充足を、鳩山氏の個人資金が当てられていたなどという話も、いくらお金持ちだと言っても、私たちの生活感覚から、あまりにも乖離しています。しかも、公表されたもの以前の、経緯はわかりません。担当者は、ずっと公設秘書を続けていたという話も不可解です。あまりも「闇」は大きいですね。
 民主党は、小沢さんの問題、石井さんや、牧さんの問題をふくめ、個人の問題とするのではなく、政党のあり方に立ち戻って、真相を明らかにするべきでしょう。何よりも、自民党と変わらない金権体質というものをどう考えるのかということにはっきり答えるべきだと思います。

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校長先生の反乱 と 校長辞すとも自由は死せず~生徒と歩んだ最後の半年間

 昨日のボクのブログのアクセスは、三鷹の土肥元校長という検索で、ちょっと増えた。テレビ朝日の報道発ドキュメンタリ宣言で「校長先生の反乱  ~学校に”言論の自由”を~ 」という番組をやったからだと思う。この番組は、ほとんど見なかったけれど、実は、1週間前の深夜の同局、テレメンタリィで、そのベースとなる番組をしていた。そちらのほうを見た。

1_1校長辞すとも自由は死せず~生徒と歩んだ最後の半年間

 2006年4月 東京都教育委員会の突然の通知により職員会議で「挙手・採決」が禁止された。このままでは教育現場から“言論の自由”が無くなると主張し、たった一人で東京都教育委員会に反旗を翻した校長先生がいた。都立三鷹高校 校長 土肥信雄さん。
 「教育現場に言論の自由がなければ生徒の幸せはない!」34年間の教員生活、全てをかけた土肥さんの闘いが始まった。しかし、定年間際に迫った土肥さんにとって残された時間はわずか半年だった…

 土肥さんのたたかいはとても大事なたたかいだと思う。ボクも、支援の集会にも参加してきた。
 このドキュメンタリィにも、いま考えるべき大切な問題というのが山のように提示されている。たぶん、見た人の多くは、土肥さんの行動に共感はするだろうと思う。

 だからね、もっと突っ込んで、考えてみたい。ドキュメントそのものでも、子どもたちの成長だとかということが描かれていたわけではない。問題は、言論の自由という、そのときだけの問題にとどまらないことが、この問題の本質にはあるのだと思う。たぶん、結局、教育とはいったい何なのかということに行き着く。もっと、そこまで番組は追っかけてほしいし、この問題を議論するボクらにもそういう視点が大事なのではないかと思うのだけれども。

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2009/06/29

京田辺市でも日本軍「慰安婦」意見書

 またまた日本軍「慰安婦」の意見書が採択されました。今度は京都です。

日本軍「慰安婦」問題について日本政府へ早期解決を求めるための意見書

 戦後64年たった今も、日本軍「慰安婦」問題について、被害女性からの謝罪と補償を求める訴えが続けられている。人間としての名誉と尊厳を著しく傷つけられた被害者の思いは筆舌に尽くしがたいものがある。2007年7月にはアメリカ下院において「日本軍が女性を強制的に性奴隷にした」ことを公式に認め、謝罪するよう日本政府に求める決議が採択された。
その後、カナダ、オランダ、EU議会でも採択され、2008年には、フィリピン、台湾、韓国でもあいついで同様の決議が採択された。さらに国連やILOなどの国際的な人権擁護機構からも繰り返し勧告や指摘がされている。
 被害女性たちは、今、80歳、90歳の高齢になっており、一日も早い解決が求められている。政府は、1993年の河野洋平官房長官(当時)の「お詫びと反省の気持ちを申し上げる。」という「談話」を誠実に踏襲し、日本軍「慰安婦」問題被害者の公式謝罪と補償を求める声に耳を傾け、早急に問題の解決を図るよう求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
 平成21年6月29日
          京田辺市議会議長 上田 登
【提出先】衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣

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浅草寺の大イチョウ

 暑い一日でしたね。朝から印刷工場で、口絵の印刷のチェック。今日は実務と資料集めの一日。

 さて、昨日、派遣村シンポジウムに行く前に、少し時間があったので、浅草寺の境内を横切った。

Img00029200906281244_3 この写真は大イチョウだ。戦前には天然記念物に指定されていたそうだけれども、東京大空襲で、かなりの部分がやけたという。表面が炭化した部分があって、いまだに大空襲の傷跡が生々しい。

Img00030200906281249 何本か境内の木々を見て回ってみると、こうした炭化した表面をもつ木がいくつかあった。そのすべてが大空襲と直接関係があるのかどうかはよくわからないが。

 人でごった返す、浅草寺であったけれども、こうした場にも、いまだに戦争の傷跡が生々しく残していることを忘れてはいけないのだろうなと。

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核持ち込み密約:米核持ち込み、密約文書引き継ぐ 村田元次官「外相に説明」

 先日、共同通信が、核密約の存在を求める複数の事務次官の証言をスクープした。その1人が、実名の証言をしたというニュースだ。

核持ち込み密約:米核持ち込み、密約文書引き継ぐ 村田元次官「外相に説明」(毎日新聞)

 1960年の日米安全保障条約改定時に核兵器搭載艦船の寄港などを日本側が認めた密約について、87年7月に外務事務次官に就いた村田良平氏(79)=京都市在住=が、前任次官から文書で引き継ぎを受けていたことを明らかにした。村田氏は28日夜、毎日新聞の取材に「密約があるらしいということは耳に入っていたが、日本側の紙を見たのは事務次官になったときが初めて」と証言した。日本政府は密約の存在を否定しており、歴代外務次官の間で引き継がれてきたことを認める証言は初めて。
 村田氏によると、密約は「普通の事務用紙」1枚に書かれ、封筒に入っていた。前任者から「この内容は大臣に説明してくれよ」と渡され、89年8月まで約2年間の在任中、当時の倉成正、宇野宗佑両外相(いずれも故人)に説明。後任次官にも引き継いだという。
 60年の安保改定時、日米両政府は在日米軍基地の運用をめぐり、米軍が装備の重要な変更などを行う際は事前に協議することを確認したが、核兵器を搭載した米艦船の寄港や領海通過、米軍機の飛来は事前協議の対象としないことを密約。81年5月、毎日新聞がライシャワー元駐日大使の「核持ち込み」証言を報じて発覚したが、日本政府は「米側から事前協議がない以上、核持ち込みはなかったと考え、改めて照会はしない」と密約の存在を否定し続けている。…

 この密約の存在は、歴史のなかでは半ば公然事実とは化している。いま読んでいる、『「共犯」の同盟史』にも、生々しく記述されている。官房長官や現事務次官は、記者会見で、密約の存在を否定したそうだけれど。
 自民党は、この際、密約を認めて、「密約を維持できないような政権で、対米関係を維持できるだろうか」と民主党との違いを強調したらどうだろうか? さて、それに民主党はどうこたえるのだろうか。アメリカとの関係の維持と自衛隊の海外での活動を強調しながら、曖昧な安保・外交政策のごまかしは通用しないと思うのだけれども。

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2009/06/28

「派遣村」解散でシンポジウム

 今日は、朝6時頃に長男が、7時頃に二男が家を出ていって、安眠を妨害されてしまう。あまり休んでいないのに、トホホ。それでも、少し二度寝をして…。

 午後からは、「派遣村」シンポに行く。

「派遣村」解散でシンポジウム(NHKニュース)

 景気の悪化で仕事や住まいを失った派遣労働者などを支援する「派遣村」が今月いっぱいで解散することになり、28日、東京でシンポジウムが開かれました。
 東京・墨田区で開かれたシンポジウムには、景気の悪化で仕事や住まいを失った派遣労働者や、派遣村で支援にあたったボランティアなど、500人近くが集まりました。はじめに、年末から年始にかけて東京・日比谷公園で開かれた「年越し派遣村」で村長を務めた湯浅誠さんが「派遣村を訪れた人の多くが仕事を探していますが、まだ見つからず、心や体の不調を訴える人も少なくありません」と述べ、行政などの支援を充実する必要があると呼びかけました。元派遣労働者の30代の男性は「ハローワークに通いましたが、なかなか仕事が見つかりません。来月からは職業訓練校でコンピューターを学ぶ予定で、少しでも早く自立したいと考えています」と話していました。「派遣村」は一定の役割を果たしたとして今月いっぱいで解散することにしていますが、参加した労働組合やボランティアは、引き続き個別の支援活動に取り組むことにしています…

 正式には、「『派遣村』全国シンポジウム 『派遣村から見えてきたもの』-今こそ労働者派遣法の抜本改正とセーフティネットの構築を-」と題されたこのシンポ。大阪の小久保弁護士あいさつではじまる。小久保さんは大阪でのとりくみの感想として、①相談の年齢層、30代から50代が中心。働き盛りの肩へのセイフティネットがかけている、②今日、明日の切迫した方。生活保護84名。生活保護が最後のセイフティネットの役割を果たした。生活保護以外に、機能していない、③手帳はないが、障害をもっている、あるいは疾病、アルコール依存症。どう支えるか、と。

Img00031200906281342_2 続いて、湯浅さんの報告。派遣村の目的は①命を支える活動、②実態、存在を社会的に明らかにし、可視化をおこなう。本来、そこで終わるはずだったが、1月5日以降、予想を超える深刻、つないだ先での問題、ハローワークや福祉事務所からの紹介の人がやってきたなどでその後も続くことになり、3月末の派遣切り、具体的な対策を政治はもたなかったため春の派遣村にとりくんだと。「派遣村」は6月末で閉じるが、 しかし、状況は困難。とくに就職、健康・疾病の問題。
 湯浅さんは、「派遣村」は何を明らかにしたのか。労働市場の劣化、セイフティネットがないために貧困化、そこでもセイフティネットがないために、ノーといえない労働者に、劣悪な条件でも飲まざるを得ない貧困のスパイラル。周辺のさまざまな問題も同時に明らかにした。
 すべり台を落ちた人に、階段をつくる。ふつうの人がふつうにできる解決策でないと社会的な対策と言えない。同時に、滑り台を直す、派遣法の改正、最低賃金、教育費、有期保護、利用しやすく自立しやすい生保、雇用保険などなど。安心できる、暮らしやすい社会にと訴えた。
 政策的な課題ののべながら、労働運動の課題として対象としていたのは、伝統的な労働組合は、正規のたたかえる労働者で、非正規の組織化は、非正規のたたかえる層が対象だった。非正規で戦えない人の対応は生活相談で、そこはまじわってこなかった。非正規の組織化に熱心だった労働組合が「派遣村」でコミッしたト。しかし、派遣村から、労働争議にはあちあがらなかった。つなぎの空間がない。生活相談と労働運動の共同で、移行する場が。絵連携はまだまだ、現場から求められていると提起し、東京の派遣村は終了するが、終わっていないと訴えた。

 国会議員あいさつのあと各地からの報告がおもしろかった。北海道 道労連 SOSネットワーク、仙台 ワンファミリー仙台、、東京派遣村村民、トドムンド浜松派遣村、岐阜 派遣労働者サポートセンター結、反貧困ネット滋賀
、反貧困ネット広島、福岡派遣村 県労連、鹿児島派遣村。どれもは豊かな活動をしていて、そこから見えるものも多い。

 続くシンポジウムでは、関根さんが、派遣法の改正について、愛知の森さんが生活保護の問題について、ほっともっとの藤田さんが、住居の問題について報告。その後、女性、障害者、医療、そして派遣のたたかいが報告された。
 やっぱり、たくさんの傷を負ってきた人たちの「回復」という問題にどう向き合うかという問題と、たたかいとの接点の問題。それからそのことと関係するけれど、最後の三菱ふそうのたたかいを発言した若者の発言が感動的だったけれど、「人としての誇り」というものをどう尊重できるような関係をつくりがえていくのかということ。「自分にも何かできるのではないか、湯浅さんや河添さんを見ていて、自分も何かしたいと思った。みなさんのとりくみはものすごくまわりに影響を与えている」という発言だった。

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2009/06/27

いよいよ政局は山場ですが

 昼には、学びをつくる会で会った、知り合いの編集者とランチ。ボクより、1回り近く年下の人で、のりにのって仕事をしているという感じ。ボクぐらいの年齢になると、仕事は、かなり自分との折り合いということを考える。これ、どう表現すればいいのだろうか。納得というか。別に、仕事が保守的になっているとは思わないけれど、自分のなかに1つひとつ強い意志がないとなかなか仕事がしづらくなってくる(笑い)。だから、刺激をうけないと、発想が縮こまってしまいかねなかったりする。どんどん攻勢的に仕事をする姿勢は刺激になるし、仕事の中身もかなり深いものがあるので勉強になる。ここ数カ月もかなりつかわせてもらっている。現場に行き、またたくさんの人にあい、話をするというあたりまえの仕事のあり方は、意識的に負けないようにしないといけません!

 さて、午後から職場で、今日は実務をしたり、企画の相談に動いたり。数日、企画を考えていると、少しは、枯れている水源からも水は出てくる(苦笑)。何とかね。ただ、夕方にはガソリン切れ。

 今日も政局は揺れている。かなり山場にさしかかってきたという感じか。麻生さんは、細田幹事長と会談したようだ。8月2日選挙にむけての調整とも言われている。一方、

麻生下ろし、29日以降に本格化も(読売新聞)

 麻生首相(自民党総裁)が自らの手で衆院解散に踏み切るとの考えを繰り返し強調する中、党内では「反麻生」の議員が29日以降、「麻生降ろし」を本格化させる構えで、麻生首相による衆院解散を阻止する動きを見せている。
 衆院議員の任期は残り2か月余。その前の総裁交代は「今回がラストチャンス」だが、執行部や派閥の締め付けが強まることも予想される。…

 この局面にいたって、プロに聞いても、予想はみんな違う。
 やけくそに超が3つぐらいつく、8月2日投票に突き進むのか。それも7月2日なのか、カナダまで巻き込むのか?
 しかし、それで自民党は選挙をたたかえるのか。むしろ、選挙後をにらんで分裂含みなのか?
 常識的な7月28日解散で、8月30日、9月6日でいくのか。
 では、総裁選はあるのか。それとも、総裁選ぶくみで、9月末、10月までの先送りまでいってしまうのか。
 国民政治にとって大事な中身を伴わない、政治劇は、いよいよ山場である。

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日本の教師 その歴史的・国際的特徴

Img00028200906271111_2 早朝、一仕事で、汗びっしょり。そして、午前中は、学びをつくる会での、久富善之さんの表題の講演を聞いてきた。教育学者のなかでも、とても意識させられるというか、この人の議論は絶対に押さえておかなくてはと思う人の一人。今日の話もおもしろかった。

 まず、人類史のなかの「学校教師」と題して、近代学校の教師の特徴として、数が多いことを指摘。この指摘だけでも意表をつく。難しさに対応した高い処遇をあたえることはできない矛盾があるというわけだ。もともと、藩校、寺子屋などは、日本は多い区広がっていたといっても、すべての子どもが行っていたわけでない。リテラシーをもっている層と持ってない層を乗り越える近代学校という制度の前面に学校教師たったわけだが最初からそういう矛盾があったと。
 そして、そもそも教師の「教える」という仕事はもともと(意外と?)難しいことを指摘。教師の仕事は、自分の満足ではなく、学んでいる人のなかで生きるということがないと意味がない。しかも学校は、勉強好きと限らない子どもがきていて、ある意味で無理矢理集めている。その大多数に集中してもらわなければいけない。集団規律も必要で、この先生のところで勉強したらいいことがあるというような何か「成果」を感じてもらわないといけない。とこrが教育というのは、その成果ははっきりしない。イギリス・ハーグリーブスという研究者は、教師には3つの課題=「関係課題」、「地位課題」、「能力課題」があるという。
 だから、これまで「難しさ・課題」の乗り切りを支えてきた工夫・仕組みが、文化としてあったという。ここで中内敏夫さんの研究を紹介する。たとえば1920代の「殉職教師顕彰ブーム」で、教師は子どものためには命を捨てるほど愛し、仕事をしている、そういう聖職的教職像を押しつけられたとう。久富さんは、教師たちもうけいれたのではないか、それで、「難しさ」が容易になるという。その後、50年ぐらいは教職倫理のなかで、それが内面化していたのではないかという。その証拠に、15年前、退職教師について聞き取りをしたとき、その多数が、自分の読んだ本、みた映画でいちばん感動したものに「24の瞳」をあげたという。教師像の理想として、熱心な教師というものがかつてあったという。教員文化のなかで教師同士も「せんせい」とよびあう、ここにも特別な存在としてのとらえ方があり、実際に研究熱心という文化があったという。
 教師には、「教師としての誇り(=教職アイデンティティ)」があり、「自分は教師として、何とかやれている、そういう力量もある」と思いたいし、思わないとやってられないという面があるという。教師は、不信に囲まれると傷つき易いし、それれ攻撃誘発的でもある。またその誇りが、肯定から否定に崩れると、バーンアウトすると。そして現在でも、教師としてのやりがい、自分はあっているという意識をもつ教師は圧倒的に多く、これだけ困難な現在も減らないという。
 近年の「教師受難時代」の性格について、家族や子どもの変化に見合うように学校、教師がなりきれていないのではないかと指摘しつつ。もともと教師は難しいが、なんとか乗り切る工夫をやって、それが文化、慣習になって、それほど難しいことでないかのうように思えていたが、70年代のなかばからその支えが弱くなってきたと指摘する。後期戦後といわれる時期に、いじめ、不登校、暴力が拡大し、あまり解決されないまま続いている。その間、子どもや親のあいだには、学校で傷ついて、それを教師が助けてくれなかったという不信蓄積が相当ある。しかも事件がおこるたびのマスコミの洪水のような報道があいr巨大な宣伝で不信が広がった。その結果、理想の教師であってほしいが、目の前にいる教師はそういう教師だとは思わない目で見ている、と。そのもとで、教師は、力があるということを見せなければいけないが、そういうことが1人ひとりの教師、学校の肩だけにおわされている。
 しかも官製の調査でも教師忙しすぎることは明らかだと。しかもその忙しさは、スウェーデンなどのように熱心で、忙しいのが教師であり、忙しいことが誇りにつながるようなものではなく、忙しさが教師としての自信を失っていくことに関係していると指摘している結果が、精神疾患の広がりであり、新採一年目での退職の増加であると。
 最後に、教育改革における教員政策は、愚劣であり、あまりにも教師としての仕事への無理解がある。しかもそれは学校や教師への不信を追い風にしているだけに教師のとりくみに、民衆的基盤を広げることが大事だと提起された。

 これはあくまでもボクのメモ。教師論としてもとてもおもしろかった。いまの生きづらさとの関係で、アイデンティティの問題というのはとても大事だとは漠然と思っている。
 同時に、自分の仕事のことをいわれているようにも思えた。自分というのはかなり歪み、うろたえているなあ(苦笑)。

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2009/06/26

「共犯」の同盟史 など

 少し、本を買い込む。

0225710 その一冊が、『「共犯」の同盟史
』、日米の密約と同盟関係の歴史について論じたもので、おもしろそう。
 野田正彰さんの『虜囚の記憶』。これも、読みたかったもの。
 中公新書の『教育と平等』。苅谷剛彦氏の議論は一度、ちゃんとつきあいきらねばらなない。
 『新しい「教育格差」』。増田さんの書いたものだし。
 岩波新書『政治の精神』『ノモンハン戦争 モンゴルと満洲国』。とくに後者は、昨日の朝日の夕刊でも紹介されていたが、この事件を新しい視点から読み解いて注目される。

 古本の数冊。それから、積んである本もある。仕事で読まなければいけない本も数冊ある。

 じっくり読みたいんだけども、ね。

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国大協の「所見」と「要望」

 24日に、国立大学協会が、6月3日の財政制度等審議会建議に対する所見を発表している。
 所見の実物は、これ。

問題点1 「質」を高める投資の軽視
問題点2 健全な競争、「適切なルール」の軽視
問題点3 競争的資金の偏重、安易な達成度評価の弊害の軽視
問題点4 教育の機会均等の軽視
問題点5 地方との対話の軽視
問題点6 大学システムの日本的特質の軽視

 国大協は、そもそも、5月の時点で(政府には6月2日に提出)、次のような要望をおこなっていた。

1 「骨太方針2006」による国立大学運営費交付金の1%削減の撤廃と拡充
2 学生に対する経済的支援の充実(授業料標準額の減額、授業料の減免の拡大、奨学金の拡充など)
3 OECD諸国水準を目指した大学等への公財政支出の拡充

 この3点は、広範な一致点として、いま広がっている。
 日本の大学は疲弊し、転機を迎えている。
 大学政策の大きな転換が求められている。

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小金井市でも日本軍「慰安婦」意見書

 24日に東京・小金井市でも意見書が採択されました。

日本軍「慰安婦」問題に対する国の誠実な対応を求める意見書

 かつての戦争において日本が近隣諸国の人々に多大な被害を与えてから、すでに64年が経つが、いまだに人々の戦争被害の傷は癒されていない。そして直接の被害者のみならず、その子孫も親世代が傷つき癒されていないことで傷ついている。日本軍「慰安婦」問題はその象徴的な被害である。
 2007年にはアメリカ、オランダ、カナダ、EUなどの議会において、日本政府に対し、「慰安婦」問題の責任を認め、公的に謝罪することなどを求める決議が採択された。2008年には、フィリピン議会の下院外交委員会並びに韓国及び台湾の議会でも採択され、国連などの国際的な人権擁護機関からも早期解決を求める勧告が出されている。国際社会は「慰安婦」問題を現在に通じる重大な人権侵害と認識し、日本政府が誠実に対応することを要請している。
 「慰安婦」問題に誠実に対応することは、戦争を遂行するために女性の性が利用されるという人権侵害が二度とないようにするという日本政府の世界への意思表示となる。そして、アジアの人々の戦争被害の傷を癒し、和解して平和的に共存していく道筋をつくることになる。
 被害者の訃報が相次ぐ中、被害者の存命中に納得できる解決が急がれる。
 よって、小金井市議会は、国会及び政府が1993年の河野内閣官房長官談話に基づき、次の事項について誠実な対応をするよう強く要請する。
 1 被害者出席のもと、国会で公聴会を開くこと
 2 「慰安婦」問題の責任を認めて、政府は公的に謝罪すること
 3 「慰安婦」問題の解決のため、政府は被害者の名誉回復を図ること
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成21年6月24日
                小金井市議会議長 宮崎晴光    
衆議院議長 様
参議院議長 様
内閣総理大臣 様
法務大臣 様
外務大臣 様
文部科学大臣 様

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2009/06/25

学べない国ニッポン

 テレビ東京のワールド・ビジネス・サテライトというニュース番組で、「学べない国ニッポン」という特集をやっていた。経済番組的ニュースとして有名なものだけれど、その番組で、日本の大学の学費の高さと、奨学金の制度の少なさを追っていた。実態の告発は、まっとう。教育費への国の支出の少なさを強調している。ただ、結論として、待つのではなく、民間の知恵を集めること、そして国の問題については、財源の問題、つまり消費税をすすめる。ここは、テレビ東京らしいというのか…。まず、権利として教育を保障するということがどういうことなのか、よく考えるべきだとは思うけれども。

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箕面市議会と三鷹市議会の「慰安婦」決議

 6月22日午後箕面市議会で「慰安婦」問題に対する国の誠実な対応を求める意見書が賛成多数で採択されました。6月23日、東京・三鷹市議会が「慰安婦」問題意見書を可決しました。これで、日本国内の地方議会意見書は6つになりました。

 以下意見書の文面です。


「慰安婦」問題に対する国の誠実な対応を求める意見書

 かつての戦争において、日本が近隣諸国の人々に多大な被害を与えてから、六十四年が経過する。しかし、いまだに戦争被害の傷は癒されていない。平成十九年(二〇〇七年)七月にはアメリカ下院議会が、「日本軍が女性を強制的に性奴隷にしたことを公式に認め、謝罪するよう日本政府に求める決議」を採択している。そして、アメリカの議会決議に続いて、オランダ、カナダ、EU議会などでも同種の決議が採択され、国連などの国際的な人権擁護機関からも早期解決を求める勧告が出されている。
 日本政府としては、平成五年(一九九三年)八月に、当時の河野洋平官房長官が、「お詫びと反省の気持ちを申し上げる。そのような気持ちを我が国としてどのように表すかについては、今後とも真剣に検討すべきもの」という談話を発表しているが、何ら進展していない。
 よって、政府においては、河野談話に矛盾しないよう「慰安婦」問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復に努め、誠実な対応をされるよう要望する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成二十一年六月二十二日
                     箕面市議会

日本軍「慰安婦」問題に関する意見書

 かつての戦争において、日本が近隣諸国の人々に多大な被害を与えてから既に64年がたつが、人々の戦争被害の傷はいやされていない。日本軍「慰安婦」問題はその象徴的なものといえる。
 アジア各地で被害にあった元日本軍「慰安婦」の方々の多くは既に80歳を超え、被害者の訃報が相次いでいる昨今である。日本政府は1993年に河野内閣官房長官談話を発表し、「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である」とおわびと反省の気持ちをあらわした。
 この談話に対し、被害者の女性たちからはさらに日本政府が「公的に責任を認め、公的に謝罪しなければ、自分たちの真の名誉と尊厳の回復にはつながらない」との声が相次いだ。
 また、国際社会から2007年には、アメリカ、オランダ、カナダ、EUなどの議会において、また、2008年にはフィリピン、韓国、台湾などでそれぞれ日本政府に対し、「慰安婦」問題の責任を認め、公的に謝罪することなどを求める決議が採択された。
 被害者の女性たちの真の願いは、戦争を遂行するために女性の性が侵害されることが二度と起こらないように、また、未来の多くの女性たちのためにも過去に行ったことには公的なけじめをつけてほしいというものである。
 1993年の河野談話は、第一次、第二次調査を経て、「われわれは、このような歴史の真実を回避することなく、むしろ教訓として直視し、歴史研究、歴史教育を通じ永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を表明し、今後とも民間の研究を含め十分に関心をはらっていきたい」旨の発表が
なされている。
 今、この精神を維持・発展させて、内容を具体化することこそがアジアの人々の戦争被害の傷をいやし、和解して、平和的に共存していく道筋をつくることにつながることと確信する。被害者の存命中に名誉につながる納得できる解決が急がれる。
 よって、本議会は、政府に対し、下記の項目について、国の誠実な対応を強く求めるものである。
                                記
1 被害者の声に耳を傾け、真相究明を行うこと。
2 「慰安婦」問題の責任を認めて、政府は公的に謝罪すること。
3 過ちを繰り返さないために、学校などで歴史教育を通じて次世代に事実を伝
えること。

上記、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
 平成21年6月23日   三鷹市議会議長 田中順子

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迂回献金:与謝野氏に 先物会社、ダミー通じ 渡辺喜氏にも--計9000万円

 いつまでたっても問題が解決していかないと、だんだんと、感覚そのものが麻痺していく。でも、それでいいのか。よく考えないといけない。それほどまでに、「政治とカネ」の問題は、あとをたたない。しかし、小沢さんの問題なども、まったく解決がすすなないもとで、民主党の選挙を仕切っていて、どうも選挙の争点にはなりそうにはないし、自民党のほうは、二階さんは大臣のままだし、加藤さんだって、ふつうにテレビに出て発言している。
 そして、昨日は、こんな問題が報道されている。

迂回献金:与謝野氏に 先物会社、ダミー通じ 渡辺喜氏にも--計9000万円(毎日新聞)

 与謝野馨財務・金融・経済財政担当相と渡辺喜美元行政改革担当相が総務省に後援団体として届け出ていた政治団体が、商品先物取引会社「オリエント貿易」(東京都新宿区)などグループ5社が企業献金をするためのダミー団体だったことが分かった。5社は団体を通じ92~05年、与謝野氏側に計5530万円、95~05年、渡辺氏側に計3540万円を迂回(うかい)献金していた。後援団体への寄付者には所得税の一部が控除される優遇制度があり、5社は毎年幹部社員ら約250人の給与から計約4000万円を天引きして団体に寄付させ、控除を受けさせていた。

 1つひとつの事件の真相を、まず明らかにすることが、大前提である。迂回献金の認識があったかどうかが問われているわけではない。
 政治家のほうは、政治にはカネがかかるから、ある意味で”仕方がない”という強固な思うがあるようだ。それを許さないような、民主主義の深化を、ボクらはつくらなければならないということか。

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2009/06/24

ネトゲ廃人

 今日は印刷工場につめる日。朝から、なかなかしんどい一日でもある。
 仕事のすすみ具合が、しっかりしていないので、なかなか元気がでないのも事実。
 印刷工場で遅くまで仕事。

 さて、毎日新聞の夕刊を読んでいると、次のような記事。

ネトゲ廃人:【1】バーチャルに生き、現実世界で生きられない人、増える(毎日新聞)

 自宅でネットゲームをするフリーター。高校は中退してしまった=埼玉県入間市で、武市公孝撮影 寝食も忘れてインターネットのゲームにのめりこみ、学校や職場に行けなくなる人たちが現れ始めた。現実で生きることを放棄した彼らは、「ネトゲ廃人」と呼ばれる。廃人がひしめくバーチャルな世界で、何が起きているのか。

 1カ月、風呂に入らなくても平気だった。大学には通わず、電話にも出ない。料金未納でガスも止められたが、不自由と思わなかった。狭いアパートで、ベッドとパソコンの前を移動するだけ。血行が悪くなり、冬は足や手の指にしもやけができて痛かった。
 神奈川県の男子大学生(22)は、地方の国立大に入学した18歳の夏休みから、ネットゲーム「ファイナルファンタジー11」(FF11)に夢中になった。1人暮らしを始め、厳しい親の目がなくなったのがきっかけだった。1日4時間が10時間、20時間と伸び、外の世界には関心がなくなった。食パンをかじり牛乳を飲む日々で、52キロだった体重は46キロまで落ちた。…

 なかなか、深刻な記事である。ただ、依存のきっかけは、記事に、「ゲームにはまった本当の原因は自己嫌悪」とあるように、現実の世界の生きづらさにある。ここを解決しないと、問題のほんとうの解決にならない。では、なぜ、それほどまで、現実の世界は生きづらいのか?

 ただ、同時に、依存という状態に引き込むようなものが、ネットゲームの世界にはある。それは、仕事でも、人間関係でも依存というものが生まれるように、一般的な面と、ゲーム特有の特徴があるのだと思う。
 そこで、考えなければならないのが、”商業主義”というものとの関係。文化的な営みが、商業主義というものと結びつくことでおこるさまざまな問題に、どう向き合っていくのかというは、かなり難しい問題だとは思う。しかも、日本の場合は、経済活動全般に「ルール」が確立していないもとで、かなり異様な様相で、この商業主義がはびこっていることは事実。若者・子どもをとりまく生活は、てっていして”儲け”のターゲットにされている社会でもある。
 もっと、きちんと、”若者文化””子ども文化”というものを、よく考え、分析することが求められているのだろうとはとても思うのだけれど、なかなか大きな課題である。

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ビッグ・イシュー最新号

 『ビッグイシュー』という雑誌がある。ホームレスの人の救済(チャリティ)ではなく、仕事を提供し自立を応援する事業としてとりくまれている。ボクの通勤経路で、なかなか遭遇することはないのだけれど、最新号は、「特集 子ども貧困国ニッポン」ということで、HPを見てみた。

Pic_cover 子どもの貧困化が進んでいる。EU諸国やアメリカなどは、さまざまな対策を講じて貧困率を下げている。しかし、日本では社会問題としての認識すらなく、先進国の中で唯一、子どもの貧困率を上昇させ続けている。今、日本の子どもの7人に1人は貧困児童である。主要先進国24ヵ国中、9番目に子どもの貧困率が高い。さらに母子世帯の子どもの66%が貧困状況下にある。子どもの貧困を改善するために、私たちは今、何をしなければならないのか?「貧困の子どもたちの影響と貧困の社会的コスト」を山野良一さんに、これまで置き去りにされてきた「子どもの貧困問題とこれからの課題」を阿部彩さんに聞く。また、母子家庭の当事者グループや母子家庭を支援するNPO、社会的養護の当事者グループに取材。さらに、貧困問題に詳しい生田武志さんから現場からのレポートが届いた。

 HPには阿部彩さんのインタビュー121_4がアップされていた。これがまたおもしろい。「子どもの貧困」について、実は、日本では十分な社会的な合意がなされておらず、一億総中流意識がそのことを阻んでいると指摘している。その典型が後期中等教育だという。義務教育というとらえ方があるが、欧米では、むしろ、子どもの学ぶ権利という角度から後期中等教育までふくめて、公的に保障している。学費という点であらわれるが、ここを公的に保障していないのはあOECDでは日本など4カ国だけだという指摘の仕方は、はっとさせられる。結局、いまの日本の施策では、子どもの貧困は放置、むしろ拡大させられている現状を告発し、その解決の提言をしている。

 ずいぶん大きく社会的注目をあびた「子どもの貧困」。しかし、実際の制度や施策で何が変わったのかは、よくみる必要がある。15兆円の経済対策で、どれだけここにお金が使われたと言えるのか? しつこくてもしっかり見、議論することが必要でもあるのだ!

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2009/06/23

「骨太09」社会保障費抑制せず、与党に確約 閣議決定

 明日から印刷工場につめる。仕事は山場である。同時に、不安定な今後数カ月の企画のつめもいろいろとしなければいけない。メールを送ったり、電話をかけたり、いろいろあるのである。

 さて、選挙やその後の政治の動きにも大きくかかわるニュースである。

「骨太09」社会保障費抑制せず、与党に確約 閣議決定(朝日新聞)

 政府は23日の臨時閣議で、経済財政改革の基本方針「骨太の方針09」を決めた。形式的には小泉内閣の「骨太06」以来の歳出削減の維持が盛り込まれたが、年間2200億円の社会保障費抑制を実施しないことを与党に確約。財政出動圧力を強める与党に押し切られて歳出改革のトーンは後退した。
 次の総選挙で民主党の財源論のあいまいさを突き、自公両党の責任政党ぶりをアピールしたい首相は「基本方針(骨太)06等を踏まえ、歳出改革を継続」との文言を残すことにこだわった。しかし、支持率急落で求心力の低下した政権に抑制方針の撤回を求める自民党厚労族などを押し返す力はなかった。
 骨太09には「社会保障の必要な修復をする」「昨年度とは異なる概算要求基準を設定」との記述が追加されたうえ、与謝野財務相が23日、自民党の細田博之幹事長ら四役、厚労族でもある尾辻秀久参院議員会長と(1)来年度予算で社会保障の自然増はそのまま認める(2)一方で無理のない範囲で節約に努める――などとする覚書も交わした。 …

 実物はこれ。
 でも、総選挙で政権交代がおこなわれてしまえば、単なる紙になるものなのか。

 だいたい、小泉路線の「修正」は既定の路線である。だから、今日の内容などもある意味で、それを追認したにすぎない。それは、すでに国民の意思である。問題は、どう修正するのかに政治の役割がある。しかし、この決定は、「社会保障の必要な修復」との文言を追加しただけで、国民生活にこれだけ苦難を与えてきた社会保障抑制路線をどう転換し、社会保障の再建をはたするかということについては何も語っていない。
 それは民主党についても、同じことが言えないのか。これまでの民主党の政策が、社会保障の構想を語っているとは思えない――というか語っているとすれば、それは「抑制」である。この間、いくつかの目玉となる政策は出されているが、その全体像は明らかでない。その根の問題として財源の問題がある。
 母子加算の復活法案が参院で審議されている。もし復活がなされれば(政権が変わって)、それはそれで重要な一歩である。が、それで、問題が解決するわけでは決してない。どう社会保障抑制を転換し、再構築するのか。問われている問題に、政治が答える時である。

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沖縄「慰霊の日」 遺族の高齢化進む 「伝える時間あとわずか」

 今日は、沖縄の「慰霊の日」である。

沖縄「慰霊の日」 遺族の高齢化進む 「伝える時間あとわずか」(日経新聞)

 沖縄戦の犠牲者を悼む「慰霊の日」の23日、沖縄県糸満市の平和祈念公園では、強い日差しの下、戦没者の名を刻んだ「平和の礎(いしじ)」の周辺で遺族らが鎮魂の祈りをささげた。高齢化が進む遺族らの言葉には、不戦の誓いと悲惨な戦争体験を語り継ぐ決意がにじんだ。…

 昨日のテレビでもそうだったけれど、「戦争体験を聞く」ということの意味がいま問われているような気がする。
 「強いられた加害」という表現がいいのかわわからないけれど、加害・被害という2分法で決して語ることのできない、内的なそして国家との間の葛藤が、その体験にはある。

03133137 「慰霊の日」にあわせて、林博史さんの『沖縄戦 強制された「集団自決」』という本を読んでいる。かつて彼が書いた、『沖縄戦と民衆』が、その著作の意図に反して、教科書検定での、沖縄戦での「集団自決」で、軍の強制はなかったという検定に利用されたということもあり、かなりはっきりとしとした、どのように軍に強制されたのかという経緯をまず実証することを力点に書かれている。『沖縄戦と民衆』が、沖縄戦と「集団自決」などの構造を明らかにすることに力点があったあっただけに、つまみぐいをされるような記述があったことを著者の責任にすることはできないとは思うけれども、それへの強い怒りと抗議をこめての著作になっていると思う。そして、そうさせたのは、この検定を契機に、広がった、オジイ・オバアたちの証言だったことは間違いない。

 同時に、沖縄戦を歴史的経過のなかで見ることの大事さというのも、前作と同様に学ばされる。沖縄戦はどのような経緯でおこなわれたのか。その後の日本の戦争はどのようなものだったのかというなかに位置づけたとき、沖縄戦における日本軍のありようは、日本軍の特質というものをとてもよくあらわしているのだと思う。

 こうした体験の証言を受けとめ、継承しなければいけないと思う。

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“集団自決” 戦後64年の告白~沖縄・渡嘉敷島~

 もう昨日になってしまったけれど、NHKが「沖縄 慰霊の日特番」として、表題のドキュメントを放映した。

 1945年、沖縄戦の“集団自決”で300人以上が犠牲となった渡嘉敷島。そのとき家族の命を奪ってしまった男性が語り始めた。現在82歳、認知症の症状が出て入院してもなお、64年前の“あの日”のことを思い続けていた。「なぜ家族を手にかけなければならなかったのか」。戦後64年、苦悩し続けてきた男性の心の軌跡。

 実は、同じ慶良間列島の「集団自決」でも、この渡嘉敷の実相は、あまり知られているわけではない。この間もどちらかと言えば、座間味のほうの証言がたくさんとりあげられていた。それは、この渡嘉敷で起きた「集団自決」の悲劇的なありように起因している。体験者たちは、戦後、口をつくらざるを得なかった…。
 それでも、14年ほど前に、今日の番組で登場していた弟の金城重明さんの本が高文研から出版されていた。

 島に生きてきた兄は、昨年、はじめて口を開いたそうだ。その発言は重く、苦しいものだった。
 こうした体験の”証言”に、ボクらはいまどのように向き合い、何を聞き取っていかなければならないのか。そのことがものすごく問われている番組だった。

 番組そのものは、なぜ、彼が証言をしたのか。そして、なぜ家族を手にかけなければならなかったのか。そうしたことには、直接は、語らない。この島に、どんな軍がどのように配備されていたのかも語らない。ただ軍が、日常的に、米軍が上陸したら、男は…、女は強姦されるからと、自決をするように語られていたことを示すのみである。そして、国のためのこうした行為が、彼らはいまの許せないということだけである。もちろん、それでも伝わるというのが制作者の思いでもあろう。それは制作者のうまさともいえるのだろうが。

 沖縄は64回目の慰霊の日を迎える。

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2009/06/22

山谷のおくりびと~ひとりでは死なせない~

 昨日の深夜の番組。かなり驚いた…。

0621 日雇い労働者が集う東京のドヤ街・山谷。ここに、身寄りがない人の最期を看取るホスピス「きぼうのいえ」がある。東京タワー建設に携わった元とび職、佐藤安正さん(90)。数年前から目が見えなくなったが、隣にはいつも夫婦のように寄り添うスタッフがいる。問わず語りに始まる東京タワー建設の話には、仕事に傾けた情熱と誇りが溢れている。肺ガンを宣告され入居した静勇次郎さん(66)。過去の不始末から故郷を捨てていた。ある日、消息を知った姉たちが会いに来ると連絡が入る。それを拒む静さん。再会させたいと願うスタッフ…。人と人が真剣に向き合う山谷のホスピスから、生きる希望を伝える半年間の記録。

 いま、政治や社会が暴力的に踏みにじっていて、ボクらがほんとうはいちばん大切にしなければいけないものは、一人ひとりの人間としての尊厳なのだと、痛感させてくれた。そのぐらいものすごく考えさせられたし、感動もした。そして、そのことを支えるのは、人と人とのつながりであることを。
 なぜ、ここでは、こんなことができるのか。もう少し知ってみたい、と単純に思った。

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2009/06/21

刑事一代~平塚八兵衛の昭和事件史

1600_1200 昨日と、今日、相方がこのドラマを見ていた。全部じゃなく、半分ぐらいみたけれども、どうしても共感したしできなかったのは、なぜだろうか。

 帝銀事件は、まったくちがった角度からの議論が根強く、現在でもえん罪事件としての解釈が主流の事件でもある。同じように、政治的な色合いが濃いと言われる下山事件(これはドラマではとりあげられなかったようだけれども)などもある。それぞれの事件の社会的背景があまり十分には描かれない。
 ここにその原因があるのだろうか。

 物語の山場は吉展ちゃん誘拐事件で、犯人とのやりとりが見せ場。有名な山手線から大火を見たというあのシーン出るが、その山場全体が、結局、自白中心で、こうした捜査体質がたくさんのえん罪を生んできたのかと思ってしまう。

 犯人に心を寄せるシーンも、事件の背景に迫り切れていないせいか、何か、主人公の個人的な心情としか伝わってこない。だから。3億円事件で描かれる、警察そのものや、社会の変化も、どうも共感を感じられないのだ。

 刑事警察を観察する機会があった。ボクは、いまの刑事警察そのものすべてを、権力の仕事としてすべて否定的に考えようとは思わない。そこには、いろいろなとりくみもあるだろう。
 でも、そんなことも社会全体なかで、おこなわれ、そこに葛藤や問題もあるのだろうから、何か物足りなさだけが感じるようなドラマだったような感想をもつのだけれど。どうだろうか。

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無償教育を考えるフォーラム

Img00021200906211324_2 今日は、人に会うために表題の集会に行ってきた。「無償教育をめざす学校事務職員の会」が主催する集会である。

 三輪定宣さんが、「憲法に謳われた、ひとしく教育を受ける権利を実現するには―無償教育の展望―」と題して、報告。そのあと、6人の人がパネラーとして報告した。
 東京の保護者のKさんが、「日頃に感じる教育費への疑問」を発言。
 埼玉の青砥先生が高校中退の問題について、東京の私学(高校)の事務の方が、私学の現状について。この2つは、深刻な実態にせまったもので、ものすごく考えさせられる。
 つづいて、東京の高校の事務、名古屋の義務制の事務の方の発言。事務の方は、現状では教員より、はるかに子どもたちの貧困を見ている。が、自分たちができることが限られているということに苛立っているような発言だった。
 最後に、東京の教員の方から見た発言。これまで、子どもの貧困や教育費について教員がどう無関心であったのかという、自己批判、反省の発言。きまわて正直な発言で、なるほどと思っておもしろかった。ここまで、教員というのは、学校でのお金の問題に無関心なのかというのは今さらながらに驚いた。

 いま高校生に将来の不安を聞いたとき、まず就職、その次に、学費を払い続けられるのかという不安がある。それは親とて同じである。「貧困」に直面するという問題は、たんに一部の子どもたちだけの問題では決してない。しかし、同時に、子どもの「貧困」の問題は、どう考えても、学校だけで向き合える問題ではない。そういう意味では、今日の議論を聞いていても、学校はまだまだ開いていないなあ、社会とつながっていないなあと強く感じてしまうことも事実。
 無償化という課題も、それが自己目的としてあるわけではない。子どもの「人格の完成」にこそ教育の目的があるとすれば、その目的を達成するための条件として、提起されていることだ。では、その子どもたちの発達の現状がどうで、どんな支援がいま求められているのか。子どもの「貧困」の問題は、そんなことも突きつけているわけだし、現在の教育の現状は、そのための多くの課題を掲げている。そういうなかで、無償化ということが、どういう位置をもっているのか。子どもたち全体の、安心した「子ども期」の発達の保障のために、なぜ必要なのか。そんな議論が必要な気がした。

 三輪先生も最後に言っていたが教育費をめぐって、政府も含め、いろいろな議論がはじまっている。だからこそ、子どもというところに、軸足をしっかりおいて議論をしたいと思う。

 討論では、なかなかシャープな親の意見もあり、なかなかおもしろかった。

 会場で、知りあいの人と何人かに会って、話をする。
 Hさんと会ったけど、いつも元気で、バリバリ仕事をしているのは頭が下がる。雑誌編集者というのは、結果が求められるというか、まわりがそんなに求めていなくても、自身にはかなりリアルに結果がつきつけられる。だから、いつも、仕事に追い立てられるというかなり因果な商売である。なかなか結果がトータルには出ないご時世だけれど、自分なりに満足する仕事ができたり、それなりの結果がでることはある。それでも、その仕事をしたのは、執筆者なわけで、編集者にとっては、ちょっと厳しい言い方では、「たまたまうまくいった」という感覚で、次の仕事に向かうという気持ちの処理をすることになる。ボクはずっと、「しんどいなあ」という思いを抱え続けて、仕事をしているわけだけろ、書籍の編集者にはそういうことはないのかなあなど聞いてみたい気がする。書籍に編集者は、自分の仕事という感覚がボクらよりあるのだろうか?

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2009/06/20

麻生自民党の断末魔 鳩山民主党の無責任

 政局は、もう無茶苦茶である。

「惜敗を期して」と首相 都議選応援で言い間違い(共同通信)

 都議選の自民党立候補予定者の応援を行ったが、文京区の選挙事務所で、「必勝を期して」と言うところを「惜敗を期して」と言い間違えた。あわてて言い直したが、自民党は都議選で苦戦が予想されているだけに周囲からは笑いにならない笑いが漏れた。…

 求心力もここまで失えば、果たして今後、政局を主導的に切り開く条件があるのだろうか、などと思えてしまうが、どうだろうか? 総裁選前だし? それとも、破れかぶれ解散というのはあるのだろうか? 解散は「集団自殺」だという発言も聞こえてくる。

 一方、のりのりの鳩山さんだけれど。

民主鳩山代表 西松事件は「小沢事務所の問題」(産経新聞)

 民主党の鳩山由紀夫代表は20日、西松建設違法献金事件で前社長の初公判が行われたことに関連し、小沢一郎代表代行の説明責任について「今回は西松建設の問題で(小沢氏の公設秘書の)大久保隆規被告の裁判とは別」としたうえで「基本的には小沢代行の事務所の問題だ」と述べ、あくまで小沢氏個人の問題との認識を示した。遊説先の宮城県大崎市で記者団の質問に答えた。…

 検察は、”天の声”があった、そのための闇献金だと言っているのである。これにたいし、あえて代表代行に小沢さんを選んだ、民主党に説明責任はないという神経は、どうなのだろうか。
 この問題は、政党のありようにかかわる本質的な問題である。
 メディアも、その役割の発揮が求められているのではないのか。

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日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか

846 児童精神科医として診察をし、学校現場からの相談も受けている著者は、「居場所がない」「疲れた」と訴える子どもたちと日々接している。そのような中、日本語の子ども版QOL尺度の開発に関わり、調査を行ったところ、多くの子どもたちが自分に自信がなく、自分自身や学校などの満足度に関する質問に対し、下から2番目の「ほとんどない」という答えを選択していることに衝撃を受ける。5段階の下から2番目が「標準」となっている日本の子どもたちの心の現状。ユニセフの調査でも、日本の子どもの主観的な幸福度は、他国と比べて突出して低いことが報告されている。  本書では、調査結果や診療・学校現場での豊富な事例をもとに、自尊感情という視点から、子どもたちの現況を見つめ直す。

 QOLという子どもの生活の質の安定というものを調べる調査では、とりわけ日本の子どもたちの自尊感情の低さが顕著だという。上記の通り、それはユニセフの調査にも対応している。このQOL調査の有効性は、勉強しないとよくわからないが、かかれている内容は興味深いし、勉強にもなる。たとえば、この自尊感情は、前思春期の時期から低下し、中学生で大きく落ち込むわけだが、高校になっても回復しないという。高校入試のストレスというより、入試制度そのものがつくりだす発達のゆがみというものを感じる。

 実際の事態は、子どもの成長や生存の危機と言っても良いような実際がある。自尊感情をはぐくむには、まず家庭を直接支援すること、そして学校を支援すること――学校の活動を管理したりするのではなく、子どもを中心とした活動が自由に豊かに展開できるように支援すること、しかも、現在の子どもの実態を考えたとき、たんに教員とりくみだけではなく、養護や事務職員、カウンセラーやソーシャルワーカー、さらには学校外の福祉や医療の機関と一体になったとりくみをすすめることが大切だということを、強く教えてくれる。
 そのこととも関連するけれど、本書の著者がたとえば教育に踏み込んで発言する内容は、若干、心許ない。30人学級などの指摘は、共感できるが、全体的にはやはり、心理主義的であり、社会のあり方、制度のあり方により踏み込んで考えていくとき、学際的な議論をもっとすすめる必要があるのだと思う。

 もう1つ。QOL調査は、高校1年までを対象としている。若者の実際の自尊感情の低さを考えたとき、若者期を対象にした議論も期待したところでもある。

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2009/06/19

NHK:「番組内容偏向」にHPで回答文書

 月刊誌の、企画の仕込みの仕事というのは、実は、ものすごく苦しい時期。かなり疲れる1日でもある。

 さて、

NHK:「番組内容偏向」にHPで回答文書(毎日新聞)

 NHKは17日、NHKスペシャル「シリーズ JAPANデビュー 第1回アジアの“一等国”」(4月5日放送)について自民党の国会議員有志らが「内容が偏向していた」などと指摘している問題で、主な批判について視聴者に説明する文章を、同局ホームページ(HP)上の「プロジェクトJAPAN」に掲載した。…

 説明の現物はこれ

 先日、自民党にはこういう動きがあった。

自民党:公共放送を考える議員の会が発足総会(毎日新聞)

 NHKスペシャル「シリーズ JAPANデビュー 第1回アジアの“一等国”」(4月5日放映)の内容が偏向していたなどとして、自民党の国会議員有志でつくる「公共放送のあり方について考える議員の会」が11日発足した。会長に古屋圭司氏(衆院議員)、事務局長に稲田朋美氏(同)が就任。国会内で開かれた設立総会には森喜朗、安倍晋三の両元首相、中川昭一前財務・金融相ら約60人が出席した。
 番組は、日本による台湾統治について、関係者の証言や歴史資料「台湾総督府文書」などから検証。一部の市民団体がNHKに対して「反日で貫かれている」などと抗議したほか、自民党の議員連盟「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(中山成彬会長)も質問状を出した。

 自民党の側の、放送への圧力というのは常套手段でもある。自民党内には、放送モニターの制度があって、自民党にとって、都合の悪い番組は、すぐに動きが起こる。98年の参院選の惨敗で作られた制度だ。自民党は平気で放送局の幹部を読んで、いろいろ意見をする。その圧力に影響を受ける放送局も放送局なのだけれど。

 今回の、NHKの番組は、動きを起こしているのは、ご存知、「靖国」派と呼ばれるメンバーである。ただ、その内容は、「反日で貫かれている」とくり返されるばかり。「台湾総督府文書」や、どちらかといえば親日と言われるような人たちの証言を中心につくられていただけに、よっぽど、この番組は、痛いところをつかれたのかもしれないなあ。
 番組そのものは、以前にも書いたけれど、よく取材したという面と、NHKらしいバランスという両面はある。ただ、NHKの人たちは、いろいろなことを想定して、よく考えてつくっているということも推測されるような感じだったけれど。
 こうした攻撃そのものが、彼らの弱点を示していると言えるけれど、そうだとしても、そうせざるをえないのが彼らの、最大の弱みなんだろうとも思うけれど。

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民主党と政策を語る会 議事録

 6月1日におこなわれた経団連の民主党と政策を語る会の議事録が、今日、経団連のHPにアップされていました。実物はここ。

 基本的には、民主党の政策の説明が中心。財政の支出については、目玉的なものを強調するということが目立つ。これが格差是正の基本的な手法かなと。歳入については、いろいろいっても、消費税増税は隠さない。法人税や高額所得者の所得税増税については、歯切れは悪い。

 ざっと読むだけで、なるほど、民主党というのは、個々には財界との意見の相違があっても、その枠内で、政治を語っているということが、それなりによく分かるけどどうだろうか。

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2009/06/18

腰痛で…

 ここ数日、腰に違和感。そろそろ、と思っていたら。

 とにかく、静かにしています。今日は。


 何もせず。

西松建設献金事件:パー券問題、二階氏側の不起訴不当--検察審

 やっと、先を展望した仕事ができる体制になりつつある? ちょっと、頭のなかは枯渇してますけど…。

西松建設献金事件:パー券問題、二階氏側の不起訴不当--検察審(毎日新聞)

 自民党二階派(会長・二階俊博経済産業相)の政治団体「新しい波」が04~06年、西松建設からダミーの2団体名義で計838万円のパーティー券代を受領していた問題について、東京第3検察審査会は前社長の国沢幹雄被告(70)を起訴猶予とした東京地検特捜部の処分を「起訴相当」と議決した。議決は16日付。当時の会計責任者で元国家公安委員長、泉信也参院議員や担当者らの不起訴処分については「不起訴不当」とした。
 特捜部は国沢被告が民主党の小沢一郎前代表側への政治献金で既に起訴されていることなどから起訴猶予とした。議決書によると、東京第3検察審査会は「十分な証拠があるのに納得できない。検察官は『求刑も量刑も変わらない』と言うが理由になっていない。政治にかかわる問題だけに、すべてを法廷で説明した方が国民全体が納得する」とした。一方、泉議員ら二階氏側については「捜査が尽くされているとは到底言えない。強い政治不信が見られる政治状況を踏まえると、さらに踏み込んだ捜査が期待される」とした。
 大阪市の市民団体「政治資金オンブズマン」の申し立てを受け、同審査会が議決した。…

 くわしくは、上脇さんのブログ

 そして、阪口さんのブログ

 問題の本質をあいまいにはできません。

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2009/06/17

家族の再生~ある児童養護施設の試み~

 続いて見た、ドキュメント2本目。

0906091  増加する虐待の渦中の子供たちの声を聴こうと、毎日放送報道局の米田(こめだ)佳史ディレクターが、生活単位を小さくした7棟の住宅の小舎制の取り組みで全国から注目される舞鶴学園の番組を企画。児童養護施設の取材は子供たちのプライバシーを理由に拒否される場合が多いが、施設への偏見を取り払い、養育の実践を社会に発信する機会にと、学園側も協力した。  2007年8月から8カ月間、スタッフらは学園に密着した。時にはカメラを置いて子供たちと遊んで信頼関係を築きながら、ありのままの普段の生活、卒園式などの様子、離れて暮らす両親への想い、いつも彼らのそばで支える職員たちの姿を追い、延べ40日間収録した。 番組「家族の再生~ある児童養護施設の試み~」は、昨年4月21日に放送され、深夜の時間帯にも関わらず、多くの反響が寄せられた。自身の子育てと重ねて元気をもらった人、養護施設での仕事を志望する息子に反対していた親が理解を示したり、自分の家庭を見つめ直すメッセージとして受け取る人もいた。関係者からは、施設の様子を伝える内容で胸のつかえが取れたと喜ばれた。  学園の取り組みは放送関係者の心も打ち、民放連の08年の連盟賞・最優秀賞を受けたほか、今年五月には放送文化基金賞の番組賞も受賞。こうした優れたドキュメンタリー番組を集め、NHKが民放の協力で14日、21日に全国エリアのBS2で紹介する。この中で再放映の打診を受けた学園は、養護施設への正しい理解を深めてもらえればと了解した。14日午後1時~同6時、他の作品とともに放送予定。 桑原園長は「取材の受け入れは施設側にとっても覚悟が必要でした。視聴者の多くの方から応援のエールをいただき、放送から1年経ったいまも励ましを受けています。登場した子供たちの純真で健気な姿が、人々の心を動かした結果だと思います」と話している。小舎制の導入から8年。施設という垣根を越え、市民との交流が進み距離が近くなったと感じる日々を迎える。

 実際には、いまの児童養護施設をめぐる実態というのは、もっと厳しいものだと思う。虐待の広がり、その一方で、支援の薄さ…。そういう意味では、お涙ちょうだいで終わっていて、現実を切り取っていないという批判もなりたつ。
 たしなにそうだとしても、これだけ丁寧に、児童養護施設の子どもたちを追ったドキュメンタリーはこれまできない。切なく、そして力強い内容になっていて、心を打つ。とても、ていねいな作品だと思った。

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光と影~光市母子殺害事件 弁護団の300日~

 ここ数年、NHKが民放のドキュメントのコンクールの受賞作品を、BSでまとめて放映している。今年も、今週と来週に、放映される。それを録画して、今日2本、まず見た。
 その一本がこれ。

 あれだけ、問題にされた事件である。

 1999年4月14日、山口県光市で本村洋さんの妻と生後11ヶ月の長女が殺害された。当時18歳だった少年が逮捕され、一審二審の判決は、無期懲役。しかし、最高裁は、死刑含みで、審理を広島高裁に差し戻した。「光市母子殺害事件」。最高裁の途中段階から、弁護団は、差し変わった。それは、起訴事実を争わず、ひたすら情状を主張してきた旧弁護団には、「死刑含み」の状況に危機感を感じたためである。そこで、21人の弁護士が集い、この事件を再調査することになる。そこで、弁護団が見たものは、流布された凶悪な被告ではなく、精神年齢の低い青年像だった。そして、被告は、殺意はなく、強姦目的でもなかったと、新しい弁護団に告白する。しかし、感情的な空気の中で、世論は「荒唐無稽な供述を始めた」「死刑が恐くなって事実を翻した」と被告を非難、更に、弁護団にまで、鬼畜、悪魔とバッシングの嵐が吹き荒れる事態となった。東海テレビでは、こうした中で、刑事事件の弁護活動とは、どうあるべきか、弁護士とは、どういう職責を持つものなのかを、多様な視点から、冷静に見ることが必要であるとの考えから、弁護団会議などにカメラを入れ、取材を重ねてきた。果たして、この番組から、何が見えてくるか…。

 ボクには、この事件の真相なんて、解説も、解読もできない。
 でも、この事件が、「被害者」というセンセーショナルなるな言葉とともに、注目されたにもかかわらず、実は、裁判の最初から事実認定が、しっかりされていなかったことが事実である。そのために、加害者の側の、考慮すべき複雑な問題などは考慮されずにすすんでしまったことは事実であると思う。

 やっぱり、とても重い。ボクらが刑事事件に向き合うということの重みを痛感させられる。
 でも、刑事裁判が、復讐の場でないのなら、罪というものに向き合う場になることを望みたい。ならば、真実にボクらは向き合わなければならないし、厳罰だけがその方法だということには納得はできない。

 以下、ナレーターの寺島しのぶさんのコメント。

 「光市母子殺害事件」は、あまりにもショッキングな事件でしたから、初め この番組のナレーションのお話が来た時、お受けしたくないと思いました。ナレーションをして、今は、よかったと思っています。番組を通じて、被害者家族、弁護団、裁判官など、色々な人が、この事件に関わっていて、様々な見方があることが分かりました。  特に「鬼畜」と非難された弁護団の人たちが、何をしていたのかは、初めて知ったという感じです。弁護団の立場でもなく、被害者遺族の立場でもなく、感情的にではなく、あくまで冷静に、「事実は、こういうことだったのではないか」が確実に伝わればと、ナレーションしました。  裁判員制度が、まもなく始まりますが、この事件に限らず、人を裁くということが、難しいことだと感じました。

 なかなか言葉が見つからない…。

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2009/06/16

公立小中耐震化:診断公表進まず…自治体、財政難など理由

 今日は…。なかなか快調とはいきませんね。原稿がポツポツやってきて、その処理。会議もあります。ちょっと、キレた?会議。

 土曜日の講義の感想が送られてくる。とてもほめられたものではなかったけれど、ボクの伝えかかったことをうけとめてくれていた嬉しかった。リーダーたちが討論でうまくフォローしてくれた証だなあ。
 でも、それだけに、もっと、休まずに、考え続けなければいけないと、責任を感じる。
 わからないことが多いけど、コツコツと、ね。

 さて、重大なニュースのクリップ。

公立小中耐震化:診断公表進まず…自治体、財政難など理由(毎日新聞)

20090617k0000m040024000p_size8 文部科学省が16日に公表した耐震化状況調査の結果では、改正地震防災対策特別措置法で義務付けられた耐震診断と結果公表を多くの自治体が実施していない実態が浮き彫りになった。文科省は「安全性をないがしろにした姿勢」と指摘、改善が見られない自治体を厳しく指導していく構えだ。背景には、公表により保護者の不安が増す懸念や自治体の財政事情もある。
 県や市町村、組合など1880の設置者のうち、診断結果を公表していないのは全国に320ある。法に反してまで公表しない理由を、大阪府吹田市は「耐震化スケジュールは決まっているが、各校の優先順位が確定していない。そんな段階で診断結果を出せば保護者の不安をあおる」と説明する。…

 残念ながら、こういう大事な発表でも、文部科学省のHPにはその日のうちにアップされない。

 わが市の、ここのところ耐震調査の前倒し実施などをすすめているが、工事そのものが、すすんでいるわけではない。安心社会というものがずれているということの証左の1つでもある。自治体負担の軽減の措置がとられるといっても、自治体の負担は自治体の現在の財政の現状からいって、小さくはない。残っている数が多いし。これまで、教育にお金をかけてこなかったツケがここまできている。政治の優先順位がずれているということにほかならないのだと思う。

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雇用軸に“5つの安心” 実現会議報告書 消費増税『議論を』

 昨日、クリップすることができないかったニュース。

雇用軸に“5つの安心” 実現会議報告書 消費増税『議論を』(東京新聞)

 有識者が国の将来像を提言する政府の「安心社会実現会議」が十五日、報告書をまとめ、麻生太郎首相に提出した。雇用を軸に「五つの安心」の保障を掲げ、消費税率増を含む財源確保の方策を「堂々と議論すべきだ」と明記した。
 首相は、こうした考えを政府の経済財政運営の指針「骨太の方針2009」に盛り込むとともに、自民党の次期衆院選マニフェストにも反映する方針だ。
 報告書は、雇用、出産・子育て、教育、医療・健康、老後・介護の五分野で「切れ目のない安心保障」を構築する必要性を強調。
 政府が取り組むべき優先課題のうち、二〇一一年度までの緊急施策として(1)子育て、低所得世帯を支援する給付付き税額控除の創設(2)非正規労働者への社会保険・労働保険適用拡大(3)社会保障番号(カード)の導入-など十項目を挙げた。
 一〇年代半ばまでの消費税の社会保障目的税化、二〇年代初頭までの財政支出均衡の実現も打ち出した。…

 実物が、これ。

 感想は3つ。
 1つは、どれだけ、いま多くの人たちが直面している経済的な困難に効果があるのかという問題。あまりにもつまみ食いで、票をかすめ取ろうという意図が見え見え。
 2つは、問題のすり替えが多いのではないのか。これって、ほんとうに安心社会に関係のあるのという提案まで、どさくさにまみれて。
 3つめは、そのうえで消費税を言うのかという問題。これでは安心ではなく、不安でしょう。と。

 もともと、もう先のない麻生内閣のもとで、こんな提言もはかなく見えるのだが。

 ちなみに、財政制度審議会が海外調査報告書を出している。これはおもしろい報告書。欧米を調査したものだけれど、高額所得者への増税だとか、間接税の減税だとか。いろいろ検討のしがいがあるもの。

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韓流シネマ 抵抗の系譜

 日曜のETV特集の表題の番組を、録画して見た。相方と長男が、映画を見ていたため(苦笑)。

Img0614_04s 映画やドラマで圧倒的人気を博す“韓流”。しかし、その隆盛の背後には熾烈(しれつ)な現代史がにじんでいる。  “韓流”の源流は、日本の植民地支配の黎(れい)明期、そして、戦後の解放、朝鮮戦争、それに続く冷戦・・・と、映画が国家意思と一致することが求められた過酷な時代にまで遡(さかのぼ)る。“韓流”爆発に至るまで、映画人たちは、どのように時代と格闘し、自(みずか)らの表現を獲得してきたのだろうか?  この春、日本での“韓流”ブームの火付け役となった在日のプロデューサー李鳳宇は、かねてからの念願だった韓国の映画人の足跡をたどり、往年の巨匠や名優たちを訪ね、映画への志を存分に語りあった。番組では、映画人たちの証言をつむぎながら、スクリーンに映された朝鮮半島の現代史を見つめる。

 もともと「知る楽」という番組で放映されたもののダイジェストのような番組。十分に、知る楽はみれなかったので、おもしろくみた。
 韓国映画の根底にある、民衆への目線というものが、「アリラン」を原点に、植民地支配の抵抗のなかで培われたことは少し衝撃的でもある。

 戦後の軍政や、南北戦争の悲劇は、実は日本とは無関係ではないことは痛感させられる。チョ・インギ、そして大好きなイム・グオンテクの執念と、一方で、自主規制の怖さを語ったところが胸に突き刺さる。はじめて知ったが、グオンテク監督自身、南北戦争にかかわり連座制で苦しめられた体験をもつ。インタビュアーのリ・ボンウ自身も、その父は、チェジュの4・3事件にかかわりがある。民族的な大変が、直接、映画に刻まれている。

 開花するイ・チャンホ以後の世代。くみつくすことのできないほどの韓国映画の魅力の系譜=「抵抗」を見せてもらったような気がする。半分以上はみているが、みていない映画もいくつか。すぐにみたいが、DVDになっていないものもありそう。

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2009/06/15

「村木局長が偽造指示」=自立支援法の成立意識か-「議員案件」で徹底・郵便不正

 土曜日は、午後から関西のほうに向かう。若い人の前で1時間半ほどの話をする。時間が直前になって、短くなったこともあり、時間配分がうまくいかずに、ちょっとまとまりのある話にならなかって、落ち込む。話がバラバラになってしまったこともそうだけれど、話してみて、論理的につまっていないという部分を痛感する。それだけに、やっぱり勉強不足を痛感させられる次第。自分なりの話をすることがたぶん求められている。しっかり、がんばらないといけないのだろうけれど…。なかなかむずかしい。

 さて、ひどいことが明らかになる。

「村木局長が偽造指示」=自立支援法の成立意識か-「議員案件」で徹底・郵便不正(時事通信)

 障害者割引郵便制度の悪用に絡み、自称障害者団体の証明書を偽造したとして、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長村木厚子容疑者(53)らが逮捕された事件で、部下だった同省係長上村勉容疑者(39)が、大阪地検特捜部の調べに対し、偽造について、「村木容疑者から指示された」と供述していることが15日、捜査関係者への取材で分かった。
 村木容疑者は当時、障害保健福祉部企画課長で、証明書発行は同課内で「議員案件」として、特別扱いだったという。
 複数の厚労省職員が任意聴取に「障害者自立支援法の成立が同課内の絶対的目標だった」と供述したことも判明。特捜部は、最大の懸案だった同法案をめぐる国会対策を念頭に、村木容疑者らが組織的に不正を行った可能性もあるとみて調べる。

 さて、ここでささやかれるのが、主要野党の議員の介在である。国策捜査などともささやかれるが、はたして、真実はどうなのか? 時事ではここまで報道しているのだが。
 記事からは、政官財の癒着がまざまざとかいま見え、その主要政党が主張するような官僚主導の政治とのたたかいなどというのが、きわめて単純化したものの言い方であることを明らかにしているわけであるが。そして、そこには、障害者の生活実態や権利などを考慮するということは、まったくおこなわれていないわけである。

 こうした問題を問うことも、こんどの選挙の重要な課題であるはずだ。

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ゆびさきの宇宙

 関西から帰ってくる電車のなかで、一気に読み終えた。

0254090 ヘレン・ケラーと同じような障害をもつ東大教授・福島智.無音漆黒の世界にただ一人,果てしない宇宙に放り出されたような孤独と不安.それを救ったのが母の考案した「指点字」とその「通訳」の実践だった.盲ろう者として幾多のバリアを突破してきた福島の生き方に魅せられたジャーナリストが密着,その軌跡と思想を語る.

 ボクが福島さんの発言を読んだのは、自立支援法に反対する「朝日」のオピニオン欄がはじめてだったと思う。応「益」ということについて、とてもわかりやすく、的確に批判されていた。
 今度、爆笑問題のテレビをきっかけに、この本を読んでみて、福島さんが主張されていたことのどれほどを理解していたのかと、恥ずかしい気持ちになる。

 周知のように福島さんには、盲ろうという障害がある。盲ろうと言っても、それをキーボードで打っても一発で変換されないことに象徴されるように、それほどよく知られた障害ではない。ボクも、この本を読むまで、たいへんな障害だという印象がある程度で、それ以上、考えたことはなかった。

 でも、何も見えず、聞こない。全くの暗闇の世界に放置された、その孤独と絶望は、本当に恐ろしいものがある。
「しさくは きみの ために ある」 この本に出てくる言葉には、心を打つ言葉が多いけれど、その一つに、この言葉がある。福島さんが、光とともに、さらに音まで失った時機に、友人から送られた言葉だ。

 ボクは、障害というものを考えるとき、障害がその人にとって、どのような問題なのか、障害とともに、その人が生きるということはどういうことなのか、もっといえば、その人は何のために生きているのかという問題から考えるなどしたことがなかった。しかも、これは、障害がある人に限らない、人が人として生きていくうえでの欠かすことのできない問題でもあるのだ。生きるうえで、大切に考えなければならないことを問いかけられる。

 福島さんは、指点字とよばれる方法で、周りとコミュニケーションをとる。しかし、そのコミュニケーションは、すべて通訳の人によりかかって、はじめておこなわれる。どんなに、このコミュニケーションによって、世界とのつながりを再構築してくことがすすめられようが、その関係性は、ある意味、脆く、難しい。愛し合った女性との別れ、最愛の夫人との葛藤。

 障害ゆえの社会的バリアを突き破るとりくみは、想像を絶するようなねばり強い、たたかいでもある。福島さんはそのシンボルを演じ続ける。そのことそのものが彼の生き様でもある。その根底をささえるのは、バリアを取り除くのは社会の役割であるという障害観、障害は社会的なものであるという考え方なのだろうと思う。
 同時に、人間のしたたかさと言えば、不遜な表現になってしまうけれど、その可能性やすばらしさということを痛感する。

 存在すること、生きているということそのものが大事な、すばらしいことなんだ――そんふうに一人ひとりが人間として尊重されるような人間関係が大事にされる、そういうことが、ほんとうに実感し、共有できる、そんな社会に、一歩でも近づくことができればと痛感する。

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2009/06/12

麻生内閣 さらなる迷走

 二男が帰ってくるのが1時ごろだったので、まっていると睡眠不足になる…。
 今日は、寝坊した。

 午前中は、会議。昼から、講義の資料づくりに没頭、でも講義時間が2時間から1時間半に…。うまくしゃべれるかなあ。帰りの電車のなかで、『ゆびさきの宇宙』をよみはじめる。

 さて、政局は複雑。

鳩山総務相辞任、政権打撃 首相「混乱の印象、遺憾(朝日新聞)

 鳩山総務相は12日、日本郵政の西川善文社長の更迭要求を麻生首相に受け入れられなかったとして、首相に辞表を提出し、受理された。首相は早期決着を求める政府・与党内の声に押され、事実上、鳩山氏を更迭した形だが、衆院解散・総選挙を間近に控え、政権運営に大きな打撃となるのは確実だ。
 首相は記者団に、鳩山氏を辞任させた理由について「国民の財産の郵政事業に関し、政府と郵政会社との間に混乱を生じた印象を与えたことははなはだ遺憾。早急に解決されてしかるべきだと思って、判断した」と語った。後任の総務相は、総務副大臣の経験のある佐藤勉・国家公安委員長に兼務させる。
 首相は西川社長については基本的に続投させる方向で、総務省の業務改善命令に対する日本郵政の改善計画を見極めたうえで最終判断する考えだ。 …

 でも、もともと、問題の発端は、西川さんが、出身の三井住友グループと注釈したような、簡保施設の売却などからはじまってた話。郵政の民営化が、実は、財界による国有財産のぶんどりであったことを象徴するような事件だったはず。麻生さんは、財界よりの判断をしめすことで、「改革」の後継者の位置を確保して、民主党との違いを出そうと焦っているのか。

 そもそも、経済財政諮問会議の方針をめぐっても揺れている。

社会保障費:抑制方針の撤回強調…自民・園田氏(毎日新聞)

 自民党の園田博之政調会長代理は12日夜、TBSの報道番組に出演し、社会保障費を07~11年度に毎年2200億円削減する政府方針について「削減は限界で、来年度予算ではないと思う」との見通しを示した。来年度予算編成をにらみ、社会保障費の抑制方針を撤回すべきだとの考えを強調したものだ。
 政府の経済財政諮問会議が示した「経済財政運営の基本方針」(骨太の方針2009)の素案は、社会保障費について「骨太06を踏まえ」との一節が入っている。骨太06は07~11年度に社会保障費の伸びを毎年2200億円ずつ削減する目標を掲げており、この路線を来年度予算でも続けると読める。…

 麻生さんの立ち位置は、財界からの要求というものが透けて見える。

 もっとも、迷走を見せいているのが、CO2削減目標をめぐる動きである。

ガス削減目標 これでは先導できない(信濃毎日)

 日本政府は温室効果ガスの排出削減のため2020年までの中期目標でどんな数字を示すか-。内外の注目が集まっていた。麻生太郎首相が発表したのは「05年比で15%減」だった。…
 現行の「京都議定書」は京都での会議で生まれた。京都議定書後の新たな国際的枠組みづくりでも、日本は特別の責任を持っていると考えるべきだ。
 その点に照らすと、中期目標は後ろ向きの印象が否めない。
 一つには、基準年の取り方だ。1990年と比較するより05年と比較した方が日本の場合、削減の数字は大きくなる。その間に排出量が増えたからだ。
 欧州連合(EU)の削減目標は05年比では13%となる。日本の15%削減より低いが90年代以降、削減の実績を積み重ねてきた。90年比では20~30%の減である。
 日本と欧州は、見かけは同じくらいの削減幅でも、実質には大きな違いがある。
 もう一つは、高い目標を掲げて技術革新を促し、競争力を高めるといった気概が感じられないことだ。政府の検討委員会は6案を提示していた。低い削減幅を求める産業界と、高い数字を求める環境保護団体とが対立した。…

 90年比でみれば、8%ていどの減である。もともと、日本は京都議定書では、2008年から2012年までの期間中に6%の削減を公約していた。これでは、ほとんど、20年までに前進はないことになる。
 国際社会からの批判的な目に対し、財界は、「達成は厳しい」という反応なようだ。
 90年度比でいえば、先進国は30%減が国際的には求められている。ここでも、財界に対して、指導力を発揮できない麻生さんの姿がうきぼりになっている。

 この宰相は、自らの姿が、内外でどのように映っているのかということにさえ、自覚がないようである。

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強いられる死 自殺者三万人超の実相

Book 久しぶりに斎藤貴男さんの本を読んだ。よくもまあ、こんな過酷な取材を続けたものだと、それだけで頭がさがる。

 自分自身、そんなに強い人間では決してないから、いつもくじけそうになりながら生きている。でも、こんな本を読むと、心の底から、怒りの感情がわき出てくる。強いられた死を強制する、日本社会のみにくい姿が浮き彫りになる。だから、こんな社会をボクは許すことはできないと、強い思いに駆られる。

 そのとき、憲法を思い出す。25条もそうだけれど、その根底にある13条には「すべて国民は、個人として尊重される」とある。これを、一人の人間としての尊厳を大事にするということととらえたい。日本は、どうして、ここまで、人間としての尊厳を踏みにじるようになってしまったのだろうか。その再生の道筋を、自分の目で見つめたい。

 本そのものは、歯切れの悪さという批判もなりたつ。何を問いかけるのか? では、どうするのか? そこが明示されているわけでは必ずしもない。もともと、斎藤さんはこういうものの言い方をしたのかなあなどとも考える。
 でも、受けとめる人間は、社会や政治を問いかけるしかない。

 最後に1つ。中小企業の経営者の自殺の防止のとりくみに、生命保険の解約をすすめるということがあるそうだ。それを読んだとき、感じたこと。二男が大学に入学したとき、加入した生協の学生保険には、保護者死亡の際の、学費保障の特約があった。私学の学費がはっきりいって、極端に高額である。もし、自分が仕事を失ったり、病気になったりしたら、死を選べということかと感じた。四年前の長男のときには、こんな特約はなかった。もしかしたら、子どもの学費のための自殺というものも、今後、日本では増えるのだろうか? そんなことを感じさせた。
 現実に、自殺を誘発する穴が、この日本の政治と社会には、大きく開いている。

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2009/06/11

憲法審査会:与党、規程可決で野党分断狙う

 今日は、映画の試写会にいくつもりだったけれども、別の人にお願いして、メールのやりとり(依頼)と、講義の準備をすすめる。おおよその内容を固める。

 さて、憲法審査会が重要な局面を迎える。

憲法審査会:与党、規程可決で野党分断狙う(毎日新聞)

 衆院は11日の本会議で、衆院憲法審査会の委員数など運営手続きを定める審査会規程の与党案を、自民、公明両党などの賛成多数で可決・制定した。野党各党は反対した。ただ、与党は今国会で審査会委員を選任しない方針で、野党が過半数を占める参院では、規程制定の動きはない。国会で審査会が動きだすのは、次期衆院選後にずれ込む見通しだ。
 憲法審査会は、07年5月の国民投票法成立を受けて衆参に設置された常設機関。憲法改正の発議前に、改憲原案を審査し、各院本会議に提出する。審査会規程は、与党の国民投票法の強行採決に野党側が反発し、制定が先送りされてきた。来年5月の同法施行まで改憲案の提出・審査はできず、与党が制定を急ぐメリットは少ない。与党側の強い姿勢には衆院選を控え民主党との対立軸を明確にするほか、護憲の共産、社民両党と民主党との野党共闘のもろさをあぶり出す狙いがある。…

 もちろん、問題は、これが憲法改悪への一歩となりかねない重大な問題であるということが、最大だ。 
 同時に、根拠となる改憲手続き法そのものが、もともとさまざまな問題をもっている。国の最高法規である憲法の改正は、主権者である国民の意思が最大限くみつくされることが必要不可欠であるにもかかわらず、投票率のいかんにかかわりなく国民投票が成立することになっているという問題がある。地方での住民投票条例でさえ、通常、投票率50%で成立などの規定がある。
 そのほかにも、公務員、教育者の自由な意見表明や国民投票運動を不当に制限している。改憲案の広報や広告が改憲推進勢力に有利な仕組みになっている、利益誘導罪など、あいまいな規制があるなどの問題が指摘されているのだ。

 鳩山さんは、小沢さんなどよりはっきりした改憲論者だから、改憲大連立の布石などとも読めないわけではない、改憲の動きも軽視することはできない。

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私は貝になりたい

 今日は、実務をすすめる日です。少し、掃除もしましたが、資料が山積みの机のまわりはいっこうに整理されません。

 早めに家に帰って(と言っても、9時はすぎますが)、実は、見ていなかったこの映画のDVDを見た。

315x210 中居くんは、案外、よくがんばっている。戦争や軍隊の理不尽さや、主人公のやるせなさ、切なさ、痛々しさもよくでていて、泣かせる。心のそこから戦争は許してはならないと思わせる映画でもある。

 だけれど、以前にも書いたけれども、どうしても、気になるのは1つは、ほんとうに歴史の事実が描かれているのかという問題。BC級戦犯で最終的に死刑を執行された一般の兵隊はいないと林博史さんが書いている。そして、石坂浩二が演じた司令官のモデルとされる、岡田資にしても、中国戦線では、毒ガスの使用を指揮している。はたして、描かれたように、正義感にみちた人物だったのだろうか。

 もう1つは、BC級戦犯のほんとうの姿を描いたのかという点。戦犯たちは、大なり小なり捕虜の虐待や加害というものにかかわってきている。その事実と彼らは向き合うようになる。私は…のモデルの加藤哲太郎氏は、その後、巣鴨プリズンにおける反戦運動に参加し、「私たちが罰せられているのは、再軍備とのひきかえのためではない」と、日本の再軍備を批判した。
 この映画には、当然のごとく、加害という事実が視野の外におかれてしまっている。ましてや巣鴨にいた、朝鮮人の軍人・軍属のことなども視野の外におかれている。

 歴史の全容が、なかなか明らかでなかった、時代に、岡本さんたちが、このドラマをまずつくったことは、大きな意味があったと思う。しかし、ある程度歴史の事実が明らかになっている、今日に、そのままの内容で無批判につくるというのはどうなのだろうか。もっと問題の全体を正面から問いかけるような映画ができないのだろうか?

 とりあえず見ておかなきゃと思って見た映画で、見て損はなかったけれども…。

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2009/06/10

シリーズ JAPANデビュー 第3回 通商国家の挫折

 昨日は、深夜に、この表題の番組の再放送を、日曜日は、ちゃんとみれなかったところがあったので、みのがしている部分を見た。

090607_a 太平洋戦争後、GHQが徹底的に解体した企業があった。明治から大正、昭和にかけ国家と一体となり経済の屋台骨を支えた三井物産である。  150年前、貧しい島国として世界にデビューした日本は、貿易によって富国強兵の「富国」を実現する戦略を立てる。明治政府が貿易立国の担い手としたのは元徳川幕府騎兵隊長の益田孝が作った三井物産だった。世界に残された最後で最大の市場、中国に打って出た三井物産は、日清日露戦争の時代は綿製品の加工貿易で、重工業の時代には資源の獲得でイギリスやアメリカと熾烈な戦いを繰り広げた。  世界恐慌後の1933年、日本の綿製品輸出は世界一を達成し、経済大国へとはずみをつけた。しかしまさにその時、世界の貿易は自由貿易から保護貿易へと枠組みが変わってしまう。石油という戦略物資をめぐり英米の国際資本と激突した結果、富の源であった世界市場から閉め出されるに至る。  貿易を通し世界経済の激流のなかで日本の興亡をみつめ、未来への生存条件を探る。

 やっぱりずいぶん不満が残る。経済の論理と言えばそれまでだけれど、海外との貿易に立国の舵をとった裏返しとして、国内市場の脆弱さがつくられる。貧困な都市労働者、そして封建的な地主制のもとでの農民の貧窮。そのことが結局、国づくりの方向として放置され、むしろそれをバネに企業の海外展開がすすめられる。それは、現在の日本の基礎をつくっている。

 もう1つは、それでも、日本は貿易で利益をあげなければ生きていけない国であることも事実である。ところが国内市場の脆弱さとかかわって、極端に海外に原料と市場を求める方向が、武力による進出・侵略という形ですすめられた。そこでは、国際的なルールの遵守は2の次にされる。ところが番組では、あたかも資源の争奪のかけひき、そして判断で負けたというような描き方がされる。最終的な石油からの締め出しにしても、その結果すすんだ南部仏印進駐以前に、中国への全面戦争、その後の北部仏印進駐という事実があり、その結果としてもたらされたものであることは描かれない。

 このシリーズは、テーマごとに、ある一つの角度からものごとをみるという方法をもっているようだ。そのことで、現在の、日本の課題を見つめようとするのなら、それは誤った答えを導きだしそうな、危うさがある。

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爆笑問題のニッポンの教養 :「私は ここに いる」 福島智(障害学)

 この番組を見たいと思っていて、つれ合いにもこんな番組があるよって言っていたのに、子どもの用事に少しつきあわさせられて、時間に間に合わず、半分しかみれなかったし、つれ合いは録画もしてくれなかった。

 目が見えず、耳が聞こえない東大教授・福島智。爆笑問題の二人は、当初一体どうやってコミュニケーションをとればいいのか戸惑っていたが、やがて福島と徹底的に議論を繰り広げるようになる。テーマは「障害とは何か」「生きる意味」や「人間の価値とは何か」。
 福島は9歳で失明、18歳で聴覚を失った。光も音もない世界で、孤独と絶望にさいなまれてきた。その後、指先を点字タイプライターのキーに見立てて打つ、“指点字”という方法を母とともに考案、他者とのコミュニケーションを取りもどし社会とつながっている。
 福島の専門は「障害学」。これまで、医療や福祉、教育の視点で語られてきた“障害”に関する様々な課題を、社会や文化の視点から捉え直していく、新しい学問だ。
 そもそも障害とは、近代になって生み出された概念だと、福島は主張する。産業革命のころ、社会は大量生産を可能にする均質な労働力を求めた。それは一定程度の労働に耐えうる身体条件を備えた均質な労働者を必要とする社会でもあった。そこからこぼれ落ちる生産能力の低い人間を “障害者”とひとくくりにしたのだと福島は言う。
 常に自分自身や人間の存在を問い続け、思索を重ねてきた福島。爆笑問題との議論の行方は!?

 半分だけ見ていても、議論はおもしろかった。新しい広さをもった視点での、障害というもののとらえ方というのがあるのだろうと。盲ろうという世界そのものが、なかなか想像もつかないもの。指点字をとおしてのコミュニケーションというもの向こうにあるものとはも少し考える。

 やっぱり本を読んでみようかな。明日にでも、探してみようかな。

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財政再建へ「消費税12%」 内閣府、骨太案前提に試算

 被爆訴訟といい、重要なニュースがある。
 1つだけクリップしておくのが、これ。

財政再建へ「消費税12%」 内閣府、骨太案前提に試算(朝日新聞)

 政府の経済財政改革の基本方針「骨太の方針09」の素案が、9日の経済財政諮問会議で示された。財政健全化の指標である「基礎的財政収支」の赤字比率を5年未満で半減させ、10年以内に解消する新たな財政再建目標を盛り込んだ。その達成のため、内閣府は12%まで消費税率を引き上げることが必要との試算を公表した。
 試算は諮問会議の参考資料との位置づけで、増税案が「骨太09」に盛り込まれるわけではない。ただ、与謝野経済財政相は財政再建に必要な消費税率を総選挙前に明示し、消費税論議を活発化させる狙いもあるようだ。「骨太09」は今月下旬にも決定。10年度予算編成の土台となる。自民党の政権公約にも反映されるが、選挙前に増税や歳出削減の議論を嫌う同党との協議では紛糾が予想される。 …

かつて、骨太と呼ばれていた基本方針2009の素案なるものはこれ。

 明らかに、構造改革の修正をめざす経済財政諮問会議だが、景気対策の名で、あるべき国民生活の手当は後回しにされているというのは事実でもある。根本的に、社会保障の機能の回復・拡充と税制の改革をすすめないかぎり国民の安心・安全はない。

 ところが政治家と財務省は、消費税増税への誘導をわすれない。消費税に頼らないと、財政は改善しないという頑強な神話を手放すことはない。税制のありようは、また、当面の対策として優先されるべき問題は、いろいろなことが検討されようが、あるべき原則は、能力に応じた負担である。ここから見たとき、日本の税制の異常は、甚だしい。一方で、社会保障がすべての国民にたいして機能をはっきしないという現実があり、その恩恵を被れない弱者の多い。
 しっかりした議論が必要なのだと、痛感する。

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2009/06/09

学びたいのに:奨学金の課題

 現在は、同居する息子たちのどちらかが、かなり早い時間に学校に向かう。そのため、その時間(5時過ぎ)には目が覚める。したがって、どうしてもこちらは睡眠不足になる。自分の仕事が、朝早い日もあるわけで。
 今日は、朝から、原稿の処理を一本。今後の原稿の手だてをいろいろ考える。電話で相談なども。それから、会議。夕方に、日曜の講義の感想がおくられてくる。ちょっとした、新しい話のところが受けていた。そのことを念頭に置きながら、土曜日講義の準備を夜はすすめる。まだ、まとまらないけれど。

 さて、今日の毎日にこんなニュースが載っていた。

高校奨学金:24都府県で併用禁止 自治体移管で変更に(毎日新聞)

 日本学生支援機構(旧日本育英会、横浜市)から都道府県に移管された高校生への奨学金事業で、24都府県が公益法人や民間団体の貸与型奨学金との併用を禁じていることが毎日新聞の調べで分かった。機構が実施していた04年度までは併用を認めていたが、移管後に自治体の判断で方針を変更した。家庭が困窮し一つの奨学金では通学できない子も多く、教育の機会均等を掲げる奨学金制度の貧しさが浮かんだ。
 高校奨学金事業は特殊法人改革に伴い05年度、都道府県に移管された。自治体ごとに収入・学力基準を設けて申請を審査し、無利子で貸与する。額も一律ではないが、自宅生の標準的な額(3年間)は国公立高で64万8000円、私立高108万円。日本政策金融公庫の調査(08年)によると、高校3年間にかかる教育費は1人平均約326万円に上る。
 併用を禁じた自治体に理由を尋ねると「より多くの人に利用してもらうため」(青森県、岡山県ほか)▽「借りた子の返済負担が増え、多重債務に陥るのを防ぐため」(東京都、長野県ほか)--などの回答が多かった。
 併用を認めている23道府県の多くは「禁止の必要はない」と回答。愛知県は「ローンと違い修学にいそしむためのもの」、神奈川県や埼玉県は「学習の機会を保障するため禁じていない」と答えた。…

 記事には、解説も付されている。
解説:高校奨学金、併用禁止 教育の安全網、拡充を 高すぎる私的負担

 実態を追ったルポの内容はリアルだ。

学びたいのに:奨学金の課題/上 母子家庭「やっていけない」

 教育にかかる費用が家計を圧迫している。日本では国や自治体の教育費負担が少ないためだ。とりわけ不況や家庭の事情による低所得世帯が増え、子どもたちに進学のチャンスを与える奨学金制度の乏しさが浮き彫りになってきた。「学びたい」という若い願いをもっとかなえることはできないのか。まずはある母子家庭が直面した問題から考えたい。

 ◇私立校進学後に父急死/他制度併用禁止で働きづめ
 「なんでパパ死んじゃったの……」。高校2年の真紀さん(17)=仮名=は4年前、泣き疲れて眠りに落ちる夜を過ごしていた。父は職場から帰宅してくも膜下出血で倒れ、亡くなった。37歳の若さだった。
 一人っ子の真紀さんは小学生のころから家の経済状況が良くないことを感じていた。それでも両親は娘が受験で苦労せずに済むようにと、私立の中高一貫校に進ませた。母はパート、個人で建設業を営む父は土日も働き詰め。それでもたまの休みには真紀さんを遊びに連れて行ってくれた。
 母雅美さん(39)=同=は悲しみに暮れている間もなかった。労災申請は認められず、独立したばかりで年金保険料の支払いが足りなかったため、遺族年金も出なかった。中学校には授業料免除制度があったが、高校に上がると教育費の負担は大幅に上がる。でも娘の気持ちを考えると「家庭環境が急に変わったのに、学校や友人関係まで変わるのはかわいそう」と思った。
 悩んでいた時、中学の教諭に東京都の奨学金制度を紹介された。貸与額は月3万円。学校から「公的な奨学金との併用はだめだが民間なら可能」と聞き、遺児家庭を支援している「あしなが育英会」の奨学金制度を見つけた。学校に了解を取り、二つの制度で計月6万円を借りて昨春、真紀さんの高校生活が始まった。
 ところが半年後。高校の事務担当者から「併用はできない。どちらか選んでください」と指摘された。授業料だけで月3万5000円。施設整備費なども含めれば、学校に納める額は年間70万円を超える。通学定期代も高い。保険会社の契約社員として働きだした雅美さんの月収は15万円で、約2万円の児童扶養手当を含めても家賃や生活費に消える。「一つの奨学金では、とてもやっていけない」…

 学費や教育費の私的な負担が高すぎる――ここにそもそもの問題がある。
 しかも、日本の奨学金という制度には、子どもたちの教育をうける権利を守り、支えるという発想はない。たんなる自己責任、家庭責任のサポートをしているにすぎないという実態があらわになってくる。

 たしかにいろいろな対策もあらたに打たれている。それはそれで大切なことではある。

奨学金:無利子枠を倍増 家計急変に配慮…学生支援機構(毎日新聞)

 独立行政法人「日本学生支援機構」は09年度、親の所得減などで家計が急変した学生への無利子奨学金の貸与枠を倍増の8000人分に拡大する。過去に借りた奨学金が返せなくなった人への返済期限猶予や、海外留学する人への有利子奨学金の枠も大幅拡大する。
 同機構の奨学金の対象は、大学や短大、高等専門学校などの学生。家計の急変に対応する無利子奨学金は、従来は年4000人分の貸与枠があり、07年度は約2100人、08年度は約1900人が利用した。また、失業などで返済困難となった人には最長5年(病気などの場合は無期限)返済を猶予する制度があり、08年度は約4万5000人が利用したが、09年度は10万人まで猶予できるようにする。…

 しかし、根本から変えていかないかぎり、この進学をめぐって起きている、困難や悲劇は解決しないということは心したいと思う。

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マルクスは生きている ほか

41yc2bby9wvl__sl160_ 仕事のからみで、不破さんの『マルクスは生きている』を先日、読みました。不破さんの研究の到達点ですね。とくに、社会的バリケードの議論や、恐慌の運動論などの点が、おもしろかったです。
 考えてみれば、ボクの高校時代には、そのテキストが良いものかどうかは別として、少なくともマルクス主義に接することは、岩波新書の『マルクス・エンゲルス小伝』や『資本論入門』でできました。若い人が、不破さんのこの水準の高い新書を手にとって、読まれることを願いますね。

0257 仕事の必要性から結局、この『理論劇画 マルクス資本論 』も買って読みました。なかなか、正面から資本論の理論にとりくんでいる本で、びっくりしました。編集の努力も、なかなかです。

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2009/06/08

キャラ化する/される子どもたち―― 排除型社会における新たな人間像 ――

 疲れがだいぶたまっていますね。なかなかのんびりはできません。世の中は、いよいよ選挙という雰囲気になってきた。その選挙の日程は、メディアでは、8月末説が有力だが、ここにきて、国会の雰囲気は都議選投票日前解散というのが浮上している。いやがっていた公明党との話もすすんでいるなどという噂も出ていたりしている。麻生さんは、都議選後だと麻生おろしが強まるのを嫌っているという話もある。そんな決断が麻生さんにできるのかというのは疑問だが、さてどうなるのか。日々、緊張感が高まる日が続く。
 今日は、夜は、今週末に、また講義をしなくてはいけないので、先日とテーマは違うので、その内容をあれこれ考え始める。

 さて、衝撃的な秋葉原の事件から1年がたった。事件の真相や深層がすべて明らかになっているとは言えないが、この事件を通して、考えるべき問題は、たくさん提示されていて、考えるべきことは多い。
 たとえば、こんなブックレットが発売されている。

0094590 価値観が多元化した社会で感じる閉塞感.「優しい人間関係」のなかで排除におびえる恐怖感.ケータイやネット,家庭から学校といった子どもたちの日常は,過剰な関係依存で成り立っている.子どもたちにとって,現実を生き抜くための羅針盤,自己の拠り所として機能する「キャラ」.この言葉をキーワードに現代を読み解く.

 土井さんは、これまでも『友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル』 (ちくま新書)、『「個性」を煽られる子どもたち』. (岩波ブックレット)、『非行少年の消滅―個性神話と少年犯罪』など、刺激的な議論を提起して、子ども論をリードしている論客の1人。今度の本も、キャラということをキーワードに、子ども世界の深層を読み解く。

 カースト化する子ども世界とコミュニケーションの偏重、人間関係を乗り切るすべとしての外キャラと自己の安定をはかるための内キャラを求める心性の読み解きは、なるほどと教えられることは多い。
 しかし、この本のおもしろいとこは、その後半にある。子どもたちのこうした心性は、実は大人社会の裏返しなどだという指摘だ。大人自身が、子どもとの葛藤をさけ、内的キャラを求め、子どもをキャラという視点から見ようとする。そこでは、子どもの成長にかかわる社会的側面への関心はすてられる。問題のあるキャラは、排除されていく。少年犯罪をめぐる議論を題材にその議論をすすめている。
 では、子どもたちの行方は? 筆者は、多様な人間関係のなかで、異質な他者と、不気味な自己と向き合うことだと言う。それは、子どもや若者たち、そして現代に生きる大人自身のアイデンティティの再建ということなのだろうか?

 社会的な構造や国家政策などを対象に仕事をしているボクにとって、では、こうした問題を今の教育政策や社会政策という点で、どのように引き受けて、議論することが必要なのだろうか。

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もう、ひとりにはしない~ホームレス支援・北九州の現場から~

 深夜に放送されたこの番組を見た。ものすごい心に迫ってくる番組だった。

0607 仕事と住まいを失い、去年の暮れ大分から北 九州に出てきた堀孝徳さん(仮名29歳) 。20年間で700人近いホームレスの自立を助けてきたNPO法人「北九州ホームレス支援機構」に身を寄せた。堀さんは支援機構の職員、仰木節夫さん(67)らの協力で、生活保護を受けながら就職活動を始めた。ボランティアに加わるうちに「人の世話をする仕事につきたい」と介護の職をめざすようにもなった。しかし、仰木さんが手応えを感じ始めていた矢先、堀さんが突然姿を消す。仰木さんらの必死の捜索活動が始まった…。「誰かの支えがあれば、人は何度でもスタートラインに立てる」ホームレス支援最前線からのメッセージ。

 「派遣切り」にあった若者たちは、往々にしてさまざまな人間関係を築く上での傷をもつと言われる。自己肯定感の低さということも指摘される。だから大事なのは、ある意味で、騙されるというような行為をされても、その人のすべてをまず受けとめることだというメッセージが込められている。人間の尊厳を守るという取り組みは、その人が、人として生きる人間関係を築くという権利が保障されることなんだと。
 ”心を開いてもらう”というのは、とてもたいへんな取り組みだ。機構の人たちは、「家族」なんだ。だから、弱いところもすべて出し合うぐらい信じてほしいと訴えていた。でも、ボクも父親として、子どもにたいして、ここまですべてを受けとめるというのは、難しい。期待とまでいわなくても、あるべき姿視線というので、どうしても見てしまう。番組では、信じるということを基礎とした、ほんとうの厳しさというものも、問いかけていた。”痛い”ところだ。

 社会を変える取り組みとともに、生きた人間を支援するという粘り強い取り組みが必要であり、そういう努力がくり広げられている。

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2009/06/07

若者問題への接近~誰が自立の困難に直面しているのか~

Img00016200906061053 さて、昨日はあわただしい1日。朝から憲法改悪反対共同センターの全国交流集会に、渡辺治さんの話を聞きに、参加する。
 渡辺さんは、現在の改憲をめぐる情勢の大事な点として、解釈改憲の動き、憲法審査会開始の行動と来年に迫った改憲手続き法の施行、民主党の動き、そして、総選挙をどうたたかうかという点で話をされた。選挙に近くなり、民主党の動向もふくめ、いよいよ、緊張感のある情勢になっているとつくずく考えさせられた。

Img00018200906061442 いったん職場に戻った後、午後から労働政策研究・研修機構の表題のシンポジウムを聞きにいく。学術会議の共催というのが注目点。報告者は、太郎丸博さんという社会学者、そして、小杉礼子さん、岩田正美さん、宮本みち子さん。コメントが金井淑子さん、渡邊秀樹さん、そして読売の大津和夫さん。
 タイトルにあるように、誰が自立の困難に直面しているのかというテーマに焦点をあわせたもので、個人的には、興味深い。ただ、時間があまりにもなくて、個々の話ははしょったもの。社会学者の話というのは、ボクらとはかなり、考え方がちがうから、こういう研究者の指摘を自分として、どう受け止め、引き受けて、議論を組み立てるのかというのが大事なのだと思う。できれば、個々にもう少し時間をかけて話はききたい。消化不良と言えばそれまでだけれど、一方で、いくつか気になる論点もあったりもした。ようは、もっと、勉強しろということなのかと。そんあ宿題をもらいながら。

 夕方からは、「視点」という写真展のレセプションに。毎年参加しているが、いろいろな人と、挨拶し、話をする。O書店の社長さんともおしゃべり。

 あわただしい日が続いているせいか、怒りっぽい! 今日は、家で、一人で怒鳴っていた! 子どもたちが随分迷惑がっているのだろう。でも、まあ、こちらが怒鳴るのには言い分もある。実務的な手続きを責任もってすすめてくれないから。そのぐらいはちゃんとやれ!なっていいたくなって。結局、ボクに、こういういらいらする実務の処理が一手にくるのが、しんどいところ。
 今日は、まあ、昼食も、夕食も、ちゃんとつくって。いろいろと仕事に、家事に、忙しい日が続きます。

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戦争を着た時代

 今日は、午前中、若者相手の講義。何か、勢いだけでしゃべったという感じ。どこまでうまくしゃべれたのか、とても心許ない次第。

 さて、今日の夜。NHKスペシャルは、シリーズ JAPANデビュー 第3回 通商国家の挫折。経済の論理から見て、戦争に向かう社会はこのようにとらえられるのか。もちろん一面の時事ではあろうが、その解釈は、やや???。 再放送もあるようだし、そうそうに表題のETV特集を見る。

Img0607_04s 戦艦、戦車、戦闘機、肉弾三勇士に満州国旗―戦争をモチーフに描いた着物、「戦争柄」。日清戦争から日中戦争の時代に大流行したが、その後歴史の中に埋もれてしまった。  勇ましい柄として、男性用の羽裏や襦袢(じゅばん)、男児の日常着が多いが、花柳界などの女性の着物にも取り入れられた。近年、銃後の暮らしを探る研究が進み、生活用具や衣類にあらわれる戦争イメージが重要視されるようになってきた。戦争柄の着物は、人々の戦争への熱狂を知る手がかりとして注目され、収集と研究が進んでいる。戦争すなわち「勝利」だったこの時代、戦争柄は吉祥模様として国威発揚の機運を盛り上げた。着物の柄に政府や軍部の指導はなく、染め元が「売れる」から作った流行の柄だった。流行に地域差はあるが、人々は積極的に戦争柄を選んだ。着た記憶のある人たちは、先端ファッションをまとう誇らしさがあったと証言する。太平洋戦争が始まるまでは、戦争は消費の対象だった。戦争への熱狂は、上からの強制の結果だけで生まれたのではなく、人々の側から発生し、醸成されていった面もあることを戦争柄の着物は示している。また着物のほかにポスター類、子供茶碗(わん)といった生活具などから、戦争の表象を探っていく。

 戦争柄の着物なんて、全然知らなかった。おどろきとショックの連続の番組だった。もちろん、この絵柄の着物が主流になることがあったとは思わないが。
 こういう絵柄のものが、つくられたという事実の背景には、非日常の戦争の日常化ということがあったのだろうと想像する。つまり、はじめは、戦争というのは、庶民にとってはそんなに日常生活に近いところにあったのではないのだろうと思う。それが日常の生活に、着物柄として進入してくる。そして、そのような感覚が日常に覆い尽くす。

 着物そのものは強いられたわけではないだろう。が、社会を覆い尽くす気分は、強いられたものだ。絵柄は、その強制を積極的に容認する。社会がだんだんと変容する経緯を、この問題はよく現しているのだろう。
 ここでの主人公は子どもであることも、よく考える必要はある。
 もう少し、いろいろなことを知ってみて、現代を考えたいと思った。

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祝 サッカー日本代表 ワールドカップ出場決定!

 結局、見てしまいました。やっぱり。
 でも、よかったですね。いい選手がいっぱい出てきました。

 岡田さん、あつくなってはいけません。

 でも、知的で、スピーディーなチームになりつつありますね。

 よかった、よかった。

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2009/06/06

取材の一日。ワールドカップ予選が…

 今日は、朝から取材の一日。その内容については、後日。

 夜も、一仕事して、その後、講義準備をしようと思ったけれど、ワールドカップ予選が…。集中せん!

2009/06/05

「天安門」20年 北京厳戒 中国政府、事件に言及せず

 今日も午前中は会議、午後からは座談会原稿の整理。やっと原稿をつくり終える。夜には、出席者に発信。
 夜は、日曜日の講義の資料を少しつくる。

 さて、ほんとうは昨日、20年目だったので、書こうと思っていたテーマがこれ。
 20年前に今日は、友人の結婚式に参加するため、つれ合いと長男と三人で京都にいた。夜行バスで、奈良まで行って(天理教のチケットだった)、奈良公園で少し過ごして、午後に京都に行った。結婚式場のテレビで、この事件を見つめた。ちなみに二男は、まだ生まれていない。
 とても心の痛い事件だった。

「天安門」20年 北京厳戒 中国政府、事件に言及せず(中日新聞)

 民主化運動が武力弾圧された天安門事件から20年を迎えた4日、中国政府は事件について一切言及せず、抗議行動を警戒し北京市内に厳戒態勢を敷いた。犠牲者の遺族や一部の知識人は今も事件の真相究明と再評価を求めているが、政府は民主化運動を「反革命暴乱」とする姿勢を変えていない。
 中国は急激な経済成長により国内総生産(GDP)世界3位に躍進したが、一方で、共産党独裁下での社会の安定を最重視。欧米諸国の多党制や三権分立を導入しない方針を貫き、1989年に学生らが求めた政治改革は停滞している。…

 国家的な人権抑圧は、明らかに国際的な問題だから、許されないこととして強く抗議をしたいし、この事件もそういう思いで接していた。だから、現在、その総括が十分なされていないのは、とても残念なことだと思う。
 一方で、かの国は、どのような政治体制をとるのかは、基本的にはその国の人々の問題であるのだから、その国の人々の行動をまずは見守りたい。
 中国という国が、この20年で、政治的な面で一つも変わっていないとは決して思わない。劇的な変化という面もないわけではない。市場経済を大胆に導入しているのだから、いろいろな面で、自由というものが広がらないと発展しないわけなのだから。
 でも、大きく変わったということは、客観的に見て、それは到底いうことはできない。もともと、国民の合意に依拠しない体制は、一定期間は存在するとしても、大局的には、続くものとは言えないことも明らかだ。何よりも、中国が社会主義の道を歩もうとするのならば、国民がその道を自覚的に支持するような方向にすすんでいかないと、その事業は成功するはずがない。社会主義は、生産手段を社会、国民が共同で所有し、管理・運営をする社会なのだから。
 ならば、いまの中国はどうなのだろうか。あまりにもたくさんの矛盾と課題をかかえているし、政治的な面ではいまだ大きな問題をも内包したこの中国の模索の先にあるのは、どういう国の姿なのか。社会主義をかかげるのならば、それにふさわしい政治的にも、経済的にも、倫理的にも優位性をはたすことを切に願うものであるし、そうすることぬきに中国が未来に生き残っていくことはできないのだとも思う。しかし、一方で、経済の危機のもとでも、勢いもあれば、力強さもある国でもある。当時は、必ずしも弾圧した側にいたわけではない? のだろうと思える、いまの指導者の舵取りというものも含め、批判的な目でみるべき問題はその目でしっかりと見つつ、冷静に中国の明日を、いろいろな視点で、注目していたいと思うが。

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「二階派側は起訴相当」 市民団体が審査申し立て

 昨日、ある人と話をしていたら、小沢さんの西松問題での検察の対応をどう見るのかという話題になる。どうも「国策捜査」だということを言いたいようだ。そういう意見というのは、結構、根強くある。

 ただ、小沢さんの秘書逮捕にいたった事案は、公共事業の仕分けと密接にかかわるものだけに、悪質な性格の問題でもある。だからこそ、事件の全容解明が求められるし、民主党には、説明責任はある。

 ただ、ある人をして、「国策捜査」だと言わしめたのは、検察のもう一つの事件に対する態度にある。
 なぜ、検察は、二階がかかわる事件の起訴をみすごすのか。

「二階派側は起訴相当」 市民団体が審査申し立て(共同通信)

 西松建設がダミー団体を使って政治団体のパーティー券を購入したとされる問題で、大阪市の市民団体メンバーらが4日、自民党二階派政治団体「新しい波」の元会計責任者らを不起訴とした東京地検の処分を不服とし、東京検察審査会に審査を申し立てた。
 申立人は「政治資金オンブズマン」の呼び掛けで集まった憲法学者ら36人。4月末、新しい波の関係者や西松建設前社長らを東京地検に告発したが、地検は今月1日、新しい波側を嫌疑不十分で不起訴、前社長を起訴猶予処分とした。
 申立代理人の阪口徳雄弁護士は「このままでは小沢一郎民主党代表代行以外の政治家への献金の真相が闇に葬られ、不公平感が残る」と主張。
 パーティー券が二階俊博経済産業相の秘書を通じて売られていたことから「少なくとも秘書と前社長の二人は『起訴相当』としてほしい」としている。…

 上脇博之さんたちの、執念のたたかいである。

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2009/06/04

鳩山代表、岡田幹事長ら、経団連主催「民主党と政策を語る会」で意見交換

 今日は、午前中は会議。午後からは座談会の整理と原稿のやりとりが一本。夜は講義の準備。なかなか、余裕がありませんね。
 だんだんと、周りは選挙が近くなったという雰囲気に。まあ総選挙はたぶん3カ月以内にあるし、都議選まで、あと1カ月と少ししかないわけだから。

 そんなことで、1日に行われた、経団連主催の「民主党と政策を語る会」。ほんとうは経団連のHPにアップされてから、と思っていたんだけれども、なかなかアップされないので、感じたことを少しメモをしておく。
 内容はとりあえず民主党のHPにそれなりに掲載されている。これを見ても、基本的なこの懇談は、経団連の優先政策事項にもとづいて、民主党の政策を聞くという政策のもの。民主党から、経団連に何か要請がされるというものではない。「派遣切り」など大企業の経営のあり方が社会的に問題になっているにもかかわらず、どうも、そういう意味でははっきりしない懇談である。
 驚いたのは、それぞれトップが参加するという異例の体制でおこなわていること、それぞれの思惑で、この会合は重視されたということなのだろう。

 やはり、民主党の危うさは否定ができないように思う。
 たしかに、最近でも民主党は、生活保護の母子加算復活の法案を提出したりしている。その点では、国民的に必要な課題を国民の側に立って物言いをしているとい得なくはない。そういう例はいくつかある。だから、自民党政治を何とかしてほしいと思う国民も期待するところがあるのだろうと思う。しかし、問題は、では、生活保護の問題1つをとっても、社会保障の給付と負担の関係、税負担の累進制(能力に応じた負担)の原則をほんとうに回復するのかどうかということが実は問われる。ここの点は、実は、危ういというか、かなり危ない。
 たとえば、民主党税制抜本改革アクションプログラムを見れば、ボクの懸念は、わかってもらえるのではないか。所得税にしても、法人税にしても、とても曖昧で、消費税増税も見え隠れする。

 経団連との懇談でも、民主党が強調するのは、官僚支配による無駄の一層ということだ。でも、これがまた具体的ではない。だいたい官僚支配と言っても、それは、政治と財界と一体となってつくられたものだ。むしろ、官僚がかかわることには、国民生活に密着することが少なくない。官僚支配の名で国の職業訓練が縮小されたり、実際には「改革」の名で、さまざまなことが行われている。

 今日の朝日の時々刻々で、消費税増税をめぐる自民と民主の主張の違いを書いていた。読んでいて何となく、小泉政権末期の、与謝野・谷垣VS中川・竹中の対立とだぶってくる。すると民主党は、後者か。もちろん、現在は、両者とも、構造「改革」の修正を掲げているわけで、同じではないのだけれど、大きな枠組みとして、どこに向かうのかは定かでなく、どこかで、竹中路線との親和性を感じなくはないということでもある。
 結局、民主党の主張には、社会像、ヴィジョンというものがはっきりしないということを感じてしまうのだけれどどうだろうか。そこが危うさと危なさなのだと思う。

 もちろん、自民党政治は変わってほしい。だから、どんな政治が必要なのかを、よく話し合ったり、考えあったりしたいものだと、つくずく思おうのだ。

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派遣の労災 隠ぺい横行

 数日前の読売新聞からのクリップ。

派遣の労災 隠ぺい横行(読売新聞)

 息子を転落事故で亡くした飯窪慎三さんは、事故原因となった作業台を特注し、集会でその上に立って労働環境の窮状を訴えた(4月22日、都内で) 厚生労働省の調査によると、昨年1年間に労災で死傷した派遣労働者の数は5631人。2年連続で5000人を超え、製造業の派遣が解禁された2004年と比べて8倍以上に増えている。“労災隠し”の証言もあり、問題の根は深い。対策はあるのか
  「正社員じゃないからという理由で安全をおろそかにしないで……」
 日本弁護士連合会が4月22日、都内で開いた労災をめぐる集会。息子を転落事故で亡くした父親の飯窪慎三さん(59)(山梨県南アルプス市)が、こう訴えた。
 長男の修平さん(当時22歳)は2003年8月、製缶工場で、ベルトコンベヤーを流れる缶のフタの検査中、立っていた作業台から転落して頭を強打。意識不明のまま、約3か月後に死亡した。修平さんは当時、工場の製造ラインに携わる請負会社の社員。実質的には、今で言う派遣社員だったという。
 修平さんは事故の2日前、電話で「作業台が狭く、落ちそうで怖い」と父親に漏らしていた。その作業台とは、足場が40センチ四方で、高さは90センチ。手すりも背もたれもない。飯窪さんは同じサイズの作業台を特注し、その上に立ってみた。「苦痛で立っていられたのは1時間程度」と明かす。
 都内の男性(58)は、ここ3年間に2度も労災にあった。3年前、資材を運搬中、立てかけてあった高さ2メートル、幅1メートル、重さ30キロの資材が倒れてきて、こめかみ部分を20センチ切った。ひどく出血したが、派遣先の社員は「タオルで押さえとけ」と言っただけ。病院に行くまで30分も放置された。
 事前の安全研修もなければ、ヘルメット着用の指示もない。「派遣はこりごり。そう思うけれど、ほかに仕事がない」とこぼした。…

 最初の実例は、大和製缶の事件。続きも掲載しておく。
 竹信さんの本には、派遣先の事故ゼロを守るために、事故にあった派遣労働者が、段ボールに入れられた運び出されたということも紹介されていた。

 働く権利を守るため、課題は小さくはない。

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2009/06/03

防衛大綱:提言修正案を提示 自民検討小委

 今朝、出勤の電車で、久しぶりにT先生にあって、30分ほど、おしゃべりをした。知り合ったのは5年ほど前だから、まだ40代半ば。すいぶん、お互い老けたものである。でもT先生、漢方の先生の言いつけをまもって、8kg体重を減らしたとか。
 政局の話などひとしきり、最後は、韓国併合の話、それから南京での体験の話など。楽しいおしゃべり。仕事には、むすびつかないけれども(苦笑)。

 今日は、一日中、座談会原稿の整理に向き合う。ようやく6割というところか、少し先は見えてきた感じはしているけれど。夜には、日曜の講義の準備をはじめる。はて、さて、うまくいくでしょうか。遅めの夕飯はめずらしく長男と2人で。

 さて、

防衛大綱:提言修正案を提示 自民検討小委(毎日新聞)

 政府が年末に改定する「防衛計画の大綱」に向け、自民党国防部会の防衛政策検討小委員会は3日、前回会合(5月26日)で示した提言案について、修正案を提示した。前回会合の意見を受け、敵基地攻撃能力の保有に関し「日米協力体制を確立する」との文言を加えたほか、防衛予算の維持・拡充なども盛り込んだ。小委員会は同日修正案を了承し、来週にも党が提言を正式決定した後、首相官邸に提出する。
 修正案には、「策源地(敵基地)攻撃能力が必要」と記載した原案に、「米軍の情報、打撃力とあいまった、より強固な日米協力体制を確立する」との一文が追加された。党外交調査会長の山崎拓前副総裁は「北朝鮮のノドン200発を全部つぶすのか。(必要な装備は)トマホークでは済まず、爆撃機や空母も持たないといけない。現実問題としては難しい」と前回会合と同様に慎重論を唱えたが、賛成意見が大勢を占め了承された。…

 山拓の慎重論という図式も、おかしなものだけれど、よくもまあ、このような議論ができるものだと、あきれてしまう。9条を支持する世論で、大いに包囲したいものであるが。

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2009/06/02

基礎科学力の強化に重点…科学技術白書

 腰が痛いと思っていたら、首も痛い。痛い、痛いというのは年ですよねえ。
 今日は、座談会整理とにらめっこ。少し前に収録したものだけど、目の前の仕事をこなすので手一杯で、やっと軌道にのってきた感じ。会議、それから原稿執筆依頼の相談など。でも首が痛い一日。
 おとといは二男が、昨日は長男が○○を落としたという深夜の電話。その対応で、睡眠不足もあり。落とすとお金もかかるしね。兄弟ともというのは、親から伝わったものかなあ?

基礎科学力の強化に重点…科学技術白書(読売新聞)

 2009年版の科学技術白書が2日、閣議決定された。
 昨年、日本人4人がノーベル物理学賞、化学賞を受賞したことを受け、政府が進める基礎科学力の向上策についての記述に重点を置いた。
 白書は「我が国の基礎科学分野の研究水準は世界的にも高い」と評価する一方で、研究費の政府負担割合が諸外国に比べて低く、研究者を支援する人材が少ないなどの問題点も指摘。米オバマ政権が「連邦基礎科学予算」の倍増などで、基礎科学力の強化に取り組んでいることにも言及した。
 政府は、今年度の補正予算で世界最先端の研究30課題にそれぞれ90億円、総額2700億円に上る基金を創設することを決めている。

 益川先生や小柴先生などノーベル賞受賞者らが、いろいろと発言をくり返されて、あらためて基礎科学への予算支出が注目されている。さて、白書はどう描いたのだろうか。
 実物はこれ。
 概要がないので…。すぐに読めないよね。ちゃんと読まないといけないかなあ。

 政府の予算は、ほんとうに基礎科学を重視する方向に向かうのだろうか。一方で、国立大学への交付金は、削減が続き、大学の疲弊は広がっている。

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子どもの声に耳をすませば―― 電話でつくる〈心の居場所〉 ――

 今日、新聞を読んだらこんな記事を見つけた。

悩める子供、電話急増 「チャイルドライン」最多18万件(日経新聞)

 人間関係が辛い、学校に行きたくない――。子供の悩みを電話で受け付ける特定非営利活動法人(NPO法人)のチャイルドライン支援センター(東京・新宿)の活動開始から10年が経過した。ここ数年で相談件数は急増、昨年度は2001年度以降で最多の約18万件の着信があった。相談員からは「近年の不況からか親も子供も余裕がなくなり、人間関係に悩みを持つ子供が増えているのでは」との声も上がっている。…

 ボクの知人にも、このチャイルドラインのボランティアに参加している人がいる。とてもまじめな取り組みだ。
 それで、もう少し、調べてみると、数日前にこんあ配信もあった。

相談急増、子どもの貧困も チャイルドライン10年(共同通信)

 「親が失業して高校を退学する。悔しい」。子どもの悩みを電話で聞く特定非営利活動法人(NPO法人)「チャイルドライン支援センター」(東京)にこんな相談が舞い込んでいる。センターができて10年、相談電話への着信件数は77万件を超すが、最近は貧困問題の訴えも目立つ。
 …人間関係やいじめ、恋愛、性の悩みなど内容はさまざまで、この1年は貧困問題が増えた。小学生から「お父さんが工場を辞めさせられ、お母さんもパートが駄目に」「友達が急に転校してお父さんが『気の毒に。不況のせいだ』って言う」という相談もあった。
 清川輝基代表理事は「これまでなかった傾向。誰かに話したいとき、気軽にかけて」と話す。…

 チャイルドラインは、イギリスのとりくみを参考に、日本ではじまって10年がたつそうだ。 
 それで、認定特定非営利活動法人チャイルドライン支援センターが、5月26日に記者会見をしていて、記事はそれにもとづくもののようだ。

 そのときに記者会見の資料がこれ。

 そんでもって、チャイルドラインのことをもう少し、知りたくて、表題の岩波ブックレットを読んだ次第。

0094550 このブックレットでは、ていねいにチャイルドラインにかかってくる子どもの声が紹介されている。
 競争にさらされて疲れている姿。大人社会の矛盾をそのまま、自身の生活に被らざるをえない実態。子ども社会の人間関係の皮相さ。なによりも自分に自信がもてず、大人との関係で、安心した信頼関係が十分に築けない孤独…。
 こうした子どもの実態に、まじめに向き合って、ていねいにその声を聞こうとするとりくみは、その内容も含めて、学ぶところは多い(支え手の存在などなど)。

 もちろん、これで子どもの問題が解決するわけでは決してない。出発の入り口にある取り組みと言えばそうだ。大切なのは、1人ひとりの子どもに直接かかわる大人が、同じように、ていねいに子どもの声を聞くとりくみをすすめ、「あなたが大切だよ」というメッセージにあるような、子どもと大人の信頼を、大人の共同したとりくみと子どもといっしょになったとりくみのなかで築き上げることなのだと思う。
 そのためにも、このチャイルドラインのとりくみから学ぶことって、少なくないんじゃないかって、そう思った。

 さて、先日の、東京・中日新聞の子どもの貧困の記事の下をクリップ。
子どもの貧困<下>  増える高校中退者

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GMの破綻

 海の向こうでは、GMが破綻した。

GMが破産法申請=米製造業史上最大の倒産-「国有化」で再建へ(時事通信)

 米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)は1日、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)適用をニューヨークの連邦破産裁判所に申請した。3月末時点の負債総額は1728億ドル(約16兆4000億円)。総資産は822億ドル(約7兆8000億円)で、米メディアによると、米製造業最大の倒産。過去の米企業破綻(はたん)では、昨年9月の証券大手リーマン・ブラザーズなどに次いで、3番目の大きさとなった。…

 このGMの破綻をどう見るのか。もともと、GMそのものの破綻は、隠されていたという言い方も言える。競争力の低下と、過剰な生産が、自動車ローンや、みずからの金融投棄によって。そこに、いまのアメリカの経済危機や日本の経済の問題の本質と共通の面も見えたりもするのでは、と。

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2009/06/01

核持ち込み密約、外務次官ら管理 首相、外相の一部に伝達

 五十嵐仁先生のブログを読んで、あわてて、東京新聞をめくる。もともとは共同通信の配信のようだ。

核持ち込み密約、外務次官ら管理 首相、外相の一部に伝達(共同通信)

 1960年の日米安全保障条約改定に際し、核兵器を積んだ米軍の艦船や航空機の日本立ち寄りを黙認することで合意した「核持ち込み」に関する密約は、外務事務次官ら外務省の中枢官僚が引き継いで管理し、官僚側の判断で橋本龍太郎氏、小渕恵三氏ら一部の首相、外相だけに伝えていたことが31日分かった。…

次官経験者の証言要旨 核持ち込み日米密約

 この問題は、多くの本に書かれているし(たとえば五十嵐さんの本)、国会でも不破さんなどが、アメリカでの情報公開をもとに質問でとりあげてきたもの。
 日本側でも真相は、明らかにされるべきである。さて、もやは言い逃れはできない状況のもとで、現在の政府は、どう答えるのであろうか?

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『「使い捨てられる若者たち」は格差社会の象徴か-低賃金で働き続ける若者たちの学力と構造-

0905_01 なかなか刺激的なタイトルで、思わず買ってしまう。なぜか、この2人の著作は結構読んでたりする。今回も、まあいろいろ刺激と知識をもらいながら読んだ次第。
 今回の本は、「使い捨て」雇用に焦点をあわせる。いわゆる社会的排除、十分に教育を受けることが出来なかった結果、使い捨てられている、 あるいは正規の職業に就業できないというケースは日本でも見られるが、 しかし、高学歴者においても同様のケースをかなり観察することができるという。彼ら彼女らは、どのような経路を経て向かっていった (向かわざるを得なかった) のか、 を英米の状況と比較しながら分析しているという。

 教育社会学者の調査は、思わぬ発見があったりする。この本のなかでも、それぞれの学力層のなかでの競争の様相や、進学校、中堅校、底辺校のそれぞれの学校の学力下位層で、「使い捨てられる若者」が多い(もちろん底辺校ほど多いわけだけど)などの調査結果が明らかにされていて、興味深い。
 ただ、それはそれで、興味深いのだけれど、その事実をどう考えるかという理解は、ボクとはそうとう違う。その事実を解釈する際には、タテにも、ヨコにも、そして前後(時間的な)にも広げて、そのなかでとらえていく必要があると思うのだけれど、そうしたとらえ方ではなく、どうも表面的に思えてしまう。そして、何よりも、子どもや若者をとらえるときに、「発達」という概念がない。そんなことを言えば、それは主観をおしつけているだけだ、データをデータとして見るべきだと反論されるのだろうけれど。

 全体として、若者に向き合おうとしながら、厳しい視線も多い。それはそれで若者の一面として否定はするつもりはないけれども、そこで留まって、問題の解決になるのかというのがボクの感想。
 最後の植田みどりさんへのインタビューはおもしろかった。

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シリーズ 日本と朝鮮半島 2000年 第2回 “任那日本府”の謎

 昨日の夜、眠たい目をこすりながら、この番組を見た。

Img0531_01s 古代史における「任那日本府」の問題は、今なお日韓の間で議論を呼んでいる。『日本書紀』では、「任那」とは倭王権が朝鮮半島南部の国々を平定したあとに置いた天皇の直轄領・ミヤケの意味で使われ、「任那日本府」の記述が、6世紀代に現れる。さらに、19世紀末に中国東北部で「広開土王碑文」が発見され、「倭」の半島侵入の記述が見つかった。そこで、4世紀後半からおよそ200年の間、日本が朝鮮半島へ軍事的に進出し、大陸の先進文物を「任那日本府」から吸収したと、長らく考えられてきた。  しかし、1970年代以降、日韓の様々な研究や発掘調査によって、「任那日本府」の実態や 朝鮮半島南部と倭をめぐる関係性が見直されている。  4世紀後半を境に、日本の古墳の埋葬品の中から、朝鮮半島産の鉄製品や武具が出現する一方で、韓国南部の古墳から倭系の銅器が出土する。韓国南西部のヨンサンガン(栄山江)流域からは、日本特有の前方後円墳が次々と見つかる。いったい、これらはどんな関係を物語るのか。最新の発掘調査と研究成果をもとに、描かれ始めた古代の関係の真実に迫る。

 ボクの子どものころの教科書にも、任那日本府という記述があり、日本が朝鮮半島の一部を支配していたという記述があった。しかし、今の歴史研究の到達では、その事実がないことは明らかになっている。
 では、この時期の、日本と朝鮮半島との関係はどのようなものだったのか。「七支刀」や「筑紫磐井の乱」など、かつて学んだことのある謎に満ちたことがらの、解説は興味がつきなかった。

 伽耶・加耶、百済、新羅、高句麗、そして中国と、実は、この時代のそれぞれの国のありようは、多様で、そして、その関係も、柔軟で、多彩で、豊かなものだったと思う。当たり前のことだけど、東アジアという世界のなかで、「倭」を考えるということの重要性を教えられる。

 こうした議論は、現在の東アジアを考えるうえでも、大事な経験だと思うけど。

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