光と影~光市母子殺害事件 弁護団の300日~
ここ数年、NHKが民放のドキュメントのコンクールの受賞作品を、BSでまとめて放映している。今年も、今週と来週に、放映される。それを録画して、今日2本、まず見た。
その一本がこれ。
あれだけ、問題にされた事件である。
1999年4月14日、山口県光市で本村洋さんの妻と生後11ヶ月の長女が殺害された。当時18歳だった少年が逮捕され、一審二審の判決は、無期懲役。しかし、最高裁は、死刑含みで、審理を広島高裁に差し戻した。「光市母子殺害事件」。最高裁の途中段階から、弁護団は、差し変わった。それは、起訴事実を争わず、ひたすら情状を主張してきた旧弁護団には、「死刑含み」の状況に危機感を感じたためである。そこで、21人の弁護士が集い、この事件を再調査することになる。そこで、弁護団が見たものは、流布された凶悪な被告ではなく、精神年齢の低い青年像だった。そして、被告は、殺意はなく、強姦目的でもなかったと、新しい弁護団に告白する。しかし、感情的な空気の中で、世論は「荒唐無稽な供述を始めた」「死刑が恐くなって事実を翻した」と被告を非難、更に、弁護団にまで、鬼畜、悪魔とバッシングの嵐が吹き荒れる事態となった。東海テレビでは、こうした中で、刑事事件の弁護活動とは、どうあるべきか、弁護士とは、どういう職責を持つものなのかを、多様な視点から、冷静に見ることが必要であるとの考えから、弁護団会議などにカメラを入れ、取材を重ねてきた。果たして、この番組から、何が見えてくるか…。
ボクには、この事件の真相なんて、解説も、解読もできない。
でも、この事件が、「被害者」というセンセーショナルなるな言葉とともに、注目されたにもかかわらず、実は、裁判の最初から事実認定が、しっかりされていなかったことが事実である。そのために、加害者の側の、考慮すべき複雑な問題などは考慮されずにすすんでしまったことは事実であると思う。
やっぱり、とても重い。ボクらが刑事事件に向き合うということの重みを痛感させられる。
でも、刑事裁判が、復讐の場でないのなら、罪というものに向き合う場になることを望みたい。ならば、真実にボクらは向き合わなければならないし、厳罰だけがその方法だということには納得はできない。
以下、ナレーターの寺島しのぶさんのコメント。
「光市母子殺害事件」は、あまりにもショッキングな事件でしたから、初め この番組のナレーションのお話が来た時、お受けしたくないと思いました。ナレーションをして、今は、よかったと思っています。番組を通じて、被害者家族、弁護団、裁判官など、色々な人が、この事件に関わっていて、様々な見方があることが分かりました。 特に「鬼畜」と非難された弁護団の人たちが、何をしていたのかは、初めて知ったという感じです。弁護団の立場でもなく、被害者遺族の立場でもなく、感情的にではなく、あくまで冷静に、「事実は、こういうことだったのではないか」が確実に伝わればと、ナレーションしました。 裁判員制度が、まもなく始まりますが、この事件に限らず、人を裁くということが、難しいことだと感じました。
なかなか言葉が見つからない…。
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