線を引かない日はなし 戦争と芸術 クレー 失われた絵
日本人というのこのクレーが好きなのだろうか。戦争の時代を生んだ社会状況への反発に教養主義というものがあるとしれば、そこれはその延長線上にあるのだろうか?
ボクは、生でクレーの絵を見たことはないけれども、NHKの番組でこれまでもみたことがある。ヒトラーにとる“頽廃芸術”展開会はあまりにも有名だから。
今日の夜の日曜美術館の再放送で「戦争と芸術 クレー 失われた絵」を見た。
20世紀のドイツを代表する色彩の画家、パウル・クレー。
その芸術活動には常に戦争が付きまとい、不遇な人生と闘いながらも60年の生涯において1万点余りの作品を描き残した。
第一次大戦ではドイツ軍に招へい、その後はヒトラーの政権掌握により危険な表現者・退廃芸術家の烙印を押され、亡命に追い込まれる。
スイスへ逃れたクレーは、難病に襲われながらも絵を描き続けるが、執ような弾圧は止まず、クレーをはじめドイツ現代画家たちの絵は世のさらし者にされ、海外へと売り払われていく。
第二次大戦が勃発した年、クレーは1254点もの人生最高記録となる絵を描き残し、翌年にこの世を去った。自身が「線を引かない日はなし」と語ったように、その多くが売るあてのない線描画だった。生涯で49枚の連作を描き上げ、代表作と評される「天使」もほとんどがこのころの作品である。
敗戦から15年経た年、ノルトライン=ヴェストファーレン州政府はクレーへの償いの思いから、海外へ流失した作品88点を6億円かけて買い戻した。だが現在もクレーの絵、400点近い作品の行方が分かっていない。戦争という嵐の中で、芸術はどのように流転していったのか当時を知る美術史家や研究者などの証言を軸に探っていく。
ドイツ表現主義に近いと言われるけれども、それだけにくくらなれないと言われる。ボクは、表現主義に代表されるような20世紀美術というものは嫌いではない。クソリアリズムだけが真の表現ではないだろうし、批判的表現は、人間の内なる葛藤と一体のものだろうから。
”天使”と題された一連の線描画は印象的。そのクレーの葛藤がおもしろかった。
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