シリーズ「JAPANデビュー」 第2回「天皇と憲法」
おとといNHKスペシャルで表題の番組をやっていた。つれ合いの実家で、わさわさしていたので、必ずしも、落ち着いて見られたわけではないのだけれど。
第一回目の、台湾侵略についてのものに対しては、タカ派から、圧力が相当NHKに行ったようである。この2回目も、制作会社のほうは、右翼からの抗議をかなり警戒していたという。だから、内容的に自主規制したというわけではないけれども、2回目の内容は、正直言ってがっかりだった。
日本が国家の骨格ともいうべき憲法を初めて定めてから120年。大日本帝国憲法は「立憲君主制」を採り、当時の世界からも評価されていた。しかし、19世紀帝国主義から第一次世界大戦を経てうねる時代の流れの中で、日本はその運用を誤り、帝国憲法体制は瓦解する。その要因と過程を国内外に残された資料からつぶさに分析し、新しい日本国憲法誕生までの道程を検証する。
大日本帝国憲法は、君主の権力を制約する性格のものだったが、その運用をあやまったというのが、その趣旨だからだ。その証として、天皇機関説をあげ、この天皇機関説が葬り去られたことが、日本の誤りへとつながったとする。だから、大日本帝国憲法と現行憲法の連続性も強調される。
だけど、天皇機関説が、論理的に天皇主権を制限する理論と言えるのだろうか?もちろんむきだしの天皇主権説に比較すると、マイルドだけれど、それは政治的な妥協の反映にほかならない。そもそも権力構造として、天皇は単独で存在しているわけではないのだから。
だから結果的に、番組は、帝国憲法がつくり出した、権力そのものの実態には、実は何もふれない。明治大正期の対外的な侵略も国民への抑圧も見事なぐらい捨象される。)もちろん、中国侵略以降の日本の政治独自の問題はそれはそれで大事な問題だけれど)
むしろ、その後(少し時間はダブルけれども)のETV特集のほうが圧倒的におもしろかった次第。
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