ETV特集 いま憲法25条生存権を考える
相方の実家に行っていたので、憲法の日の新聞はあまり丁寧に読めていない。テレビの番組で、いちばんおもしろかったの、これかな。
5月3日、62年の記念日を迎える日本国憲法に、制定時、国会での審議の中で日本人自身の発議によって加えられた条文がある。「第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」
“生存権”を個人の権利として明確に定めたこの条文は、生活保護など社会の「セーティーネット」を整備していく基準となり、朝日訴訟(1957年)など生存権をめぐる裁判などを通じて、国民生活の中に定着したかに思われてきた。それは軍事国家から決別した日本社会の向かう新たな方向を指し示すものだった。ところが、昨年来の世界金融危機で、「派遣切り」により失職する労働者は15万人を超えると予想される中、職や住む場所を失い、生存そのものの危機に直面する人が続出し、セーフティーネットが機能していない現実が露呈。「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する憲法25条が有名無実となる危機に直面している。
憲法記念日 ETV特集は、二人の論客を迎え、憲法25条の誕生から現在に至る62年を検証し、危機打開の道を探る対談を行う。出演は、貧困者の生活相談活動に取り組み、昨年末「年越し派遣村」村長にもなった湯浅誠さん(40)と、経済評論家として90年代から派遣労働などへの規制緩和に警鐘を鳴らし続けてきた内橋克人さん(76)。この現実をどう捉えるのか?危機は乗り越えられるのか?今こそ憲法25条の存在意義を見つめ直すべきではないか?語り合う。
25条の意義と、戦後の社会での現状、その打破のための「朝日訴訟」と、その敗訴。この裁判に、労働運動が合流した意味。そういった歴史を振り返りながら、小泉新自由主義以降の日本の現状とだぶらせながら、現在の課題を問いかける。
湯浅さんの鋭い現状告発と問題提起を、内橋さんが歴史的なスケールで包み込んで、解説するという構図。
もう1度、しっかり見てみたい。
あと、ちょっとおもしろかったのが2日の朝日の文化欄にあった笹沼さんの小論。貧困問題と憲法学と題して、25条が生存権、自由支える砦としながら、25条の実現のうえでの課題として、政府によるプログラム規定論とともに、個人の自由を考えるうえで、憲法学のなかにある、「強い個人」へのこだわりの問題をとりあげている。国民のあいだいに「自立」(して当たり前という)観念が強くあるなかで、憲法が「貧困」を解決できなければ立憲主義の危機であるという。そこであらためて生存権の意義を強調する。考えさせられた一文。
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