スラム化する日本経済
最近、何かと話題の浜先生の、この本を読んでみました。けっこうおもしろかったです。グローバル経済というものの進行を、いわば一つの必然ととらえながら、その行き過ぎから生まれる事態を批判する。なぜ、豊かな国で貧困の問題が生まれるのか、その指摘はなかなかのものがある。彼女の議論の特色は、その視野の広さだろうと思う。なるほど、こう考えればいいのかと思える指摘は多々ある。でも、物足りなさも同時に感じる。「それはなぜなのか」という疑問が残る。視野を広く、いろいろ解説して見せるのだが、その根本的な原因というか、内的な矛盾の構造というのが、今ひとつピンとこない。それは彼女が、資本主義の批判者ということではないからなのだろうか。
だから、その処方箋も、やや楽天的。ここで気になるのは、国民経済というものに対する評価だろうか。彼女は、その視点は否定的。たしかに、各国の経済が、内向きになるとき、浜さんの主張は理解できない面もないわけではない。が、世界政府みたいなものがない以上、国家という単位を基礎にした、国民経済の意味を再定義することは、必要はないのかと。でも、その処方箋そのものについては、すべて否定するものではない。あえて、戦争放棄のドンキホーテになろうという主張には共感する。『グローバル恐慌』のほうもまだ全部読んでいないので、読み切ろうかな。
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こんばんは。
『グローバル恐慌』は面白かったですよ。YOUさんのおっしゃるように、国民経済への評価は気になりますが、「保護主義に走るな」的な話は、流行のように言われていること思ってあまり気にせずに読みました。「朝日新聞」の連載記事もなかなか面白かったのですが、中身はほとんど忘れました^^;
投稿: 洋 | 2009/04/15 22:09