政治の軸にならない「貧困」
今日から、日経の清水真人記者の書いた『 首相の蹉跌―ポスト小泉権力の黄昏』を読み始めた。感想は後日書くけれど、よく取材されている本だとは思うけれど、小選挙区制のもとでの2大政党制による選挙が、国民の政治選択を深めるという前提にたっているところが、まあなんというか日経だけれど。この2大政党のマニフェストによる政治選択の提示が、まやかしの選択軸になっているという問題になぜ、気がつかないのか、それが国民の政治への不信を強めているのに。
たとえば、4月19日の東京で、ドーアが表題の小論を書いている。
しかし、他国に比べれば、日本で不思議なのは、不平等が政党政治の重要な軸にならないことだ。メディアの関心は外国と比べ強い。本屋には、「ワーキングプアの反撃」「派遣村」「反貧困の学校」など、貧困関係の本が何十点も並んでいる。 ところが、よその国で、貪困・再分配の問題が政冶論争の主要軸になるのに、日本ではそうならない。
これがドーアの問題意識だ。
長期的な―少なくとも二十年来の―所得分布の不平等化傾向が、今の不況によって大いに加速されている。政府の緊急対策、「底割れ」対策が、やはり底割れの効果があるか。それこそ目下の主要な関心事である。 … 失業対策として、失業者の住宅支援、訓練費の補助、雇用調整助成全、介護職員の待遇改善など、厚生労働省の役人さんたちはいろいろと工夫を練った。その努力をけなしたいと思わないが、もし私が切られた派遣労働者だったら、危機対策の予算配分を問題にするだろう。五六・八兆円のうち、雇用対策費(国費、事業費も合めて)は四・四兆円、金融対策費はその十倍の四四・八兆円である。その数字を見て、失業者たちは「麻生政権の関心の優先順位はそんなものか」と怒るだろう。
補正予算案が閣議決定され、その内容が、各省のHPに掲載されている。実際に労働対策、貧困対策のものは厚生労働省のHPに掲載されているがお寒い限りだ。だいたい、貧困対策については、国が制度から撤退している状態もあるから、国の制度は、ごく限られたもの。でも、地方交付税はどうなのかということになるのだが…。
ここでも、選択の軸はどう提示されているのだろうかが問われる。
ドーアはこう言う。
いたるところで、フリーター組合をつくったり、不当解雇を法廷で争ったりする草の根の低抗が起こっている。ところがそれに手を伸ばしているのは、民主党支持の連合ではなくて、体制外の全労連である。その不満をくみ士げて地方の政党支部にその人たちを組み込もうとしているのは、今度天下を取るつもりでいる民主党でなくて、共産党だけである。 なぜだろう。
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