今年の読売憲法世論調査
毎年、紹介している読売の憲法世論調査が今年の発表されました。
憲法改正「賛成」51・6%、再び多数占める…読売世論調査(読売新聞)読売新聞社の全国世論調査(面接方式、3月14~15日)によると、今の憲法を改正する方がよいと思う人は51・6%と過半数を占め、改正しない方がよいと思う人の36・1%を上回った。
昨年3月調査では改正反対が43・1%で、改正賛成の42・5%よりわずかに多かったが、再び改正賛成の世論が多数を占めた。国際貢献のための自衛隊の海外派遣が増えたことや、ねじれ国会での政治の停滞などで、今の憲法と現実との隔たりを実感する国民が増えたためと見られる。
1981年から実施している「憲法」世論調査では、93~2007年は改正賛成が多数派だった。ただ、04年の65・0%をピークに賛成派が減り始め、昨年は反対派を下回った。それが今回は増加に転じた。
賛成派は自民支持層で54%(昨年比7ポイント増)に増え、民主支持層で53%(同12ポイント増)に急増した。
…戦争を放棄し戦力を持たないとした憲法9条については、「解釈や運用で対応するのは限界なので改正する」38%が最も多く、昨年(31%)から増えた。「解釈や運用で対応する」33%(昨年36%)、「厳密に守り解釈や運用では対応しない」21%(同24%)は、ともに昨年より減少した。…
新しい特徴が出ていることは、見逃せません。全体として改憲反対が減少したのは、安倍さん流の(靖国派的な)動きが、政治過程のうえでは明らかに後景に引っ込んだからでしょうか。国際協力ということがキーワードになる気配ですね。ただ、新しい特徴が生じていると言っても、あいかわらず9条の改憲については、現行の9条を変えないというのが読売の調査でも54%と強固です。
新しい特徴はなぜ、生まれたのか。読売の記事の論評はあたらずとも遠からずという感じでしょうか。これだけ、グローバル化した時代ですから、日本が国際社会のなかで何らかの役割を果たさなければいけない、そうでないと国際社会のなかで生きていくことはできないと考えるのは当然です。政治の停滞のもとで、新しい国家的なビジョンを求めるというのも当然の感情です。
ただ改憲の核心にはあいかわらず9条があることも事実です。そのねらい、そして現実にすすんでいる自衛隊の国際活動=海外派兵の真ん中には、アメリカの追随した活動があることも事実です。それは、ソマリアもふくめそうであることは否定できません。そうした自衛隊の現在の実際の活動と実態をふまえた議論がもっと、なされるのなかで、日本の国際貢献の道筋を議論したいものです。前述の世論をふまえた説得力ある議論というものを心したいと思います。
その際によく考える必要があるなあと思うのは、現在の戦争への想像力という問題です。はたして、イラクにしても、アフガニスタンにしても、パレスチナにしても、何がおこっているのか、その事実をよく知ること、そしてその本質を理解する想像力です。それはソマリアでも同じです。ソマリアやソマリア沖で何がおこっているのか、そのことについて、十分に日本では報道も議論もおこなわれていません。そのことをソマリアの方の話を聞いたとき、痛感しました。
改憲の動きを軽視しないことと同時に、日本の外交に課せられている課題というものの大きさを心して考えていきたいものです。
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