派遣村 国を動かした6日間
表題の本を読み終えました。いろいろあって、なかなか手につかない日々も続いているのですが……。
この本は、半分が毎日新聞の東海林記者のレポート。実際に、派遣村の中心にいたと言っていい記者の書いたものだけに、なぜ派遣村が開村されたのか、どんな問題に直面し、どのように対応し、そしてどのように運営し、どんな新しい課題が生まれ、どのようにその新しい問題に対応していったのかが、手にとるようにわかるものになっている。予想のつかない受け入れから、やがて生活相談に向き合い、自立への支援にうつっていく。その中身もリアルである。
参加したボランティアの手記もある。そして、中心になった労働組合の人たちの論考は、とても参考になる。派遣村の教訓をどう生かすかということを考えても、これらの論考は必読ではないだろうか。とくに全労連の井上さんと、ガテン系連帯の小谷野さんのものは強い印象が残った。これはぜひ読んでほしい。
最後には、顔となった湯浅村長をはじめ、雨宮、棗、猪股、宇都宮さんたちの論考がならぶ。生活保護の運用の発展、社会的な連帯の新しい形など、よく考えるべき論点が豊富に示されている。
いやはや、頭が下がります。岩波の本も悪くはないが、派遣村そのものを考えるうえでは、こちらの本のほうが、はるかに具体的で、教訓的でもある。やはり、その運動の真ん中にいた人たちの手によるものだからだと思う。
絶対におすすめの一冊である。
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