朝鮮王妃殺害と日本人―誰が仕組んで、誰が実行したのか
N先生のすすめで、読んだ本。たしかに、これまでのこの朝鮮王妃殺害事件=いわゆる閔妃殺害事件をめぐる謎のとはちがった視点を提示してくれるとても興味深い本である。資料をていねいにつかっているので、読むのには骨が折れる。また、この事件に特化して書かれている本でもあるので、通史的な知識がないと少し読むのはしんどいかもしれない。そういう私も、かなり勉強不足を痛感させられた次第である。
日本軍が、ときの朝鮮の王妃を殺害するという前代未聞の事件である。この事件は、ふつうは、朝鮮公使であった三浦梧楼が先走ってこした事件という理解だったと思う。が、あらためて、この本が解明しているような関係者のやりとりを見ると、三国干渉の直後、朝鮮半島の軍事的な支配を維持するための、電信線の確保のために、時の政権も、軍部も閔妃らの勢力とロシアが手を組もうとしていることにそうとうの心配と対策を打とうとしていることがわかる。
この本は、事件に関係した、またその周辺にいた人物を一人ひとり丁寧に追う。なぜ、三浦が朝鮮に派遣されたのか、そして、なぜ、この事件の周辺にいる人間が、その後、こうも全員、異例の出世をしたのか。
後の、日本の朝鮮半島支配への歴史の画期をなした事件かもしれない。
朝鮮側も含め、登場する人物への見方も変えさせてくれる、刺激的な本だった。
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