現代の発達援助実践と教師像
田中孝彦さんの本は、もう1冊、新著が出ているので、それとあわせて、後日、くわしく論じたいと思う。とりあえず、こちらの本は、田中さんのもとに通う大学院生の修士論文をもとに、コンパクトな論文集にしたもの。教師や教師をめざすものたちが、子どもの実態、その子どもの声によりそいながら、教育のあり方、そして教師像を探究するものとなっていて、修士の書いたものにとどまらない読み応えのあるものになっている。教育というものが、子どもと教師の関係によってこそ成り立つものであるという当たり前のことが、ここで強烈にうきぼりにされる。それほどまで、日本の教育の現場の困難が広がっているということでもあるのだろう。
本のの最後に田中さんが、この臨床教育学と教師教育のあり方を書いた論文をのせている。なぜ、臨床教育学が出発したのか。そこには、子どもの権利、発達と学習の権利を基礎とした、発達教育学の今日的な発展があることがよくわかるものになっている。80年代以降の、教育改革や新自由主義的な政策のもとでの、子どもの傷つきの深まりを前に、また、親や教師のそのもとでの揺れや迷いを前に、もう一度、子どもの実態にそくして、そうした視点をどう再構築していくかの視点である。教師以外の他領域の発達援助者たちの取り組みから学ぶべき点も少なくないのだと思う。
後者の点は、もう一冊の本と合わせて、もう一度きちんと論じたい。
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