現代の発達援助実践と教師像
田中孝彦さんの本は、もう1冊、新著が出ているので、それとあわせて、後日、くわしく論じたいと思う。とりあえず、こちらの本は、田中さんのもとに通う大学院生の修士論文をもとに、コンパクトな論文集にしたもの。教師や教師をめざすものたちが、子どもの実態、その子どもの声によりそいながら、教育のあり方、そして教師像を探究するものとなっていて、修士の書いたものにとどまらない読み応えのあるものになっている。教育というものが、子どもと教師の関係によってこそ成り立つものであるという当たり前のことが、ここで強烈にうきぼりにされる。それほどまで、日本の教育の現場の困難が広がっているということでもあるのだろう。
本のの最後に田中さんが、この臨床教育学と教師教育のあり方を書いた論文をのせている。なぜ、臨床教育学が出発したのか。そこには、子どもの権利、発達と学習の権利を基礎とした、発達教育学の今日的な発展があることがよくわかるものになっている。80年代以降の、教育改革や新自由主義的な政策のもとでの、子どもの傷つきの深まりを前に、また、親や教師のそのもとでの揺れや迷いを前に、もう一度、子どもの実態にそくして、そうした視点をどう再構築していくかの視点である。教師以外の他領域の発達援助者たちの取り組みから学ぶべき点も少なくないのだと思う。
後者の点は、もう一冊の本と合わせて、もう一度きちんと論じたい。
« エルサルバドルの新政権 | トップページ | トライアングル »
「教育」カテゴリの記事
- 10月号ができました(2024.09.11)
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
- 自衛隊、宮古・八重山や奄美に新拠点検討 2025年度の概算要求 訓練場や補給の適地有無を調査 2027年度には那覇に対空電子戦部隊(2024.08.31)
- 2学期がはじまっています(2024.08.29)
「読書」カテゴリの記事
- 10月号ができました(2024.09.11)
- 「歴史抹殺の態度を変えさせなければ」8月31日に都内で関東大震災朝鮮人・中国人虐殺犠牲者の追悼大会(2024.08.25)
- 木原稔防衛相、終戦の日に靖国神社に参拝 韓国「時代錯誤的」と反発 :「ニライカナイには行けない」(2024.08.15)
- 9月号ができています(2024.08.12)
- 『沖縄県知事 島田叡と沖縄戦』と「島守の塔」(2024.07.28)
「政治」カテゴリの記事
- 10月号ができました(2024.09.11)
- 「エイジアン・ブルー 浮島丸サコン」(2024.09.10)
- 赤旗日曜版にJCJ大賞 自民派閥の政治資金不記載(2024.09.09)
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 沖縄県の原告適格性、二審でも認めず 県は上告を検討 高裁那覇支部 新基地建設を巡る県と国の14訴訟で最後の係争案件 玉城デニー知事「残念」(2024.09.03)
コメント