職業“詐欺”~増殖する若者犯罪グループ~
9日に放映されたものが、今朝BSで再放送していて、見た。
おどろくような取材内容だった。
「今の日本、勝ち組か負け組かどちらかですよ。この格差社会で勝とうと考えたら、振り込め詐欺が一番近道ですよ」―――詐欺師たちはカメラの前で平然とこう語った。 警察の厳しい取締りにもかかわらず一向に減らない振り込め詐欺。去年の被害額は276億円、5年間の累計では1300億円を超えた。実行犯は20代の若者がほとんどで、有名大学や一流企業の出身者も多い。詐欺を「仕事」、実行犯を「従業員」と呼び、友人、知人を“高給”でスカウトし組織化を進める。「騙される方がバカ」と悪びれず、高級マンションや外車を購入、「金こそ全て」の生活を送る。逮捕のリスクが高い犯行は、安い報酬で雇った生活苦の失業者を使うなど極めて悪質だ。雇用環境が悪化する中、これまで犯罪とは無縁だった人々が「明日の生活費が欲しい」と、振り込め詐欺組織の下働きをする構図が生まれている。 若者たちはなぜ詐欺に走ったのか。その軌跡を徹底的に取材し辿っていくことによって、日本社会の抱えるいびつな病理を浮かび上がらせる。
なぜ、高学歴の若者たちが、挫折感とともにこのような犯罪にのめり込むのか、一方で、非正規からほろだされたものたちが、その片棒を担がさせられる。
「勝ち組」「負け組」をふりわける社会。若者たちは、金というものに異常に執着する。それは消費社会という一面とともに、ボクらの生活が、結局、個人の稼ぎだけによってしか支えられないと言う現実がいまの社会にあることも反映している。稼ぎが多いか少ないかが、生活のすべてを決め、「勝ち組」「負け組」にふりわける。そんな社会の現実を、極度に内面化する若者たち。そこには、社会での支え合いや、連帯もなければ、政治による救済もない。そんなことを思いつきもしない…。
もちろんこの犯罪には断固として立ち向かわなければならない。しかし、それだけでは決して問題は解決しない闇が存在する。とても見ていて、苦しい番組だった。
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