資本主義はなぜ自壊したのか
「構造改革」の旗手だった中谷厳氏の話題の「懺悔の書」である。よくぞここまでというぐらい、みごとな「転向」の書である。新自由主義の害悪についての「反省」は、ある意味で徹底している。本家アメリカや日本での、新自由主義の弊害への言及は、読んでいて、学ぶところも正直少なくはないし、はっとするような、当事者ならではでの指摘も少なくはない。それだけでも読む価値は十分ある。
ただ、経済学的には”俗流”の域をでないという感想ももった。つまり、なぜ、グローバル資本主義がそのような弊害をもたらすのかについての構造的な分析があるわけではなく、事実を列記し、その解釈を試みるというものに過ぎないという感じなのだ。
読んでいてしんどいのは、歴史に言及しているところ。欧米や日本の歴史など、誤謬のオンパレードでもある。保守のなかに善と悪をつくり、善の保守の再生を試みるという使い古された手法がここでも顔を見せている。歴史修正というところにそれが典型を見せているのだけれど。
そのぐらいいま保守は、新自由主義の破綻を前に、自信と誇りを失っているということなのだろう。その再生に必死になっているのは、今日の白洲次郎のドラマなどからも垣間見ることができるような気がする。
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コメント
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本日の二宮さんの書評はスッキリするものでしたね。ダメな部分はダメ、とあのようにハッキリと書かなくちゃ。二宮さんほどの大家だからこそご発言できることでもありましょうが。
(ご多忙のご様子、どうぞお身体はご自愛くださりますよう。季節の変わり目は疲れが出るものですし・・・)
投稿: peace | 2009/03/01 15:57
二宮さんらしいですよね。『経済』の論文も徹底していますよね。新著も読まなくてはいけないのですが、なかなか手が回りません。
投稿: YOU→peace | 2009/03/06 00:09