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2009/01/28

首相の施政方針演説と携帯問題

 首相の施政方針演説である。そのものは官邸のHPにある。先の臨時国会の所信方針に比して、挑発的ではなかったと言われるが、政策的スタンスとしては、当初から言われている小泉路線から「漸進的改革路線」への転換=大企業本位の政治の一定の軌道修正という特徴はぜんぜん変わらない。派遣切りなど国民の苦難などは、どれだけ真正面から考えているのかと疑いたくなるような内容でもある。
 一方で、自衛隊の海外派兵への前のめりにも驚く。ソマリア沖の海賊への派兵問題である。これは、後日またブログで取り扱いたいとは思うが、中国や韓国が派兵の方向に向かっているといっても、なぜ自衛隊のなのか、9条のもつ国に国際貢献の方向としてどうなのかは問われるだろう。少なくとも、安全保障にかかわる内容については、世界がいまどのように考えているのか、などについてはその視野にないのははっきりしている。

 さて、施政方針演説は、ソファでうとうとしながら聞いていて、驚いたのは、学校への携帯電話の持ち込みの禁止にふれたこと。はたして、首相の施政方針演説でこういうことが取り上げられるということはどういうことなのだろうか?
 携帯の問題はたしかにむずかしい。ただ、携帯という技術そのものが何か問題があるというよりも、問題は、その使われ方にあるのは疑いようがない。子どもたちは、どのような人間関係のなかで、どのような使い方をしているのかが問題なのだと思う。
 施政方針演説では、悪質なサイトの問題と、ネットいじめの問題を携帯持つ込み禁止の理由としてあげている。たしかに、悪質なサイトの問題は、大人社会の責任でよく考えるべき問題である。しかし、それが子どもの問題=学校への持つ込みの禁止とどう関係があるのかは、まともに考えと首を傾げざるをえない。大人社会の責任で、まず考えるべき問題があろう。
 ネットいじめの問題だけではなく、子どもの人間関係や、子どもの文化そのものが、消費文化にさらされるかなで、さまざまな問題が生じているということがある。子どもが客体として、どんどん縁辺化され、孤立化していくような問題だが、携帯電話のコンテンツが子どもをターゲットに商業的に提示されることが、そのことを促進するという問題もたしかにある。
 でも、これは、子ども社会、子ども文化がどう豊かになっていくのかという大きな視点で考えない限り、解決しようがない。いじめは、携帯の持ち込みを禁止すれば、いじめの要因がある限りまた違った形でおこなわれるのだから。

 実際に、子どもたちは、携帯を、音楽をダウンロードするだとか文化とふれあうツールとして使っていたり、コミュニケーションを豊かにするために使っている割合のほうが、はるかに多い。だから、大人が、子どもの携帯の保持に否定的な意見を持っているのに対し、むしろ、子どもは保持に賛成している。こうしたときにはたして保持や持ち込みを頭から禁止するということで問題は解決するのだろうか? むしろ、携帯という技術が存在することを前提に、子どもたちの人間関係や、文化をどう豊かにしていくのか(その際の規制やルールも含めて)ということを応援することこそが、大人に求められていることではないのか?
 首相が、頭から政府の方針として、学校への持つ込み禁止ということを言い放ってしまうことはどうしても解せないのだ。

 100歩譲って、政府が、一定の見解を示すことがありうるとしても、それは参考的な基準や、問題についての情報の提供にとどめるべきではないのか(現状の上意下達の硬直した文部行政のもとでは、文部科学省が一定の方針を言うことそのものにも危惧を持ってしまうのだけれども)。学校・教師と子どもたちのなかで、内発的に、この問題に正面から取り組むという状況が生まれない限り、問題を解決することはできないのではないのか?そんなことを踏みにじる、政治家の政治的な介入はやめてほしいものだ。

 真正面から取り組みような実践も少なくない。
 大山圭湖先生の実践が、産経新聞で紹介されていた。
ネットいじめなくなった 都内の中学 授業で「携帯電話」徹底論議
 こんなところにも問題を考える大切なヒントがあるような気がする。

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コメント

子どもには、携帯を持たせるべきだと思います。 持っていない子どもが可哀想だとおもいませんかぁ?今と昔は違います!!安全のためにもやっぱりもたせるべきだと思います。

投稿: おんな | 2009/02/02 09:18

 やっぱり賢い付き合い方という問題ですよね。もちろん、危険にさらされていることも事実ですから、大人の責任という問題もそうとう良く考えなければならないのでしょうけれど。

投稿: you→おんな | 2009/02/11 22:09

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