社会的排除
岩田正美さんのこの本を読んだ。ボクのように浅学の人間にとっては、とても入門的でなおかつ、刺激的でもあり、たくさん問題意識をもらった。
なぜ貧困ではなく「社会的排除」という言葉が使われるようになったのか。一方でも、EUの為政者が、新自由主義と親和的に「貧困」という問題を回避して議論するという側面をともないつつも、この言葉を通して明らかになる問題などの可能性も軽視できないし、大きな意味もある。ボクは、この言葉がまず障害ある人の問題を考える際につかわれたことに興味が引かれた。
貧困の実態、社会的排除の実態のところは、とてもおもしろかった。排除に至る経過での、連鎖の問題や、社会政策そのものが、こうした経過を包むようになっていない現状をまざまざと知らされる。とくに、若者をめぐる現状がとても「社会との中途半端な接合」を生むような実態にあること、その後の、とりわけ、50代の男性の排除の問題は、自殺や緩やかな自殺と呼ばれるような問題-たとえば火災の問題などもとても胸につきささったりもした。
ボクたち自身も、結局排除というものがどのような問題なのかということへの理解の弱さというものを痛感させられたし(正面から見てないというか)、かくも社会保障にしろ、公的扶助しろ、そうしたものにあうような形ではつくられていない現状などについても理解が深まった次第。
とるべき政策=社会的な包摂という問題を考えるとき、現在の就労自立、労働というものを中心の方向の限界というか、問題点の指摘も勉強になった。
こんな本は、本当は、ノートをとって次の勉強につなぎたいところ。少なくとも、いまの漠然とした理解を、もう少し詰めた問題の認識にまでできることができれば、自分の考えも広がるのかなあなどと思った。
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