チェ 28歳の革命
3つほど先の駅にできたショッピングモールに、シネコンができた。地元にもシネコンがあるし、近隣の駅でもシネコンが2つできている。ハリウッドは資金難だし、日本も映画製作をささえていた民放が赤字に陥っている。そんなときにこれだけシネコンができて、見せるものがあるのかという心配をしてしまうのだけれど、まあそんな思いをもちながら、この新しくできた駅に隣接したシネコンに表題の映画を見に行ってみた。
チェ・ゲバラはボクが政治というものに関心をもつようになるずいぶん前に、亡くなっている。英雄視され、神格化されたゲバラだけれど、ボクの世代の人間には「ゲバラ主義」という左翼冒険主義的なイメージで、あまりいい印象はない。
ただ、南米ではいまなお根強い人気があると聞いている。それは武装闘争にその理由があるのではなく、ボリバルの名に連なる、覇権国家からの南米の解放、虐げられたものの解放という理想になりのだろうと思う。
何年か前に、「モーターサイクル・ダイアリーズ」という映画があった。チェ・ゲバラが学生時代に行なった南米大陸縦断の旅を、彼が残した日記を基に映画化した青春ロード・ムービーであるが、そこにある植民地支配に虐げられた南米の人々の解放へのゲバラの思いの形成というものを理解しなければ、この「28歳の革命」はよくわからないかもしれない。
映画は、1964年にキューバ革命政府の代表としてゲバラがアメリカにわたりニューヨークの国際連合本部で演説を行う過程をモノクロで描く一方、55年、ゲバラがカストロとメキシコで出会い、意気投合し、、キューバに上陸し、革命を成功に導く過程を描く。
ゲバラが必要なまで正義に献身する姿、傷した兵を助け、若者に読み書きを教え、地位や名誉に甘んじることを最も恥じた姿は描かれるが、なぜ、そういった思想にいたったのかはこの映画ではわからない。が、確かに、その正義に身を委ねる姿は魅力的である。
さて、後半の「39歳 別れの手紙」では、どう描かれるのか。
ちなみに、キューバはなぜ、ソ連が崩壊したあとも、維持されたのか。その理由としてのキューバ革命の民族解放という性格というものよくわかる。南米の解放というチェの理想は、現在の南米の変革と共通するものがあるのかもしれない。武装闘争主義という外皮を捨て去った限りにおいては。
そんない映画館はこんではいなかったけれども、若いカップルがほとんどだったのには少し驚いた。若いカップルたちはこの映画をどう見たのだろうか?
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