最後の戦犯
最近のBC級戦犯裁判に関しての、映画やドラマの取り上げ方は、やや一面的だ。もっとも典型が、ほとんど歴史史実をふまえない「私は貝になりたい」(ただ、このドラマが戦後直後につくられたのはそれなりに意味があったとは思う)であり、「明日への遺言」の岡田資の取り上げ方である。
このことについては、林博史さんがHPで書いているので、ぜひそれを読んだいただきたい。
そんななか、今日のNHKスペシャルの「ドラマ 最後の戦犯」は、なかなかの力作だったと思う。もちろん、BC級戦犯裁判というものは、なかなか評価が難しいほど、いろいろな問題を指摘することができる。だからといって、戦争中の日本軍とその兵士たちが犯した犯罪、国際人道法違反の行為を否定することはできない、ということは歴史的な事実である。
そして、このBC級裁判の時期に、戦犯とれた人たちが、みずからの犯罪に向き合う葛藤をくり広げたことは、内海愛子さんの『スガモポリズン』などに詳しい。このドラマの概要は、
終戦のわずか5日前、上官の命令に従って一人の米兵を処刑した見習い士官・左田野修さん(当時22歳)。岐阜県多治見での3年半余りの逃亡生活の後、戦犯として裁かれました。日本国内での「最後の戦犯裁判」でした。
左田野さんが獄中で綴った「告白録」が近年、発見されました。それは「個人の戦争責任」を問い続けた何百枚にも及ぶ手記でした。この膨大な手記に基づいて“敗戦国日本の戦争責任”を個人で考え抜いた一人の若者の姿を描く迫真のドラマをお送りします。
逃亡生活で出会った人々の上に色濃く残る戦争の傷跡、“戦争犯罪人”の身内として不当な差別にあった家族の苦悩、処刑を命じた上官たちの葛藤・・・様々な人間模様を織り交ぜながら、“戦争の罪悪”を問いかけます。
その葛藤は、ボクらが受けつくべきものだと思った。
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