爆笑問題のニッポンの教養 我働く ゆえに幸あり? 教育社会学
以前、NHKで放送したときには観ることができなかったので、少し興味深く読んだ。案外、知らない本田由紀の考え方、感じ方なども出ていたり。彼女がこれまで、語ってきたことがわかりやすく述べられているのも事実。
だけど、全体としては、そんなに深まったと言えるのかどうか? 彼女の言う、学校と仕事との接続の問題がどれだけ、切実な問題として浮き彫りにされたのかどうか。
なぜ、そうなのか。本田さんの政策批判は、時としてシャープで、するどいところもあり、それなりに読む価値はあると思うのだけれど、でも、本田さんの批判は、あくまで、政策の誤りの批判に終始していて、逆に言えば、政策が変われば問題が解決するというようにも、聞こえてしまうのだ。そんな現実や、政策が生まれる背景というか社会構造についてのつっこみが、物足りない。
そのことと関係するのだと思うけれど、データを駆使した議論をする人だと思うけれど、問題に接近する角度が、少し単線的な感じ。もっと広く、社会全体でおこっていることを総合的に考えながら議論する必要はないのか。とくにいまの若者の問題は、貧困や雇用の問題など経済的側面の多い問題や、消費文化の展開などの問題もある。
だから、どうも爆笑問題の大田さんがつっこんでも――このつっこみはきわめて俗論ではあるんだけれど、なんというか、若者の感じる問題という面もありそうでもある――、お説教口調に聞こえてしまう。実はは、本田さんは、現場感覚というものが少しずれているのかとも感じてしまう。そう言えば、なぜ、『若者の労働と生活世界』というような少し一面的な、若者労働の現場のとらえ方の本なんかも出てくるかというのもある(まあ、これは本田さんの責任ではないのかもしれないけれど)。
でも、けなしていますけれど、面白い本ですよ。読む価値は十分ありますし、大事なことはたくさん言っていますからね。
« 新学習指導要領案:英語授業「英語で」 高校も脱「ゆとり」へ と昨日のNHKの放送と | トップページ | 日米開戦と東条英機 »
「教育」カテゴリの記事
- 前衛12月号ができています。(2025.11.10)
- 子どもの貧困対策・居場所づくり これまでとこれから(2025.11.09)
- 少し前に、孫②の運動会に行ったが(2025.10.31)
- 「加害の“扉”が開くとき 子どもを守るには」(2025.10.27)
- 山口大の授業料値上げ検討、学生「情報不十分」と反発 大学側は財政難を強調(2025.10.26)
「読書」カテゴリの記事
- 前衛12月号ができています。(2025.11.10)
- 外国籍教員 教育現場に残存する「差別の壁」(2025.10.14)
- 11月号ができています。(2025.10.07)
- 遺骨はある 海底炭鉱で待つ183人(2025.10.06)
- あたふたと生き、あせって歩くのが実際だなあ(2025.09.03)
「政治」カテゴリの記事
- 【高市自民】「終了です!」予算委荒れ、枝野委員長が制止 規定時間超え女性党首バトル→高市首相イラッ!「それでも戦争は起こってる!」VS共産田村智子委員長「3・5%を否定しない!重大です!」 40分軍事防衛論争の末に(2025.11.11)
- 前衛12月号ができています。(2025.11.10)
- 子どもの貧困対策・居場所づくり これまでとこれから(2025.11.09)
- 【独自】生活保護の全額補償見送り 最高裁判決対応で厚労省(2025.11.07)
- 9月実質賃金1.4%減、9カ月連続マイナス 物価に賃上げ追いつかず(2025.11.06)
「経済」カテゴリの記事
- 【高市自民】「終了です!」予算委荒れ、枝野委員長が制止 規定時間超え女性党首バトル→高市首相イラッ!「それでも戦争は起こってる!」VS共産田村智子委員長「3・5%を否定しない!重大です!」 40分軍事防衛論争の末に(2025.11.11)
- 前衛12月号ができています。(2025.11.10)
- 子どもの貧困対策・居場所づくり これまでとこれから(2025.11.09)
- 【独自】生活保護の全額補償見送り 最高裁判決対応で厚労省(2025.11.07)
- 9月実質賃金1.4%減、9カ月連続マイナス 物価に賃上げ追いつかず(2025.11.06)
« 新学習指導要領案:英語授業「英語で」 高校も脱「ゆとり」へ と昨日のNHKの放送と | トップページ | 日米開戦と東条英機 »


コメント