爆笑問題のニッポンの教養 我働く ゆえに幸あり? 教育社会学
以前、NHKで放送したときには観ることができなかったので、少し興味深く読んだ。案外、知らない本田由紀の考え方、感じ方なども出ていたり。彼女がこれまで、語ってきたことがわかりやすく述べられているのも事実。
だけど、全体としては、そんなに深まったと言えるのかどうか? 彼女の言う、学校と仕事との接続の問題がどれだけ、切実な問題として浮き彫りにされたのかどうか。
なぜ、そうなのか。本田さんの政策批判は、時としてシャープで、するどいところもあり、それなりに読む価値はあると思うのだけれど、でも、本田さんの批判は、あくまで、政策の誤りの批判に終始していて、逆に言えば、政策が変われば問題が解決するというようにも、聞こえてしまうのだ。そんな現実や、政策が生まれる背景というか社会構造についてのつっこみが、物足りない。
そのことと関係するのだと思うけれど、データを駆使した議論をする人だと思うけれど、問題に接近する角度が、少し単線的な感じ。もっと広く、社会全体でおこっていることを総合的に考えながら議論する必要はないのか。とくにいまの若者の問題は、貧困や雇用の問題など経済的側面の多い問題や、消費文化の展開などの問題もある。
だから、どうも爆笑問題の大田さんがつっこんでも――このつっこみはきわめて俗論ではあるんだけれど、なんというか、若者の感じる問題という面もありそうでもある――、お説教口調に聞こえてしまう。実はは、本田さんは、現場感覚というものが少しずれているのかとも感じてしまう。そう言えば、なぜ、『若者の労働と生活世界』というような少し一面的な、若者労働の現場のとらえ方の本なんかも出てくるかというのもある(まあ、これは本田さんの責任ではないのかもしれないけれど)。
でも、けなしていますけれど、面白い本ですよ。読む価値は十分ありますし、大事なことはたくさん言っていますからね。
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