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2008/12/16

学力テストをめぐる議論がふれないこと

 何というか議論そのものは、何と低レベルのものである。こんな人たちが、教育行政に大きな影響力をもっているということは、子どもにとって、日本にとって不幸なこと以外何ものでもない。

橋下府知事と文科相応酬 学力テストめぐり過熱(共同通信)

 全国学力テストをめぐり、大阪府の橋下徹知事が16日午前、「文科省のばかさ加減に感心する」と文部科学省を批判したのを発端に、塩谷立文科相が反論、さらに橋下知事が再反論してエスカレートした。
 橋下知事は同日午前、都道府県教育委員会の申し出があれば市町村別の成績を提供しないことも検討するとの文科省方針に関し「責任をなすり付けている。府教委が『データは要らない』と言うと思っているのか」と批判した。
 これに対し、塩谷文科相は首相官邸で「学力の把握が目的で、公表は目的ではない。序列化するための調査じゃない」と反論。橋下知事が市町村別の結果公表に積極姿勢をみせていることに絡み「成績の悪い生徒を休ませたり、先生が答えを教えたりしたことがあって(公表は)駄目になった。それをもう1回したいのか」と強調した。
 文科相の発言を聞いた橋下知事は「大阪では人口ベースで9割が公表されているが、過度の競争や序列化は起こっていない。大臣に現状をご説明したい」と再反論した。…

 橋下さんのいうことには、ウソがある。過度な競争や序列化は起こってないというが、――たしかにこの学力テストそのものは、多くの子どもたちが真面目にうけていないという面はないわけではない――がしかし、過度な競争がおこっていることは否定できない事実である。橋下氏自身は、競争こそ子どもを育てるという、まったく科学的に実証されていない素朴な俗論に固執していることを隠さない人物であるのに、なぜここでは、そのことを隠すのか。
 ただ、塩谷氏の方の議論も無理がある。学力の把握のためならば、何も悉皆調査である必要はない。こういうテストをする目的は、当時の文科相自身が語っているように競争にある。
 お互いに、競争をあおりながら、そのことが生み出しているさまざまな問題に、まともに向き合おうとしないこそくさしか感じない。政治家としての品性を疑う。子どもが、このテストによって、どんな迷惑をし、どんな傷を与えられているか。豊かな教育の活動をどれだけ疎外しているのかということをもっと直視していただきたい。

 ただ、こんなテストをやっている限り、住民の側からすれば、公開の要求がでるのはある意味では当然である。――税金をつかった「調査」を公開しないというのは、すじ論から無理がある。が、そのことが、正しいとも思えない。結局、こんな「調査」が必要なのかという問題を議論しない限り、何も解決はしない。歯止めがかからないのだ。
 学力テストで計測されるものは、子どものいまのごく一面にすぎない。それが、ほんとうに、いまの教育活動にとってどれだけ必要なのか? いまの教育活動にとって「調査」すべきことはいったい何なのか? どんな方法がそのためには必要なのか。結論として、学力テストは、早くやめたほうがいい。

 もう1つ、いまの問題とは直接関係はないけれど、この2回の学力テストで、わかったことっていうのはほんとうにくみつくされているのか? 結局、政策当局に都合のいいような活用しかされていないのではないのか、ということは、それはそれで利きかかっている。

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コメント

■橋下知事「文科省はバカ」テスト成績非開示を批判-知事の言っていることの中で正しいことと間違っていること?
こんにちは。橋下知事またやりましたね。私は、おおむね知事の言っていることは正しいと思います。ただし、間違えているところもあると思います。それは、役人を入れ替えればよいという発言です。私は、役人をすべて入れ替えただけでは、良くはならないと思います。良くは、なったとしても一時的なもので、すぐに元に戻ってしまうと思います。根本的な問題は、人の問題ではなくて、システムの問題だと思います。詳細は是非私のブログをご覧になってください。

投稿: yutakarlson | 2008/12/17 11:33

 こんばんは。
 この問題についての、意見はたぶん違いのでしょうけれど、システムの問題を考えなければならないというのは同じでしょうね。
 少なくともいま、本質的な問題について議論することが大事だと思いますね。
 これからもよろしくお願いします。

投稿: YOU→yutakarlson | 2008/12/20 00:37

ご無沙汰しました。
お風邪の方は如何ですか。ご無理のないようご自愛ください。

さて,教育現場の渦中に放り込まれている私です。
全国学力調査の弊害を何点か痛感。
一律の問題に各地域で取り組むので,
結果比較・地域差を示されるとなれば
指導者側としては「指導力不足」をあぶり出されるような気持ちになります(笑)
→どうにか素点を具体的に上げる努力
→ベネッセ風問題解答への対処
・・・本校でも6学年以外の学年も
ベネッセの学力調査を実施することに決まりました。

「指導力」を問われて,指導をどの方向に改善するか。
ピザ的学力云々論争もですが,目先の素点を向上させることになど終始するのは全く愚弄なことです。
学力調査解答スキルではないはずですし。
まさに,本質的な問題の根っこを論議すべきだと思います。

詩人の谷川俊太郎さんの「人権宣言の絵本」の件
情報ありがとうございました。
人権週間でもあったので学年便りの方に引用させて頂きました。
保護者の方もきっと興味を持ってくださるのではないかと。私も手元にと思います。

また,事後報告で申し訳ありませんが
貴ブログをリンクさせて頂きました。
これからもよろしくお願いします。

投稿: とし | 2008/12/20 11:48

 はい、風邪はほぼ大丈夫だと思います。ちょっとよくなると夜遊びなどしてしまって、ダメですね。
 政権が変わったら変わったで、またいろいろおこるかもしれませんが、さすがに文科省は、学力テストを続けることには、意味を見いだせにくくなっているのではないかなあと思います。もともと政治の側からおこったものですしね。
 いま、文科省は、学力テストと、いまだにちゃんとした実施のメドが見えない教員免許更新制で、不満が充満していると思います。おまけに予算は付かないし。
 としさんのブログも拝見させていただいています。現場の先生の実感みたいなものから、学ばさせていただきたいです。

投稿: YOU→とし | 2008/12/22 00:45

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