金融化の災い みんなのための経済の話
大槻先生は、いわば私の経済の先生の1人と言えばいいのでしょうか。もっとも信頼する先生だ。春にこの本が出たとき、パラパラと読んではいたけれど、今回の金融危機の展開のもとで、もう1度ちゃんと読んでみた。
現在の危機をつくりだした経済の「金融化」というものが、資本主義経済のどういう展開のなかで生じたのか、現在の問題を歴史的にとらえることの大切さをあらためて痛感させられる。金余りの段階で、儲けを第一に追求する資本主義がつくり出す「金融化」という腐敗の、からくりを、金融の基礎的な仕組みから教えてくれる。
いまの資本主義経済の矛盾を大きく全体から捉えて、ことの本質をつかまないと、金融が危機だから、金融を強化するという、いわば「金融化」を容認するような逆立ちした議論に陥ってしまうことも教えてくれる――そう現在の論壇の少なくない議論にそういう傾向はある。そして、そういう日本経済の舵取りをすすめている政府やトヨタなどの財界・大企業の責任は大きい。
では、どんな対策がいま求められているのか、日本独自にはどんな課題があるのか。アメリカ型の「金融化」や新自由主義の「改革」ではなく、実体経済のもつ矛盾そのものをどう解決していくのか。国民の生活に軸足をおいた経済政策、東アジアでの経済の共同をすすめていくような取り組みの必要性を痛感させられる。
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