子どもの貧困‐日本の不公平を考える(その1)
かなり落ち込みモード。ちょっと仕事をしたくないなあ。自分の仕事がなかなか通用しないなあ(読者に届かないなあ)と思ったとき、落ち込む(笑い)。それから、自分の仕事が、ほんとうに中途半端で、力が足りないなあと思ったときも落ち込む(苦笑)。その落ち込み方も、なかなか情けない。誠実でも、謙虚でもないしねえ。
この本は、ある意味、落ち込ませてくれる本だ。ものすごい本である。まずは、岩波のHPの紹介から。
学力、健康、そして将来……。人生のスタート時点におけるさまざまな「不利」は、大人になっても人生に大きな影響を及ぼしてしまいます。今や、日本の貧困は、OECD諸国の中で、第2位の高さを占めるといいます。にもかかわらず、その「貧困」の実相はなかなか見えないというのが実情ではないでしょうか。
本書では、そもそもどの程度の生活水準が「貧困」であり、貧困率はどのように計算されるのか、貧困世帯に育つことで子どもたちはどのような困難を抱えているのかを豊富なデータをもとに検証していきます。そして、「貧困の世代間継承」を断つために、今、緊急に求められる「子ども対策」を提唱していきます。
本書のなかで紹介されるアンケート調査の「不安に思っていることは何ですか」という問に対し、あるシングルマザーは、下記のように答えていたそうです。「子供の大学進学を控えての経済的不安。派遣のため収入の増える見込みがないので自分の老後の蓄えをするよゆうがない。将来働けなくなったら、すぐ死んだ方が子どもにめいわくをかけないで済むのではないかと考える。」(母42歳、第一子15歳)
著者が書いていらっしゃるように、「「子どものために早く死にたい」と、母親に言わせる社会は許されるべきではない」というほかありません。
今すぐ、是非、社会全体で真剣に考えていただきたい、文字通り喫緊の課題です。
データの扱い方がすごい。のっけからPISAテストについて、こんな分析ができるのかと。こんな子どもにかかわる実態を、この調査は提起もしていたのか。
子どもの貧困について、さまざまなデータが提示されているが、たとえば貧困率を子どもの年齢ごと、それぞれにとったときの数字などは、日本は、子ども年齢が高くなるほど、貧困率が高くなることを示しているが、そのことが、高校や大学の学費の高さとの対比で問いかけることも多い。が、そんな分析は、たぶんこれまでされてこなかったと思う。
3分の2ほど読んだけれど、数字の強さというか、力というもので、説得力をもって問題を問いかけるだけでなく、この数字の裏側にある、生きた人間の抱える困難も浮き彫りにしているところが、この本のすごいところ。これは、筆者の人間性なんだろうなとも思う。
ここでも少し、自分が小さく見える(苦笑)。とにかくおすすめの本であることはまちがいない。残りの感想は後日。
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