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2008/11/15

子育て・教育の市場化と格差

 雑誌『教育』(教育科学研究会)が、表題の特集を11月号で組んでいる。
内容は

4910030151183・子育て・教育の私事化は何をもたらしているか  …汐見 稔幸
・子どもの人間性の発達を歪める「教育の市場化」 ―東京都杉並区の教育「改革」から―  …木附 千晶
・生徒・学校教育をとりまく教育産業の現在 ―「教育の商品化」の新しい地平―  …石井 将
・現代の育児雑誌と家族の教育戦略 ―「戦後家族モデル」崩壊の後に―  …松田 洋介
・定時制高校生の生活をとおして考える  …鈴木 敏則
・<座談会> 塾・教育産業の学校介入・浸透の現在  …菅間 正道ほか
・<関西発・母たちの座談会> 悩みに揺れながらの子育てを語る   …大河 未来・小川 嘉憲・小川 碧・片岡 洋子と五人の母親

 学校と教育に、企業の論理だけではなく、企業そのものが入り込んでいる現状が確認できる。なぜ公的領域が教育という世界から撤退し、企業が入り込むのだろうか。もちろん、汐見先生が指摘するように、日本は公的な教育費支出が極端にすくないという事情がある。一方で、家庭による教育費の負担が高い。そして、教育において、競争というものが過度に取り込んできたことがそのことを容認する背景となっている。

 しかし、教育産業の学校への進出は、驚くべきものがある。その形態もすさまじい。実態的には、学校段階の教育において、こういった内容は実物をよんでいただくとして、教育そのものが、こういったことを内面化していることをどう考えればいいのだろうか。
 本来の、教育のありよう、子どもと教師による自由な活動を回復するには何が必要なのか、そんなことを考えながら読んだ特集だった。

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コメント

はじめまして、いつも興味深く拝見させていただいている、「いしい」と申します。

『教育』の11月号をとりあげていただき、「教育産業の学校への進出は、驚くべきものがある。その形態もすさまじい。」と感じていただいたこと、(執筆者の1人として)嬉しく思います。

と申しますのは、私が1年間従事した(違和感が強く退職)、某新種の教育産業(『人間と教育』55号の拙稿参照願います。http://www.core-net.net/index.html)のことを、色んな(民主的な)教育学研究者にお話しても、なかなかその違和感を共有していただける方は意外と少ないのです(そのため、このような現象を理論的に自分で研究すべく進学することになりました…)。

突然のコメント、失礼いたしました。
これからも拝見し、勉強させていただきますので、宜しくお願い致します。
それでは、くれぐれもご自愛くださいませ。

 はじめまして、コメントありがとうございます。お恥ずかしいかぎりです。『人間と教育』もぜひ読ませていただきます。本棚にあるはずなのに、なかなか見つからず、困っています。何とか見つけます。
 いしいさんのお仕事は、貴重なものだと思います。いわゆる小、中、高という学校以外の教育にかかわる問題を研究対象にする方って少ないですものね。本当は、中学生にとっての影響は、中学自体に劣らないほど大きいのですものね。
 こちらこそ、いろいろ勉強させていただきたいと思います。ありがとうございました。

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