「生きづらさ」の臨界 "溜め"のある社会へ
湯浅誠と河添誠のW誠が本田由紀、中西新太郎、後藤道夫と鼎談してつくられたのが本書。面白かったです。本当はね、気に入った論点など、土佐のなんとかさん見たいに備忘録をつくって、アップしておくといいだろうけれど、それよりも読むべきものがたくさんある。
本田先生とのそれは、やや分野も接近の角度もちがう人だけに、緊張感も意外性もあって読み応えがある。読んでうなったのは、2番目の鼎談の中西さんの発言と、3番目の鼎談の湯浅さんの問題提起。中西さんは、自己責任論の構造と果たす役割みたいなものが、解き明かされる。ヨーロッパの個人主義はフィクションで、社会の紐帯は存在する。日本は新自由主義のもとで徹底的に個別化され、孤立している。その指摘に、ならば日本では主体的な連帯の形成しかない。そういう新しい時代に生きているということ、そのことにかかわっていると思うだけで、ワクワクするなあ。湯浅さんの、個別のケアと社会構造の変革へのアクセスとの関係というのは、とても重い実践課題で、今日の福祉ネットワークを見て感じたことにもつながる。後藤さんの受け答えも、なるほどと思った次第。
まず若者と向き合うときにまず最初にあるべき視点とはどういうものか。若者を主体としてどう連帯していくのか。いろいろ考えさせてくれる一冊である。
« チャベス政権 光と影~21世紀社会主義の行方~ | トップページ | 保育所が倒産? オーストラリアでおこっている驚くべきこと »
「教育」カテゴリの記事
- 10月号ができました(2024.09.11)
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
- 自衛隊、宮古・八重山や奄美に新拠点検討 2025年度の概算要求 訓練場や補給の適地有無を調査 2027年度には那覇に対空電子戦部隊(2024.08.31)
- 2学期がはじまっています(2024.08.29)
「読書」カテゴリの記事
- 10月号ができました(2024.09.11)
- 「歴史抹殺の態度を変えさせなければ」8月31日に都内で関東大震災朝鮮人・中国人虐殺犠牲者の追悼大会(2024.08.25)
- 木原稔防衛相、終戦の日に靖国神社に参拝 韓国「時代錯誤的」と反発 :「ニライカナイには行けない」(2024.08.15)
- 9月号ができています(2024.08.12)
- 『沖縄県知事 島田叡と沖縄戦』と「島守の塔」(2024.07.28)
「政治」カテゴリの記事
- 「日米軍事同盟・「戦争する国」づくりの新段階」 日米の統制の一体化などなど(2024.09.14)
- PFAS 公害裁判 そしてトラツバ(2024.09.12)
- 10月号ができました(2024.09.11)
- 「エイジアン・ブルー 浮島丸サコン」(2024.09.10)
- 赤旗日曜版にJCJ大賞 自民派閥の政治資金不記載(2024.09.09)
「経済」カテゴリの記事
- PFAS 公害裁判 そしてトラツバ(2024.09.12)
- 「エイジアン・ブルー 浮島丸サコン」(2024.09.10)
- 赤旗日曜版にJCJ大賞 自民派閥の政治資金不記載(2024.09.09)
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
« チャベス政権 光と影~21世紀社会主義の行方~ | トップページ | 保育所が倒産? オーストラリアでおこっている驚くべきこと »
コメント