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2008/11/08

雇用・能力開発機構の廃止に反対する共同アピール

雇用・能力開発機構の廃止に反対する共同アピール

乾彰夫 (東京都立大学・首都大学東京)、大串隆吉(東京都立大学・首都大学東京名誉教授)、太田政男(大東文化大学)、後藤道夫(都留文科大学)、田中萬年(職業能力開発総合大学校名誉教授)、田端博邦(東京大学名誉教授)、平沼高 (明治大学)、本田由紀(東京大学)

 2008年9月、行政減量・効率化有識者会議は雇用・能力開発機構の廃止を打ち出しました。
 日本では、厚生労働省が所管する雇用・能力開発機構と、地方自治体の二つの柱立てで、公的職業訓練を実施してきました。雇用・能力開発機構の廃止によってもたらされるのは、機構の中心的業務である訓練業務の大幅な縮小、そして公的職業訓練の基盤となる職業訓練指導員の養成・再研修機能や調査・研究機能の縮小・廃止であり、それは公的職業訓練の大幅な縮小へとつながるものです。
 公的職業訓練は、受講者にとって、専門学校を始めとする他の多くの職業教育機関とは異なり、経済的側面をはじめとしてさまざまな点でアクセスしやすいという性質を持っています。そのため、学校教育や民間の教育訓練機関に馴染めない・アクセスしにくい層の職業能力形成、さらには人間形成をも担っています。2006年度では、22.3万の人が雇用・能力開発機構の、また11.5万の人が都道府県の公的職業訓練を活用して、職業能力形成を遂げています。地方財政の逼迫によって、人と金を職業訓練に回すことがむずかしくなっている自治体もあるなかで、機構が果たしている役割は小さくなく、機構廃止は公的職業訓練全体にとって、大きな打撃になることはいうまでもありません。
 訓練業務以外でも、機構の担っている役割は重要です。とくに、今回廃止が打ち出されている職業能力開発総合大学校は、上記の職業訓練施設において指導にあたる職業訓練指導員の養成と再研修、また職業訓練についての調査・研究を行う機関であり、公的職業訓練の基盤を支え、そしてさらには今後の職業能力開発の発展を支える役割を担っています。職業能力開発大学校の廃止は、公的職業訓練の基盤を大きく掘り崩すものに他なりません。
 機構の廃止方針は、行政改革の流れの中から打ち出されてきたものであり、いわば、廃止先にありきで決定された方針です。機構が本来、職業能力開発のための機関であることを十分に踏まえて、打ち出されたものではありません。もちろん、多くの論者が指摘しているように、機構の事業の中には、ハコモノ建設や労働者財産形成事業の促進など、改廃すべき事業が含まれています。機構の本来的改革は当然、行わなければなりません。しかし、機構のなかに改廃すべき事業があるからといって、機構そのものを廃止して、公的職業訓練の後退を招くことは、きわめて危険です。機構改革は、維持・拡充すべき事業と改廃すべき事業の腑分けをより慎重に行いつつ、廃止を前提にしない改革を追求する必要があります。
 周知のように、近年では若年雇用を中心とした不安定雇用とその長期化が問題となっています。こうしたなかで、若者や失業者等の職業能力形成の機会を公的に保障・拡充することこそが、政策として求められています。また、今後の「ものづくり」を中心としたさまざまな職業を支えていくという点でも、公的職業訓練の意義は大きいといえます。行政減量・効率化有識者会議がもくろむ雇用・能力開発機構の廃止は、現在高まる公的職業訓練の社会的必要性に、逆行するものに他なりません。
 私たちは、以上のような理由から、雇用・能力開発機構の廃止に反対します。

公的職業訓練を守る会のHPはここ。

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