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2008年11月

2008/11/30

学童保育のバザーなど

 今日は、子どもがかつて通っていた学童保育のバザーだったので、午前中少し、顔を出した。いつものOB酔いどれ軍団のメンバーは健在でもある。早めに行こうとおもったら、つれ合いから、少し、表計算の処理を頼まれて、おつきあい、結局、10時過ぎから、12時過ぎまで、軍団が、できあがりつつあるころに職場に向かう(笑い)。
 楽しい、優しい仲間たちである。その流れに、十分身をまかせることができない今の自分はちょっと不健康かなあ。人といっしょにいないと不安なのに、人といっしょにいるとしんどくなるというのはやっかいなものだ。

20081130182852 さて、夕方6時過ぎまで、仕事をして、夕食の買い物をして、また家に向かう。
 帰りの電車で不思議な後景に遭遇したのが、この写真。
 なんだ、これって、しばらく誰も座らなかったですね。ちょっとおかしかった。

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日韓歴史共同研究委員会

 体調は、絶不調。たぶん加齢のよるものか(苦笑)。精神的にも、はげしく落ち込みモード。昨日(一昨日)は、つれあいと食事をして、家に帰ってから、映画「チームバチスタの栄光」などを見る(笑い)。が復活しなかった。
 なんとか今日(昨日ですね)は、昼から、出勤して、研究会に参加して、それから長いメールを3本ほど。
 早く、十二分に物事を考えるようにならなければ。
 さてさて。

 日韓歴史共同研究委員会という組織がつくられている。日韓の政府の合意にもとづいて、日韓関係史につき調査・研究を行うため、日韓双方の学者・専門家によって構成された共同研究委員会で、歴史認識の溝をうめるものとして期待されている。それぞれの教科書に反映することをめざいして、第2期の作業がすすめられている。その第2期の作業が、半年間延長されたというニュースが報じられていた。

 委員会のHPには第1期の報告などもアップされていた。その作業は、なかなか微妙でありそうだ。それぞれの研究内容は、それはそれで面白いものがありそうだけれど、しかし、あまりにも議論の角度に、違いがあって、どうも素人目にも評価しづたいところがあった。
 第2期の現状はどうなのだろうか。
 ほとんど、ニュースでもとりあげられることないのでよくわからない。

 そういえば日中歴史共同研究のほうはどうなったのだろうか? 今年のはじめには、2008年中に報告書ということが報じられていたような記憶があるが、どうなっているのだろうか。日中のほうは、同時に、民間レベルでの共同研究のプロジェクトもつくられていたという記憶があるか、どうなっているのだろうか。

 政治課題としても、あたかも日本政治が、むしろ避けるような動きを見せていただけに、気にかかるところでもあるが。どなたかご存知の方、教えていただけませんか。

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2008/11/29

東京で元慰安婦ら次々被害訴え 謝罪求めるアジア連帯会議

 もう1週間前に話ですけれど、日本軍「慰安婦」の問題での連帯集会が、東京でおこなわれていました。
 ぜひ、取材に行きたいなあと思っていたのですが、なかなかの忙しさで、パスをして、23日はお休み、そして24日は9条の会のほうにいったのですが、今日、その集会に参加した方から電話をいただき、企画の提案などもいただきました。やっぱり、関心のある問題には食らいつかなくてはいけません。少しばかり反省をさせられた次第です。

東京で元慰安婦ら次々被害訴え 謝罪求めるアジア連帯会議(共同通信)

 「日本軍『慰安婦』問題アジア連帯会議」の公開集会が24日、東京都内で開かれ、韓国やフィリピンなどから来日した元慰安婦らが旧日本兵から受けた性的暴行などを証言した。集会では、日本政府に公式謝罪や賠償のための法制定を求める決議が採択された。
 連帯会議の集会はこれまで日本のほか、アジア各国で開催され、今回が9回目。…

 実は、韓国の人たちのとりくみが大きな契機となって、いま世界では、日本の対しての謝罪と補償をもとめる決議がひろがっている。米下院が昨年7月、日本政府に公式謝罪を求める決議を可決したほか、カナダや欧州連合(EU)、韓国が同様の決議を採択、そしてこの11月には台湾でも決議がなされた。
 被害者が高齢化するなかで、いよいよ、日本がどのような歴史的な態度をとるのかの、ある意味では、重要な時期を迎えたといえるのだと思う。集会は、そういうなかで行われた。

 参加しなかったことが、ちょっと悔やまれる。資料をおくっていただくよう実行委員会にメールで問い合わせをしてみた。

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イラク空自撤収命令

 インドのテロをめぐっていろいろな議論がなされています。「対テロ戦争でテロがひろがった」「武力ではテロは解決できない」などの議論は、よく受けとめるべき問題です。同時に、では、国際社会はどうテロに向き合うのか、難しいけれど根源的な問いの、答えを示すことももとめられています。

 今日、またこんなことがありました。

イラク空自撤収命令 防衛相(朝日新聞)

 政府は28日、イラクで空輸支援活動をしている航空自衛隊を年内で撤収させる方針を正式に決めた。C130輸送機3機が行っているイラク・クウェート間の輸送任務は来月中旬をめどに終わる見通し。約5年間にわたるイラク復興支援特別措置法に基づくイラクでの自衛隊の活動はすべて終了する。
 イラクからの空自撤収後は、自衛隊による「対テロ戦」への直接的な協力はインド洋での給油活動だけとなる。オバマ次期米政権は、治安の悪化が続くアフガニスタン情勢への対応に軸足を移す姿勢を示しており、日本政府は、給油延長にとどまらない新たな貢献策を求められることになりそうだ。
 撤収方針は28日の安全保障会議で了承された。浜田防衛相は同日、派遣部隊への撤収命令を出した。麻生首相は「日本とイラクとの関係は、政治対話や経済・ビジネス関係の強化に移行する時期にある」との談話を発表した。 …

 はたして、日本の政治はいまの世界の変化にどう向き合っているのだろうかとつくずく思います。

 今日の、党首討論。何が議論されたというのでしょうか。ちょっと、悲しくなる日本政治の実態がそこにあるように思います。

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2008/11/28

「早急に確立されるべき子どもと若者総合支援策」と非正規労働者の首切り

 教育再生懇談会のもとに、「子どもと若者総合支援勉強会」というものがつくられ、実は、最終まとめが10月に出されている。ほとんど報道されなかった。
 もともと、安倍内閣の時代に、教育再生会議がつくられ、官邸主導で「教育改革」がすすめられようとした。そこでは政治主導で、とくに教育内容に介入することを通じて、新自由主義的な改革のほころびを、国家主義的に再統合しようとしたと考えられる。ところが、安倍内閣があっけなく崩壊すると、福田内閣の時代に、教育再生懇談会に衣替えした。福田内閣の時代には、舵取りをかなり修正しようと考えたと思われる。それでも、この時代の教員増の議論にみられるように、従来の枠の中での修正にすぎず、あまりふかまった議論にならなかったように思える。ところが、福田内閣も倒れ、麻生政権の誕生になる。麻生さんは、どうも教育再生懇談会を、閉じようとしているようだ。

 この勉強会の「早急に確立されるべき子どもと若者総合支援策」は、あとでのべるような問題はあるとは思うけれど、内容と比較的に真面目なものと思う。すべての若者を対象に、包括的な支援をおこなう、それもアウトリーチという手法を採用しようというところにも意味がある。とも思う。
 ところが、おそらくこの最終報告は、ほとんど政治には、影響を与えないかもしれない。
 なぜなら、麻生さんは、こうした国民のもつ困難には、まともに関心をもっているとは思えない。福田さんはそれでも、議論の土俵にはのせたのだろうけれど、麻生さんはとにかく選挙のパフォーマンス以外には関心をもっているとは思えない。ニートやフリーターの問題も、「たらたら遊んで、食べて、何もしない人の金を何で私が払うんだ」という声が聞こえてきそうな気がするがどうだろうか。

 もう1つは、この課題の独特の難しさがある。その難しさに、この報告が十分に応えているとは思えないからだ。このブログでも、子どもの貧困の問題をとりあげてきたが、どう困難な事態にある子どもの支援するのかという点では、国民のコンセンサスというのはなかなか難しい。それでも、子どもの場合は、まずは機会は平等であるべきだという前提は共有されている。ところが、若者の問題については、出発の時点で、「自己責任」が幅を利かす。若者の困難にどこまで支援するのかのコンセンサスはいまだない。

 だからこそ、若者の困難そのものを、国民的な議論にしていく方向性そのものが必要なのではないのかとも思われるのだけれど、そうした役割を報告が十分はたせているとは思えないというのが第一点だ。

 では若者の困難とは何なのか。もともと、若者が学校教育から、社会に出ていく過程そのものが日本では十分社会化されていないという問題がある。言ってみれば、若者の教育だとか、若者支援という角度からの政策がないという問題がある。そこに、経済のグローバル化のもとで、新自由主義的な政策が展開され、労働の規制緩和のもとで、若者の労働というものがもののように扱われるようになったという状況が重なる。ボクは、この2つの角度というのがとりあえずは大事かなあと思っているのだけれど、いずれにしても、そうした若者の困難がなかなか国民の間で共通されていないという事情がある。

 だからこそ、現実におこっている若者の問題に、無関心であってはならない。たとえば、報告を読んでいると、現実におこっている問題との落差を感じてしまう。だいたい、これだけ重要な課題を、たぶん政治の迷走に影響をうけ、短い期間と短い時間で報告をつくってしまうところのほうに問題があるとも言えるのだと思う。

非正規労働者、3万人が失業 新卒内定取り消し300人(日経新聞)

 景気後退による企業のリストラで、今年10月から来年3月までの間に失業したり、失業する見通しの派遣などの非正規労働者が全国で3万67人に上ることが28日、厚生労働省のまとめで分かった。採用内定を取り消された来春の学卒者も331人と2002年3月卒以来の高水準で、雇用環境の厳しさが一段と増している実態を裏付けた。…

 よく考えてみれば分かるが、この首切りという事態は、若者のあいだにまんべんなく起こっている問題ではない。やはり、相対的には、報告が対象としている困難を抱える若者が、その厳しい事態におかれていると考えた方がいいと思う。だからこそ、こうした事態に無関心、そして無力であってはいけない。
 もちろん、これは大企業の責任が最も問われる問題だ。だからこそ政治の責任が問われなければならない。報告の中には、大事な議論が反映しているだけにまず、政治はちゃんと、そのことに耳を傾けるべきだ。同時に、社会の構造にメスを入れるような議論も求まれていると思うのだ。

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2008/11/27

東急電鉄が学童保育に参入、沿線で子育て世代の流入促進

 ちょっとねえ。気になるニュースが、先日ありました。
 キッズベースキャンプという株式会社による学童保育については、このブログでもかつてとりあげたことがありますが、その企業が、東急の完全子会社になったというニュース。

東急電鉄が学童保育に参入、沿線で子育て世代の流入促進(日経BPネット)

 東京急行電鉄は11月20日、学童保育事業に参入すると発表した。東急線沿線で学童保育施設を運営するキッズベースキャンプを買収する。
 東急線沿線における年少者人口の減少対策として、若年層/子育て世代の流入を促す。キッズベースキャンプの学童保育施設は主に、共働きの親を持つ小学生を放課後から最長で夜22時まで預かる。また学校や自宅までの送迎、食事、医療機関と連携した病気への対応といったサービスも行っている。
 東急電鉄は、キッズベースキャンプの親会社で新事業の起業を専門に手がけるエムアウトと、11月17日付けで株式譲渡に関して合意した。
 キッズベースキャンプを子会社にすることで、東急線の桜新町、三軒茶屋駅周辺など9カ所にある学童保育施設を取得する。また2009年4月に五反田、溝の口駅周辺などに4施設を新設し、2012年度末までに約30施設の展開を目指す。

 もともと、この企業は、スタッフ(指導員)の定着の悪さなども指摘されている。
 なぜ、株式会社なのか?

 子育てのあり方が問われている。子どもが、どのような環境で、どのようにサポートされるのかは、その子どもの人生にとって、さらには、社会にとって大きな問題でもある。これだけ、格差と貧困などの問題も注目されているときに、こうした子どもの育ちにどう社会がかかわるべきかは大きな問題があるはず。
 そのとき、民間が子育てにかかわるということを否定するつもりはない。ボクの子どもがかよっていた保育園も学童も「民間」だったから。公的なセクター以外のところがかかわることが、問題なのではなく、考えたいのは、ここまで、市場に「子育て」を委ねていいのかということ。
 こうした事業は、公のセクターだけでは、なかなか創意が発揮され、ニーズにこたえにくさがあることは事実だと思う。だからこそ民間が参加し、その力を十二分に発揮することが必要だと思うけれど、そのためには、公による規制は不可欠だし、そのためにも、公による民間への財政支援によって、安易に市場に委ねないことが必要なのではないのだろうか。
 必要な水準と安定とが確保されなかでこそ発展があるのではないのか。しかし、いま、公自身が、財政支出を削減するなかで、保育所でも学童でも、「非正規」がおどろくほど広がっている。そのことが、民営化という名の「市場化」を加速させている。
 いま、保育や学童保育の公的領域が、どのように確保されているのか、公的な支出がどれだけなされ、市場においての個人の支出に委ねていないのか、こここそが問われているという気がする。

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松下政経塾がシンポ、提言書「日米同盟試練の時」を発表

 今日は、朝から印刷工場に少し行って、それから職場で、実務や学習会や。
 しかし、麻生さんの問題発言は、さらに続きますね。「たらたら飲んで、食べて、何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」。これはもう首相として、ありえないでしょうね。もうやめるしかないのではないでしょうか。社会保障のなんたるかがわかっていない。

 さて、そうした問題の陰で、こんなニュースが数日前にありました。

松下政経塾がシンポ、提言書「日米同盟試練の時」を発表(読売新聞)

 松下政経塾は24日、創設者松下幸之助の生誕記念シンポジウムを都内で開き、超党派の卒塾生らによる「日米次世代会議プロジェクト」(座長・山田宏東京都杉並区長)が、日米同盟の将来についての提言書「日米同盟試練の時」を発表した。
 プロジェクトには山田氏のほか、前原誠司・民主党副代表らも参加。提言書は、アジア太平洋地域の将来に影響が大きい要素として、〈1〉中国の台頭〈2〉経済統合の行方〈3〉市民社会の変質――を挙げ、これらの要素が「日米の戦略的一体性を弱める潜在的可能性をはらんでいる」と指摘した。その上で、日米同盟を、アジア太平洋地域の新たな秩序作りに関与する「広範でバランスのとれた同盟」に進化させるべきだと主張した。…

 報告書は、これ。
 報道にあるようにプロジェクトは山田宏・杉並区長のほか前原誠司氏も。報告書賛同者には、逢沢一郎衆議院議員、野田佳彦衆議院議員、松沢成文・神奈川県知事、中田宏・横浜市長、小野寺五典・衆議院議員などの名前がならぶ。自民と民主が並んでいるわけだ。内容的には、現行憲法の枠のなかでも解釈を変えれば、自衛隊の海外でのより広範な活動は可能としながら、憲法9条2項の改悪もすすめるという改憲の二段構え。感じとしては、民主党ベースで、自民党に共同をよびかけるというものか。

 はたしで、どれだけのインパクトがあるのかはよくわからないが、水面下ではいろんな回路で、いろいろなやりとりが二大政党のあいだでおこなわれているということでもあるのだろうか。

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2008/11/26

子どもの暴力

 とにかく、この2日間ほどは、絶不調ですね。ミスばかりしていますし。ものすごくマイナス思考でもあったりします。

 まあ、それはそれとして、先日、文部科学省が2007年度の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」を発表しましたよね。そこでの、子どもの暴力が問題にもなっています。「 暴力行為の発生件数は約5万3千件と、小・中・高等学校すべての学校種で、調査開始以来、過去最高の件数である」というのです。

 もともと文部科学省への報告にもとづくものだから、実態をどれほど反映しているのかという問題がある。けれど、子どもの暴力というものについてはよく考えなければならない問題が横たわっているのだろうとも思う。
 「子どもが切れやすい」と言われる。でも、それはほんとうだろうか。子どもが切れるという現象は、むしろ子どもが日常的に我慢しているということの裏返しだと思う。切れることもは、むしろ、必要以上に我慢をして、それで、自分をコントロールできなくなって、爆発すると言った方が良いように思う。なぜ、がまんをするか。それは、外からの視線があるからだと思おう。
 むしろ、子どもの自己肯定感や、内面的な葛藤が大事にされない状態があることが、今日の事態を生んでいるようにも思える。では、そうした状態がなぜつくり出されたのか。よくよく考えたいとも思う。

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各省の自己評価「甘い」=少子化対策など検証-総務省委員会

 これは最近、お得意の「評価」制度なのでしょうね。はじめて、のぞいてみました。

各省の自己評価「甘い」=少子化対策など検証-総務省委員会(時事通信)

 総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は26日、少子化対策や若年者雇用対策について国の各省庁が行った自己評価に対する検証結果をまとめ、鳩山邦夫総務相に答申した。いずれも「(政策の)潜在的なニーズが把握されておらず、必要とする国民に届いているか明らかでない」などとし、自己評価の甘さを指摘した。
 少子化対策のうち育児休業について厚生労働省は、女性の取得率上昇を政策効果として挙げた。これに対し同委は、育児のため退職した人数が把握されておらず、仕事を続けられた女性の取得率だけでは効果を「的確に把握することはできない」とした。
 また、ジョブカフェなど若年者雇用対策の効果として、厚労省がフリーターの就職人数を挙げたのに対し、同委は効果の高い支援策の見極めが課題と指摘。支援策がどの程度知られているかや、職場での定着率を把握するよう求めた。

 保育など少子化対策や、若者の雇用対策というものがやり玉にあがっているようだ。これが実物。

 ざっと見てみても、何が書いてあるのかよくわからない(苦笑)。が、「評価」の基準は、ボクらの通常の感覚とはだいぶ違うようだ。第一、少子化対策にしても、若者雇用にしても、すぐに目に見えて変化が見えることだけを基準にしては、政策は間違う分野だ。それを短期の効率ということだけで「評価」をするのはいかがなものか。第二に、だからとって、現状の政策が、のぞましいものとは思わない。ほんとうにその当事者、そしてボクらの側に立って、政策の在り方を検討するという発想はないということか。

 見出しでは、別の印象をもつわけだけど、よく考えると、「評価」というものが、何をもたらすのか、結構、心配だったりするのですがね。

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2008/11/25

子どもの貧困‐日本の不公平を考える(その1)

32162928 かなり落ち込みモード。ちょっと仕事をしたくないなあ。自分の仕事がなかなか通用しないなあ(読者に届かないなあ)と思ったとき、落ち込む(笑い)。それから、自分の仕事が、ほんとうに中途半端で、力が足りないなあと思ったときも落ち込む(苦笑)。その落ち込み方も、なかなか情けない。誠実でも、謙虚でもないしねえ。

 この本は、ある意味、落ち込ませてくれる本だ。ものすごい本である。まずは、岩波のHPの紹介から。

 学力、健康、そして将来……。人生のスタート時点におけるさまざまな「不利」は、大人になっても人生に大きな影響を及ぼしてしまいます。今や、日本の貧困は、OECD諸国の中で、第2位の高さを占めるといいます。にもかかわらず、その「貧困」の実相はなかなか見えないというのが実情ではないでしょうか。
 本書では、そもそもどの程度の生活水準が「貧困」であり、貧困率はどのように計算されるのか、貧困世帯に育つことで子どもたちはどのような困難を抱えているのかを豊富なデータをもとに検証していきます。そして、「貧困の世代間継承」を断つために、今、緊急に求められる「子ども対策」を提唱していきます。
 本書のなかで紹介されるアンケート調査の「不安に思っていることは何ですか」という問に対し、あるシングルマザーは、下記のように答えていたそうです。

 「子供の大学進学を控えての経済的不安。派遣のため収入の増える見込みがないので自分の老後の蓄えをするよゆうがない。将来働けなくなったら、すぐ死んだ方が子どもにめいわくをかけないで済むのではないかと考える。」(母42歳、第一子15歳)

 著者が書いていらっしゃるように、「「子どものために早く死にたい」と、母親に言わせる社会は許されるべきではない」というほかありません。
 今すぐ、是非、社会全体で真剣に考えていただきたい、文字通り喫緊の課題です。

 データの扱い方がすごい。のっけからPISAテストについて、こんな分析ができるのかと。こんな子どもにかかわる実態を、この調査は提起もしていたのか。
 子どもの貧困について、さまざまなデータが提示されているが、たとえば貧困率を子どもの年齢ごと、それぞれにとったときの数字などは、日本は、子ども年齢が高くなるほど、貧困率が高くなることを示しているが、そのことが、高校や大学の学費の高さとの対比で問いかけることも多い。が、そんな分析は、たぶんこれまでされてこなかったと思う。

 3分の2ほど読んだけれど、数字の強さというか、力というもので、説得力をもって問題を問いかけるだけでなく、この数字の裏側にある、生きた人間の抱える困難も浮き彫りにしているところが、この本のすごいところ。これは、筆者の人間性なんだろうなとも思う。

 ここでも少し、自分が小さく見える(苦笑)。とにかくおすすめの本であることはまちがいない。残りの感想は後日。

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2008/11/24

第3回「九条の会」全国交流集会

20081124104354 今日は、一日、九条の会の全国交流集会に行ってきた。総選挙の日程が流動的でいったいどうなるのか心配されたけど、今日は1000人近くが参加して、大盛況でした。
 午前中の全体集会は、大江さん、奥平さん、沢地さん、鶴見さんが発言。そして、JCVの谷山さんがアフガニスタンの問題で報告し、そのあと、6つの地域・分野9条の会からの発言がありました。おどろいたのは北海道の経営者の方たちがつくっている会の活動です。そのほか、東北には、自治体の首長経験者たちの9条の会というものもありました。
 政治的立場をこえて、広がっていると言える9条の会ですけれど、もちろん背景には、アメリカに追随して戦争をする国づくりの動向への危機意識があるのだと思いますが、同時に、この個人の思いを積みかさねることによってすすめている、9条の会の運動の独自性というものあるのでしょうね。日本の平和意識の根底を形成してきたとも言える、日本特有の、「厳しい」戦争体験というものを、いまあらためて発掘・記録しようという最近の運動の形態も注目されるようにも思えます。

 午後からは、分科会・分散会。地域の会の活動を聞こうかなと思っていたのですが、結局、青年・学生の分科会に参加しました。昨年の「Peace Night 9」以後も、首都圏では、学生の9条の会は、いろいろな前進があるようです。地域の青年9条の会を含め、自分の言葉で自分の平和への思いを語り合う、そして、自分たちの手で、それをいろいろな形で表現する、まさに若者の顔の見える活動というもの、その活動の豊かさもあわせて、いろいろ驚かされました。すごいですよね、若者たちは。
 なかなか、平和運動に参加できなかった若者たちが、たとえばネルソンさんや高遠さんの講演を契機に大きくかわる。そこにも、体験を語る「言葉」というものがあるのでしょう。そんな若者は発したり、受け取ったりする「言葉」というものにちょっと注目したいと思いました。

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「NNNドキュメント 日雇いハケン」と「報道発 ドキュメンタリ宣言 金嬉老事件の真相」

 NNNドキュメント08の「日雇いハケン」を見ました。子どもを乳児院にあずけて、派遣で働く夫婦の話は切なかったですね。でも、困難な実態の告発だけにとどまらず、メインでとりあげられていた前田奈津恵さんが、組合に入って、たたかっていくところまで追いかけていたのは、救われる気がします。某青年団体のTさんやKさんも映っていましたね(笑い)。

02 今日は、夜、早く帰ってきたので、はじめて「報道発 ドキュメンタリ宣言」を見た。今日、とりあげていたのは、金嬉老事件。ボクの子どものころの事件で、ボクも子どものころは、「ライフル魔」と覚えてきたけれど、大人になってから、彼が、在日の差別について強い告発をしていたことを知った、そんな事件。本人も含め、現在の関係者にも取材をしていて、それなりに事件を紹介している。とくに本人と母親のかかわりを丁寧に描く中で、事件の背景を一つの面をつかまえようとしているのは、共感はできる、
 ただ、いかにもお手軽につくったという感じ。バラエティやドラマではお金がかかるので、お金をかけずにこんな番組をつくったという印象をもってしまう。テーマは思いテーマなのに、在日の歴史を追うのでもなく、当時のメディアや日本社会の問題を掘り下げるのでもなく、もう1つ深みにかける内容で、少しがっかりしたのも正直な感想。

 もちろんGTの時間帯に、ドキュメントをやるのは、歓迎したいことだ。しかし、内容をともなった(時間もカネもかけた)ものをつくってほしい。来春の番組改編では、ニュースの枠も拡充されるという。
 テレビの報道というものが、かなり問われているという感じがする。

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2008/11/23

ヒトラーの贋札

20071031017fl00017viewrsz150x 久しぶりに休んだので、映画を見た。よく考えると、映画を見るのは何カ月ぶりだろうか。いけないですよね、こんな生活(トホホ)。

 さて、この映画。舞台は強制収容所。死ととなりあわせで生きるその実態は、ものすごい緊張感。題材は、国家による史上最大の贋札事件と言われる“ベルンハルト作戦”。第2次世界大戦中のドイツ、ザクセンハウゼン強制収容所で、ナチスから紙幣贋造を強制されたユダヤ系技術者たちの苦悩のドラマだ。
 実際に強制収容所でその作戦にかかわった印刷技師アドルフ・ブルガーの著書が原作となっている。

 ドイツでは、こうしたナチの犯罪を、映画でも、執拗に描く。この作戦では、ポンド札は1億3200万ポンドつくられたという。
 日本では、日本の犯罪についての映画はつくられないよね。731にしても香港映画ぐらいでしょう。南京なんて…。

 映画は、贋札の天才、サロモン・ソロヴィッチの苦悩とアドルフ・ブルガーの正義を中心に展開する。なかなかおもしろかった。

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怒りと苛立ち

 今日は、よく考えたら、忌引きをのぞけば、2カ月ぶりに休んだ(苦笑)。さすが疲れているんだろうなあ――実に、正午ごろまで爆睡していた。先週は、いろいろあって、お酒をぜんぜ飲まなかったので、昨夜は、家で少し飲み過ぎたかな。

 さて、昨日、帰りに自転車で駅前をとおったら、知っている人が、ちょっともめていて、なりゆきで仲裁に入ることになった。その話は、そんなにたいしたことはないのだけれど、最近、よく電車の中や、駅で、トラぶっている場面に遭遇する。何かだれもが苛立っているような雰囲気がある。
 それはそうでしょう、先日、連合総合生活開発研究所の調査が発表されたけれど、働く人の4人に1人が失業の不安を感じているんだからね。年金など、将来の生活も不安だよね、ハートフォード生命保険というところが、「退職後意識調査」を発表したけれど、それによると、退職後の資金が十分かどうか不安な人は日本では94%に上り、調査した9カ国・地域で最も高かったというのだから。もっともわが家は、来年以降の学費の手当のほうが不安だけれどね。
 一方で、みんな忙しいよねえ。この忙しさはなんなんだろうと思う。
 どんどんどんどん、みんな苛立っていくように思う。

 人間というものには、「怒り」という感情がある。この怒りは、対象がある意味はっきりしている。だから、その怒りは言葉にすることで、その意味を、何かしらの主張にしていくことができる可能性もある。苛立ちは、どうもややこしそう。そう、何となく「苛立って」いて、その対象も、原因もはっきりしない。

 よく考えなければいけないことである。

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2008/11/22

「なくそう!子どもの貧困 市民フォーラム」

 イベントの紹介です。この日は、民教連の集会があったり、先生のたまごのイベントがあったり、なかなか忙しい日なのですが。

「なくそう!子どもの貧困 市民フォーラム」
・ 日 時 : 2008年12月7日(日) (12:30開場) 13:00~17:00
・資料代:(可能な方より)1000円 、学生無料
・場 所 : 立教大学池袋キャンパス9号館2階・大教室 池袋駅より徒歩13分

プログラム (予定)
第Ⅰ部 各地からの報告
・沖縄:家族の崩壊と子どもの暮らし/加藤彰彦(野本三吉)さん(沖縄大学教授)
・北海道:子どもは未来を描けるか――高校から見る子どもの貧困/大澤真平さん(北海道大学大学院)
・大阪:理不尽な子どもの無保険/寺内順子(大阪社会保障推進協議会事務局長)
第Ⅱ部 子どもの貧困をなくす市民審議会
・教育や福祉など多分野からの実態レポート + 基本提案
・討論
第Ⅲ部 『子どもの貧困白書』づくりの提案

参加申し込み・お問い合わせ 〈当日参加も可能です〉
kodomo_hinkon@yahoo.co.jp

チラシはこれ「P1.pdf」をダウンロード「P2.PDF」をダウンロード

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2008/11/21

年長フリーターが固定化 08年版青少年白書

 毎年、いろいろな話題を提供してくれる、「青少年白書」だけれど、21日に発表された今年のそれも、なかなか注目される内容になっているもよう。

年長フリーターが固定化 08年版青少年白書(共同通信)

 小渕優子少子化担当相は21日午前の閣議で2008年版「青少年の現状と施策」(青少年白書)を報告した。フリーターの数は減少傾向にあるものの、25歳から34歳までの「年長フリーター」の減少幅は小さく「固定化」の可能性があることを指摘。親の労働時間の増加に伴い、平日に親子の触れ合いが希薄になっている実態も浮き彫りにした。
 07年の15-34歳のフリーターは181万人で、03年の217万人をピークに4年連続で減少。15-24歳が4年で30万人(25・2%)減少した一方で、25-34歳は6万人(6・1%)の減少にとどまった。
 若年層での非正規雇用者の割合は、07年は15-19歳で71・8%、20-24歳で43・2%で、他の年齢層に比べて高水準だった。
 …また、家庭で平日に親子が一緒に過ごす時間を調査したところ、06年時点で「ほとんどない」と答えた父親が23・3%となり、2000年の14・1%から大幅に増加。「15分くらい」「30分くらい」を含めると約6割に上った。

 現物はここにある。

 概要版をざっと見てみた。若者のフリーターや非正規労働への注目は、ここ数年の特徴だろう。ことし、注目されるのは、家庭の問題に注目しているところか。報道では、親子の接触が減っている問題を大きくとりあげているが、実は、困難な状態にある家庭の問題をとりあげていることも注目される。単親家庭の困難をかなり重視している。虐待問題の背景にも、「貧困」があることも東京の資料などもつかって指摘している。
 問題を家庭だとか地域一般にしてしまうのではなく、困難な家庭をどう支援していくのかこそが大事なのだと思う。こうした認識にあるのであれば、この点での施策の充実や改善を、ぜひすすめてほしいものなのだけれど。

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歴史認識問題の原点・東京裁判

32142031 先日、判決から60年を迎えた裁判については、いまなお、論壇では議論の絶えない。それは、戦後日本の歴史認識問題の原点であると同時に、戦争犯罪の追及と国際的なパワーポリティクスの相克のもとでおこなわれたという事情から生まれる。本書は、この裁判についての最近の歴史学の研究成果をふまえて、わかりやすく解説しているのが何よりの特徴だ。その内容は、なによりも裁判が、日本が中国やアジア・太平洋地域で起こした戦争を「侵略戦争」と認定している点にその意義を見る。同時に、この判決を、戦争違法化と国際人道法の発展のなかでとらえるという点も特徴である。
 それでもなお、この裁判について、日本の侵略戦争を正当化する勢力から連合国による「勝者の裁き」との批判がなされるのか。その背景には、天皇の免責や原爆投下など連合国の戦争犯罪が裁かれなかったという裁判の問題が存在するからにほかならない。本書は、裁判の積極的な意義だけではなく、一方で、日米支配層の合作で戦争責任を陸軍強硬派に押しつけて昭和天皇を免責し、戦争に同調した穏健派を戦後の支配勢力として温存した事実を指摘し、そうした議論の一面性を指摘している。

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今週のNNNドキュメント08は 日雇いハケン ネットカフェ難民 4

 これは予告です。
 今週のNNNドキュメント08は、「日雇いハケン ネットカフェ難民 4」だそうです。

20081123 ネットカフェ難民第4弾は、働く側から日雇い派遣禁止問題を見る。グッドウィルの違法派遣・廃業などを受け、政府は「日雇い派遣原則禁止」という形での法改正を目指す。しかし「登録型」の不安定な雇用は残り、マージンの規制もないので低賃金は続くとみられる。前田奈津恵さん(26)は集合場所で点呼係をやらされることも多いがその手当はない。8000円の日給も交通費を引けば7000円に。出発・到着の電話や派遣会社へのファックスも全て自腹だ。「私は会社にとって資材と同じ。ボールペンと同じ…」前田さんは日雇い派遣の仕事に疑問を抱き実態を調べ始めた。

 11月23日(日)深夜1時~1時30分(厳密な日付は24日)。今回も必見でしょうね。

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海賊対策で海自派遣特措法案 抵抗抑止に武器使用容認

 田母神問題に隠れて、実は重大な問題も進行している。

海賊対策で海自派遣特措法案 抵抗抑止に武器使用容認(共同通信)

 アフリカ・ソマリア沖で相次ぐ海賊被害を受け、政府は20日、海上自衛隊の護衛艦を派遣するための「海賊行為防止活動特別措置法案」(仮称)の素案をまとめた。自衛官の正当防衛に加え、海賊が武力で抵抗した場合の武器使用を容認する考えを打ち出し、護衛対象に外国船も含めた。
 … 武器使用については「海賊行為防止活動の実施に対する抵抗を抑止するため武器を使用できるほか、自衛官は、自己保存のための武器を使用できる」と明記した。

 これまで、海賊への対応は、日本では警察力で対応というのが基本だった。その枠を大きくこえ、しかも自衛隊に武力行使を認めることにつながるような内容になっているもようだ。

 一方で、こういう動きもある。

海賊対策で特措法策定へ=ソマリア沖に限定-超党派議連(時事通信)

 自民、民主、公明各党などによる超党派の議員連盟「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」は20日午前の役員会で、アフリカ・ソマリア沖に海上自衛隊の艦艇を派遣し、海賊対策に当たらせるための特別措置法案を議員立法で策定する方針を決めた。来年の次期通常国会への提出を目指す。…

 こちらは、政府案のほどではないようで、護衛と監視を基本としているようだが、ただ、自衛隊の武力を活用して、海賊に対応するという点では、変わりはない。もちろん、その活動場所は、日本や日本の近海では決してない。
 今後、どのような議論になっていくのかは不透明だけれど、海賊に対する活動だからと言って、まあしかたがないだろうと言ってすむような話ではない。論理的には、結局、集団的自衛権の解釈だとか、武力の行使にむすびつく性格の問題である。しばかくこうした問題をボクもよく考えていなかったけれども、警察力と自衛隊の問題、国際法は犯罪になにによって対応しようとしているのか、など、よくよく考える必要がありそうだ。ちょっとした宿題を出された感じである。

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2008/11/20

田母神問題をさらに考えた

 今日は、いろいろな仕事のなかで、少し田母神問題について、いろいろ資料や文献を読みながら考えていた。

 論文の核心は、「自衛隊は領域の警備も出来ない、集団的自衛権も行使出来ない、武器の使用も極めて制約が多い、また攻撃的兵器の保有も禁止されている。諸外国の軍と比べれば自衛隊は雁字搦めで身動きできないようになっている。このマインドコントロールから解放されない限り我が国を自らの力で守る体制がいつになっても完成しない」とあるように、憲法解釈の改変、もしくは改憲にあると読みとれる。アメリカと一体になって海外で戦争ができる「軍隊」に自衛隊を変えていく、その障害となる憲法に攻撃をかけることにこそあるのだろう。
 問題は、その見解が、田母神氏個人の突出した議論であるのではなく、その内容を訓辞でのべ、また田母神氏がすすめた自衛隊の幹部教育の内容として取り入れられているということだ。それは福地氏の講義が、「現憲法体制は論理的に廃絶しなくてはならない虚偽の体制であると断言できることを論ずることであります」という言葉にも表れている。いわば改憲が、自衛隊と言うところで公式に教育されているわけである。

 近年の海外派兵体制の強化のなかで、自衛隊の内部で軍事的価値判断を優先する傾向が大きくなっている。そのことは、それは、もちろん単純な制服の暴走ということにとどまらない、外交的な問題を軍事的に解決することを優先する政治勢力の動きとむすびつき、それが後押ししていることは言うまでもない。

 その結果の、今回の問題は、いわば、政府の解釈に立ったとしても自衛隊の活動は憲法の枠内であるべきだという点と、文民統制の本質である、国民のコントロールに服さなければならないという国民主権の立場からの2重の逸脱ということができるのだはないのだろうかと思った。

 ただ、この間の、保守政治の改憲の策動が、いわゆる「靖国」派とよばれるような偏狭な歴史観をもった勢力をテコに推進せざるをえなかった(これは、破綻局面にあるわけだけれど)ことと対応して、この自衛隊内の軍事優先の推進も、「靖国」派の政治とむすびついて、こうした偏狭な歴史観を背景とせざるをえなかったということにその最大の矛盾・弱点があるとも言える。そのことが、この動きの歯止めになる可能性もあるとも言えるのだろうが。

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「ちょうかい」SM3を発射=迎撃には失敗-防衛省

 60億ですよ。60億…。60億円あれば何ができるでしょう。やっぱり税金の使い方が間違っています。

「ちょうかい」SM3を発射=迎撃には失敗-防衛省(時事通信)

 防衛省は20日、海上自衛隊のイージス艦「ちょうかい」(基準排水量7250トン)が、弾道ミサイルを撃ち落とす海上配備型迎撃ミサイル(SM3)の発射試験を米ハワイ沖で実施したが、標的の迎撃には失敗したと発表した。試験には総額約60億円の費用が掛かったが、失敗により、日本のミサイル防衛(MD)システムは運用面での課題を露呈した。…

 その後のニュースでは、ミサイル自体に問題があった可能性もあるとか。技術的な問題だと言うのですよ。いわば未完成品。役に立つがどうかもわからない未完成な技術に、莫大なお金をつぎ込むと言うことなのでしょうか?

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泡瀬埋め立て 差し止め/県・市の支出禁じる/那覇地裁「経済的合理性なし」

 家の夕刊には載っていなかったので、詳しい内容は、まだよく分からないが、画期的な判決がおこなわれたようだ。

泡瀬埋め立て 差し止め/県・市の支出禁じる/那覇地裁「経済的合理性なし」(沖縄タイムス)

 泡瀬干潟の埋め立て開発に反対する沖縄市民ら約五百八十人が、沖縄市長と県知事に事業への公金支出の差し止めと、県知事に対して既に支出した二十億円を当時の稲嶺恵一知事と国に損害賠償請求するよう求めた訴訟の判決が十九日、那覇地裁であった。田中健治裁判長は、東門美津子沖縄市長が事業計画の見直しを表明していることを踏まえ、「現時点において事業は経済的な合理性を欠く」と指摘。沖縄市長に事業に関する一切の公金支出の差し止めを命じた。…

 公共事業の見直しが一定進んだように見えても、まだまだ大きな事業は続いている。高速道路がその典型だろうけれど、この間、川辺川や大戸川などダムの問題も注目をあびている。そして、ここでは干潟の埋め立てがとわれた。
 沖縄タイムスでは、五十嵐敬喜さんが「費用対効果の問題を正面から取り上げて、経済的合理性が認められないと判断した非常に画期的な判決だ」「これまで公共事業をめぐる訴訟では、事業の公共性と住民の被害を比較して、公共性が上回るとするのがほとんどだった。道路特定財源の問題など、行政は費用対効果の検証にやっと取り掛かったところで、それを先取りしている」とのべているが、注目すべき論点がありそうだ。

 政治のゆきづまりを、司法が冷静な判断をしたとも言えるのかもしれない。

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2008/11/19

金融化の災い  みんなのための経済の話

02987562 大槻先生は、いわば私の経済の先生の1人と言えばいいのでしょうか。もっとも信頼する先生だ。春にこの本が出たとき、パラパラと読んではいたけれど、今回の金融危機の展開のもとで、もう1度ちゃんと読んでみた。

 現在の危機をつくりだした経済の「金融化」というものが、資本主義経済のどういう展開のなかで生じたのか、現在の問題を歴史的にとらえることの大切さをあらためて痛感させられる。金余りの段階で、儲けを第一に追求する資本主義がつくり出す「金融化」という腐敗の、からくりを、金融の基礎的な仕組みから教えてくれる。
 いまの資本主義経済の矛盾を大きく全体から捉えて、ことの本質をつかまないと、金融が危機だから、金融を強化するという、いわば「金融化」を容認するような逆立ちした議論に陥ってしまうことも教えてくれる――そう現在の論壇の少なくない議論にそういう傾向はある。そして、そういう日本経済の舵取りをすすめている政府やトヨタなどの財界・大企業の責任は大きい。

 では、どんな対策がいま求められているのか、日本独自にはどんな課題があるのか。アメリカ型の「金融化」や新自由主義の「改革」ではなく、実体経済のもつ矛盾そのものをどう解決していくのか。国民の生活に軸足をおいた経済政策、東アジアでの経済の共同をすすめていくような取り組みの必要性を痛感させられる。

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自衛隊イラク派兵違憲判決に学ぶ

20081119200700 今日は、人に会いに明治大学で開かれた表題の講演会に行って来た。この裁判で証人として証言した山田朗さんと、弁護団の事務局長の川口創さんが話した。
 山田さんの話は、自衛隊の装備やイラクでどんな役割をになっていたのかという問題を、軍事の専門家らしく、紹介。今日は30分だったんので、後日、たっぷりした講演を聞きにいく予定。

 川口さんは、まだ30代半ばの若い弁護士。なかなか厳しいことを言う、憲法を守るためにこの訴訟をしたのではなく、憲法は使うものだと。判決が、イラク派兵が、9条の1項違反と裁いたのは、すなわり日本が戦争(武力行使)をしているということだと。たしかにそうだけれど、ここがかならずしも受けとめられているわけではない。さらに、判決がなぜ、そう判断したのか。イラクで何がおこっているのかについて判決が何を認定したのかについて、ていねいに解説する。ファルージャ掃討作戦の実態、バグダッドへの空輸で米兵を輸送する時期は、アメリカ増派の時期であり、その後、バグダッドへの空爆が強化され、市民の死者が増え、難民が増大する。このことをもって、イラクが戦争状態にあり、バグダッドが戦闘地域と認定した。
 政府の解釈のうえにたっても、違法・違憲であること、そして平和的生存権の具体的権利性も認めたこの判決。改めて読み直しても、画期的に重要な判決であることが確認できる。

 川口さんの話は、かなり辛辣だが、自らの問題として受けとめた怒りに満ちた内容で、なかなかのものだった。いまだ、同じ状態にイラクがあり、いまだ日本の自衛隊はイラクにいる。そのことについて、とても考えさせられた学習会だった。

 会場で、とある人と、ちょっと企画の相談。仕事が少しすすんだ。

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私たちが進みつづける理由

 もうすぐ”うたごえ祭典”ですね(11月22~24日、東京)。全国祭典には行ったことがありませんが、若いころ、予選(地域祭典)には出たことがあります(苦笑)。私が活動していた地域の事務所のとなりに、「洛北青年合唱団」の事務所がありました。懐かしいですね。

 さて、24日の大音楽会では、「私たちが進みつづける理由」という歌がうたわれます。歌詞はこれです。

 この詩は、訳をした堤未果さんの本『報道が教えてくれない アメリカ弱者革命』の最後に紹介されていたものだそうです。作者のキム・ロザリオさんはヒスパニック系アメリカ人で、息子をイラク戦争に送ってしまった母親だそうです。シンディ・シーハンさんらとともに反戦行動を始めたそうです。その後、アメリカでのイラク反戦の運動は、2004年10月16日ワシントンDCでの労働者の100万人デモにつながっていきます。この詩は、そのデモのでのロザリオさんの想いを綴ったものだそうです。

 何か、いまの日本のことを語っているようでもあります。胸を打つうつではないでしょうか。曲は、ここで聞くことができます。

 この祭典のHPはここです。

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ささやかれる「文藝春秋の麻生論文は曽我豪朝日新聞編集委員が書いた?」

 麻生さんをめぐってはいろいろなウサワがまことしやかに広がる。

 10月の後半には、『文藝春秋』11月号「強い日本を! 私の国家再建計画」――そう国会の冒頭解散計画を書いた論文が、曽我豪朝日新聞編集委員が書いたという噂が広がったという。
 まず、上杉隆が、これは本人が書いたのではないのではないかと推測した。続いて、週刊文春が例のホテルのバーなどでの夜遊びに、曽我豪朝日新聞編集委員が合流することもあると書いた。同じ頃、「週刊新潮」が「永田町に流れる文春『麻生論文』の筆者は『朝日編集委員』の噂」。

 追い打ちをかけるように、またまた上杉氏が『新潮45』で、「『麻生総理と朝日新聞編集委員』のただならぬ関係」というものを書いている。まだ、読んでいないのでどれだけ信憑性があるのかよく分からない。

 ただ、メディアも落ちたものだというが1点。もちろん、これまでも、首相の知恵袋として、一体的な行動をとる新聞記者は多数存在した。
 もう1つは、一体的であるにもかかわらず、首相のほうが、政治のなりようとしてはいかがかと思う、解散をぶちあげるような内容の、論文の発表に、事実上制御することができない事態をつくりだしているということ。政治家としての指導力そのものが問われるということか。
 3つめには、よくも解散という、「国民に信を問う」という行為が、よくもこう軽んじ、もてあそばれたものだと思う。

 麻生さんにはよく説明してもらいたいものだが、いずれにしても、首相の指導力そのものが問われ、求心力が落ちていくような事態が続くことは間違いないのだろうと思うが。

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2008/11/18

官僚批判について、あれこれ、考えたりする

 なかなかショッキングな事件がおこる。元厚生事務次官ないしその家族が連続して刺されたという事件だ。

都内で元厚生次官妻刺される=重傷、自宅に刃物男-埼玉事件と関連捜査・警視庁(時事通信)

 東京都中野区の元厚生事務次官吉原健二さん(76)宅で18日夜、妻靖子さん(72)が男に刺される事件があった。板橋区内の病院に運ばれたが、重傷を負った。警視庁など警察当局は、さいたま市で起きた元厚生事務次官夫婦殺害事件との関連を調べるとともに、連続テロの可能性も視野に捜査している。…

 この事件の背景などはまったくわからない。が、昨今は、厚生労働省は、年金問題をはじめ何かと恨まれている。そんなことの関係しているのだろうか。

 で、少し、官僚批判という問題について考えてみた。
 官僚批判ということはいつから議論されはじめたのだろうか。戦前の国家体制を議論するとき、当然出てくる問題である。それが、戦後の社会でも温存されたわけだけれど、これは、単純な温存ではない。戦前の高級官僚は、文字通り天皇制のもとでの官僚であった。が、戦後は、その天皇制が実質的には解体されていくことになったはず。戦後、彼らは、政治家が公職追放されたときに、政界に進出し、保守政党の担い手となる。いわゆる吉田学校である。ここで、戦前の天皇の官僚から、政官財の癒着のもとでの官僚制が形成される。これは、前史。

 この官僚制が、言うまでもなく、日本の開発型政治とでも言えばいいのか、利益誘導型の政治の担い手となる。この政治体制のゆきづまりから現在の官僚批判が生まれるということであろう。
 ならば、官僚批判の文脈には、戦前からの遺産を解体する民主化という批判が存在するはずだし、利益誘導政治を批判する文脈も存在するはずでもある。

 ところがいまの官僚批判というものは、なかなか単純ではない。これは、批判の言説でも、実際の国民の意識のうえでもそうなのだろうけれども、官僚批判は、どういうわけか、官僚組織のムダからはじまって「小さな政府」論に行き着く。結局、新自由主義的な改革志向にむすびついている。
 たぶん、こんな議論は80年代ごろからはじまったのだろうが、小沢の登場から、細川、橋本などに流れていく議論は、これが貴重となっているのだろうか。それが、小泉改革で頂点に達する。そして、自民党では現在、中川(秀直)や渡辺よしみあたりがそのことを主張し、小泉改革を批判しているはずの民主党の主張もこの点では同じである。

 では、こうした議論の何が欠落しているのか。
 いうまでもなく、政官財の癒着へメスを入れようとしないことだろう。それは「国民が主人公」の政治のあり方を問いかけている。つまり、国民が国家機構をどうコントロールするかという問題を含んでいる。官僚機構が、内包しているある種の国家機構としての専門性というものも洗い流し、ただ縮小へと向かうことは、国家の解体ということ以外何者でもなくなってしまう。ただ単純に公務員を○○人減らせという議論は、かなり危ういものをうちに孕んでいる。
 官僚批判という、本来、民主的な要素をもつ議論が、そういう危うさを乗り越えていくのには、やっぱり、どんな国、どんな政治をつくることが大事なのか、だれがそんな国や政治をになっていくのかという議論が必要だということなんだろうな、などと、少しおおざっぱな、つまらないことを考えたりした。
 やっぱり、ちゃんと、歴史をふり返りながらの勉強が必要かな。

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血みどろの政局に突入か?

 昨日(もう一昨日か)、一昨日と、新聞の政治記者さんと国会の秘書さんと、今後の政治の動きなど、意見交換をする機会などもあった。ところかどっこい、事態はまたまた今日になって、急変する。20日に新テロ特措法などの延長を決めることに同意していた民主党が、第二次補正を今国会に出さないと、審議を拒否すると言いだした。今日は、急遽、麻生・小沢会談まで開かれた。明日は、民主党は国会を欠席するそうだ。したがって、参議院はとまるという状況になりそうだ。はたして、国会の会期は延長されることになるのだろうか。自民も民主も、どちらも大義のない、血みどろの政局劇が展開されるのだろうか。

 ここにきて、さらに麻生内閣の支持率は下がり、30%を切る調査まで出ている。自民党のなかからは、すでに公然と倒閣の声まで出ている。麻生が圧倒的な支持で総裁に選ばれてまだ2カ月である。
 問題の根源は、自民党が打つ手のない状態に陥っていることにある。それは、たとえば、先の金融サミットでおこなった「危機の克服 麻生太郎の提案」という文書などを見てもよくわかる。

 「1. 短期的な金融市場安定化策」などは、結局、日本は、とにかく国民を犠牲にしても金融機関を守ることをやってきましたと言っているだけにすぎない。「不良債権の処理」や「流動性供給」が、経済の病根をなくすことにどれだけ役だったのかなどは、何も証明されていない。銀行にとにかく当面の短期のお金が確保されるようにしたということにほかならない。

 では「2. 中期的な金融危機防止策」はどうなのか。ここでは、アジアなどの国のIMFなどの国際機関の改革への要望にほとんど耳をかさない。いまある体制をどう維持するかと言っていることにすぎないだろう。そして、「3. 長期的な通貨体制」は、ひたすら、アメリカへの追随を表明していると言えるだろう。

 今度の金融危機をとおして議論がはじまろうとしている、新しい世界の方向などにまったく無関心としか言いようがない。

 さて、そんな行き詰まりに、どんな対案を民主党は出すのだろうか。政局に持ち込むというのは、長期的にみて、この党にとってプラスになるとはどうしても思えない。

 個人的なことで、かなり心にダメージをおった一日。身体もちょっとしんどいです。
 
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2008/11/17

微笑と虐待~証言 アブグレイブ刑務所事件~

 NHKスペシャルが、記憶に生々しいこの事件を取り扱った。

081117_c 2003年にイラクで起きたアブグレイブ刑務所虐待事件。兵士たちが笑顔でイラク人収容者を虐待している様子を写した写真は世界を驚愕させた。事件発覚後に行われた軍法会議では、虐待・拷問は兵士たちの自由意志で行われたと認定。写真に映っていた、もしくは撮影した7人は全員が有罪、降格の上、軍を放逐された。しかし、虐待を命令したとされる軍上層部は罪に問われなかった。アブグレイブ刑務所がいつからどのようにして虐待の舞台になっていったのか、なぜ兵士たちは満面の笑みを浮かべて虐待・拷問に加わったのか、番組では、虐待をした女性の元上等兵、虐待写真を内部告発した元憲兵、そして刑務所の最高責任者だった元准将から生々しい証言を得ることに成功した。彼らの証言から浮かび上がってきたのは、アメリカがイラクの民主化という「善意」とテロとの戦いという「理想」を掲げる一方で、密かに進行していたアメリカ軍の狂気そのものだった。新たに得られた3人の証言や記録をもとに、アブグレイブ刑務所虐待事件の知られざる真相に迫る。

 兵士たちは、堤さんの本のとおり、貧困から抜け出そうとイラクにやってきた。任務に忠実な彼らに、上層部は、本人たちが予定していた帰還ではなく、捕虜収容所での捕虜の管理を命じた。そして、テロとのたたかいをすすめるため、捕虜から情報をえるための、新しい拷問の形を、民間軍事会社なども動員し、つくりだす。そのなかで、おこったのがこの事件というわけである。
 もと司令官の准将の最後の言葉が痛烈である。虐待をした彼らは許すことはできないが、結局、彼らは、責任を押しつけられたと。

 アメリカの対テロ戦争の1つの本質的側面をたしかにうきぼりにしている。

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2008/11/16

岐路に立つ「高校入試」制度をどうする!

 昼に森先生の講演を聞いた後、少し、知り合いとお茶して、その後、やや遅れて、全進研の表題の学習会に行って来た。とくに、「推薦入試をどう考えるか」ということがテーマである。めまぐるしく、高校の入試制度は変わる。ボクの住む県も、息子の時代(長男と二男ではまた違う)から、さらに変わろうとしている。この間、一つ、表れているのが、「推薦入試」の縮小というか、学力テストをうけない合格をなくしていこうという傾向だそうだ。それはそれで、どう考えるのかは難しい。
 たまたま、参加者に現役の大学生がいた。中学時代に、不登校を経験した彼は、推薦入試のメリットも言う。「中学時代の受験学力の優劣だけで進路が決められるのはつらい」と。

 なるほどと、思う。ボクら自身の発想にも、学力競争というものがあまりにも、内面化されているということに気づかされる。

 かつて、文部省も、高校入試をなくすことを考えていた、民主的な教育運動もそのことを掲げ、財界の一部からもそんな提案がなされた時期もあった。いまは、それほど、高校入試という問題が焦点かされることはないが、一方で、ここにおける学力競争の強まりは、著しい。
 それが社会のありようのあからさまな反映であるということもできるだけに、この問題が投げかけている問題は、あまりにも大きいと思うのだけれど。

 そのこととかかわって個人的には、先日の、塾や教育産業とのかかわりも考えたいと思った。不可分な問題であろう。

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雇用、福祉、生活のあり方と日本国憲法

20081110 昨日は、午前中に、インタビューの原稿を一本仕上げて、午後から、法学館憲法研究所が主催した、講演会に行って来た。講師の森先生は、私の憲法のお師匠さんみたいなものでしょうか。
 テーマは、「雇用、福祉、生活のあり方と日本国憲法」。あたまで、いつものように親父ギャグを連発して、つかみにする。前半は、憲法25条に流れ込んできた近代社会において形成されきた思想とは何なのかという問題。実は、生存権は、その制定過程から見ると「生活権」ということだそうだ。英文のLIFEという言葉に何が込められてきたのか。人間が人間としての尊厳を保持して生きるということにほかならない。私たちの生存権ということへの理解はあまりにも狭い。
 一方で、その生活権どころか、生命そのものを脅かす、いまの日本での新自由主義「改革」についてどう考えるのかが後半。
 対抗的共同の一つのポイントとして、軍事費をあげる。

 今日のお昼の先生と、少し話をして、いろいろ来年の仕事の構想をすすめる。
 そうとう、よく勉強しないと、だいぶ社会科学についての勉強はおくれてしまっているなあ、ちょっといけないなあとつくづくと感じた2日間でした。

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社会科学をどう再建するのか

 なんやかんや言いながら、昨夜は日本酒が中心だったので、二日酔い(苦笑)。朝は、いろいろあって、少し遅れて、取材へ。今日は、ある法学系の学会の「改憲論批判と民主主義法学」と題するシンポジウムを聞きに行ってきた。さすが、学会の議論である、かなり難しい。
 おおざっぱに言えば、政治や社会の根本を変えていくような改憲の攻撃がなされているもとで、はたして民主主義というものにたいしての議論は、それに有効に対抗できるようなものになっているのかというようなもの。9条の改憲動向にかかわっての社会改造の問題(たとえば刑法の問題)や、現在の改憲のねらいとしての新自由主義の問題。民主主義をめぐってどんな議論があるのか。対抗的な民主主義論の要はどこにあるのか、など、いろいろな議論があり、難しかったけれど、刺激にはなった。これまで読んだ本の理解の不十分さなどもほとほと感じたし、まだ読んでない本について、読んでみたいなあなど、刺激も多かった。ここんところ、憲法や政治学の骨太の議論をあまり読んでいなかったので、いっそうそう思った次第。――

 湯浅誠氏が、『「生きづらさ」の臨界』のなかで、大学における社会科学の衰退の問題をとりあげている。湯浅さんの問題意識とは違うのかもしれないけれど、対抗的な役割をはたすべき社会科学がなぜ、その力を発揮できていないのかということを、自分の仕事にもひきよせながら考えながら、このシンポを聞いていた。なぜ、「大きな物語」?を語れないのか? リベラルな立憲主義で対抗できるのか?と。このシンポでも方向は明確だな、その中身はまだまだ定かではない。

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2008/11/15

今日は

 午前中にインタビューの原稿を一本仕上げて、午後からは、取材。その中身は、明日にでも報告するとして、二つ取材の梯子をして、その勢いで飲み会へ。うーん、明日も予定があるのに、理性が働かないのは、誘った人と同じか。まあ、楽しかったから、よしとして。

子育て・教育の市場化と格差

 雑誌『教育』(教育科学研究会)が、表題の特集を11月号で組んでいる。
内容は

4910030151183・子育て・教育の私事化は何をもたらしているか  …汐見 稔幸
・子どもの人間性の発達を歪める「教育の市場化」 ―東京都杉並区の教育「改革」から―  …木附 千晶
・生徒・学校教育をとりまく教育産業の現在 ―「教育の商品化」の新しい地平―  …石井 将
・現代の育児雑誌と家族の教育戦略 ―「戦後家族モデル」崩壊の後に―  …松田 洋介
・定時制高校生の生活をとおして考える  …鈴木 敏則
・<座談会> 塾・教育産業の学校介入・浸透の現在  …菅間 正道ほか
・<関西発・母たちの座談会> 悩みに揺れながらの子育てを語る   …大河 未来・小川 嘉憲・小川 碧・片岡 洋子と五人の母親

 学校と教育に、企業の論理だけではなく、企業そのものが入り込んでいる現状が確認できる。なぜ公的領域が教育という世界から撤退し、企業が入り込むのだろうか。もちろん、汐見先生が指摘するように、日本は公的な教育費支出が極端にすくないという事情がある。一方で、家庭による教育費の負担が高い。そして、教育において、競争というものが過度に取り込んできたことがそのことを容認する背景となっている。

 しかし、教育産業の学校への進出は、驚くべきものがある。その形態もすさまじい。実態的には、学校段階の教育において、こういった内容は実物をよんでいただくとして、教育そのものが、こういったことを内面化していることをどう考えればいいのだろうか。
 本来の、教育のありよう、子どもと教師による自由な活動を回復するには何が必要なのか、そんなことを考えながら読んだ特集だった。

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2008/11/14

日本の教育を考える10人委員会が教員アンケート調査

 1週間ほど前、日本の教育を考える10人委員会が教員アンケート調査を公表している。昨日、各紙が報道していたようだ。

学テ「必要ない」7割 小中教員アンケート(共同通信)

 全国学力テストについて、公立小中学校教員の約7割が「必要ない」と考えていることが13日、大学教授や教育関係者でつくる「日本の教育を考える10人委員会」(委員長・佐和隆光立命館大教授)の調査で分かった。…

 現物は、これ。
 なかなか興味深い結果が多い。

①教員の勤務状況、環境について
・臨時的任用教員や非常勤講師など常勤の正規職員以外の教員数が学校内教員の2割を超えているという回答が全体の22%にのぼる!
・教員が負担と感じるのは、「教員評価・学校評価」、「保護者・PTAの対応」、「会議」など、授業以外の業務である!

②近年の教育政策について
・「全国学力・学習実態調査」については、「サンプル調査で十分」、「必要ない」という意見をあわせると、73%にのぼる!

③教員人事について
・全体の73%が「教員免許更新制は必要ない」と考えている!
・昇任や異動について、「コネ」や「情実」が影響していると感じているのは全体の約6割にものぼる!

④教育現場における問題について
・全体の84%の教員が、「保護者からの過度の要求への対応」に負担を感じている!

⑤児童・生徒の家庭について
・全体の92%が「経済格差が拡大している」と感じており、そのほとんどが「経済格差が学力格差につながっている」と感じている!

⑥教員を続けることについて
・「教員を辞めたいと思ったことがある」のは、全体の6割を超える!

 これは結構、現場の実感に近いものがあるのではないか。
 議論するべき豊富な指摘があるようにも思える。

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トヨタとは何様だ!?

 小泉改革のよき同志だったトヨタの奥田さんが、小泉改革が生んださまざまな問題――特に社会保障や医療、雇用の分野で生じている問題をあつかっているテレビなどの報道にかみついた。

<厚労省たたき>トヨタ相談役の奥田氏がマスコミ批判(毎日新聞)

 政府の「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」座長の奥田碩・トヨタ自動車相談役は12日、首相官邸で開かれた同懇談会の席上、テレビの年金報道などについて「厚労省たたきは異常な話。マスコミに報復してやろうか(と思う)。スポンサーを降りるとか」などと発言した。
 出席者によると、奥田氏は「新聞もそうだが、テレビの厚労省たたきは特に(異常)」と述べたという。そうした番組のスポンサーは、地方の中小企業が多いとも語ったが、他の委員から「スポンサーを降りるというのは言い過ぎ」と指摘された。

 マスコミなど、自分の力で動かしてみせるというつもりなのか。企業としての社会的な責任もなにも考えない企業であることを、赤裸々に告白している。だからこそ、脱法的、違法な、非正規雇用の使い方をしたり平気でできるのだろう。
 トヨタという企業には、とことん社会的な批判を集中させるべきだとつくずく思う。マス・メディアは、この課題をはたしてになうことができるだろうか。

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2008/11/13

田母神問題の深層

 参考人質疑の際の彼の、完全にたがの外れた発言はすさまじかったけれど、その後も驚くような事実が明らかになっている。田母神氏は以前より、こうした主張をかなり公言していただけでなく、自衛隊のなかで、公的にそうした考え方を、自衛隊自身の考え方にしようとするシステムまでつくろうとしていたということか。

侵略戦争肯定を主張「つくる会」幹部招く 自衛隊幕僚学校 田母神氏新設の講座(しんぶん赤旗)

 幹部自衛官を教育する自衛隊統合幕僚学校(東京都目黒区)で、侵略戦争美化の歴史教科書づくりをすすめる「新しい歴史教科書をつくる会」の福地惇副会長(当時は理事)が講義していたことが十日、分かりました。…

2008111203_01_0c侵略美化 組織ぐるみ 前空幕長招致 井上議員の追及 参院外防委(しんぶん赤旗)

 日本共産党の井上哲士議員の参院外交防衛委員会(十一日)の追及は、田母神俊雄前空幕長が個人的に「論文」を発表しただけでなく、侵略戦争美化、憲法破壊の特異な見解を職務権限を使って徹底していたという、自衛隊の組織的・構造的な問題を浮き彫りにしました。…

 その福地惇氏の防衛庁・統合幕僚学校・高級幹部課程における講義題目「歴史観・国家観」の講義案が西尾幹二氏のブログに掲載されている。これもまたおどろきの内容。福地氏は、冒頭、はっきりと

 本講義の目的は、第一に「昭和の戦争」は「東京裁判」の起訴状と判決に言うような侵略戦争では全くはなく、自存自衛」のための止む終えない受身の戦争だったこと、第二にそれが了解出来れば、現憲法体制は論理的に廃絶しなくてはならない虚偽の体制であると断言できることを論ずることであります。「昭和の戦争」の本質を語ることで、現在の国家の指導者は勿論、国民大多数が持つ「歴史観・国家観」が、その国家・国民の命運を大きく左右する程に重要であることを主張したいと思います。

 とのべる。 国防軍の建設をめざし、軍人としての地位の向上をめざす自衛隊のなかでの動きが、政治の側の自衛隊の「軍」化、近代化の動きとあいまって、暴走をはじめているということなのだろうか。そのときに、中軸となるのが、「靖国」派の流れと、あきらかに旧軍の流れというところがなんともはや、異様な姿でもある

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2008/11/12

I Have a Dream〜キング牧師のアメリカ市民革命〜

 NHKの「その時歴史が動いた」で、こんな番組をおこなっていた。キング牧師のこの演説は、英語の教科書で必ず引用されるものだ。

 バラク・オバマ次期大統領は、大統領選中の1月20日、キング牧師が勤めていたジョージア州アトランタのエベネザー・バプテスト教会での演説でキング牧師の言葉を引用。“Unity is the great need of the hour” is what King said. Unity is how we shall overcome.とのべた。

 番組は、差別に立ち上がり、公民権の獲得に向かう経過を紹介する。が、その後もなお、差別は続いた。そして、45年後の来年、いよいよはじめての黒人大統領が誕生することになる。その歴史の流れに思いをはせる。歴史は進歩するということを感じさせる。

 キングの言葉は、公民権運動の言葉から、世界の言葉になった。

 そして歌われたのがWe shall overcome

We shall overcome
We shall overcome
We shall overcome some day

 ボクはやっぱり、ジョーン・バエズの世代かな???

 さて、バラクは、はたしてキング牧師の後継者としての仕事をなしえるのだろうか? 現在のアメリカの行方も注目される。

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保育所が倒産? オーストラリアでおこっている驚くべきこと

 オーストラリアに現在留学中の、ある研究者のブログをのぞいてみたら、かの地でおこっている驚くべきできごとに出くわした。保育所が倒産?ということが先週末くらいから,オーストラリア社会を賑わしているというのだ。その問題の会社はABC Learningで、国内とNZに1200以上の保育所(チャイルド・センターとか,チャイルドケア・センターとか名称はいろいろ)を運営していて,約10万人の子どもを預かっているというのだ。オーストラリアの保育所の4分の1にあたるという。手広く世界展開をしていて、アメリカやイギリスなどにも進出しているという。ここの社長は、長者番付の上位にも顔をだすようになった、いわゆるベンチャーの雄みたいな存在だ。そこが、世界的な株価の下落で破綻したというのだ。

 オーストラリアのことはよく知らないけれど、おそらくハワード時代の新自由主義的な政策の展開のなかで、こうした株式会社にとる保育所の運営も広がったと言うことなのだろうか???(保護者に支給されていたチャイルド・ケアの補助金が、保育所運営者に支給されるように制度変更が行われたということなんだけど、もう1つ制度がよく分からない。ご存じの方、教えてください)

 連邦政府は、今年度いっぱいの保育所の運営継続を「保証」する措置をとることを表明したそうだが、はたして来年度以降維持できるのかどうかはまったくの未知数だという。閉鎖に追い込まれるところも出てくるところもでてくるにちがいない。

 少なくともハワード時代に、保育というものを市場に委ねるような政策がすすめられたようだ。日本でも民間委託が急速にすすんでいる。その民間委託とは、「福祉法人」だけではなく、株式会社など市場に委ねるような形で。保育という子どもの成長に直接責任を負うものは、市場になじむとは思えない。こうした事業を、市場に単純に委ねてしまっては、何が起こるのかをこの事件は教えているようにも思う。
 日本でも、現在の方向を、よく検討する必要が求められているように思うのだが。

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「生きづらさ」の臨界  "溜め"のある社会へ

32158598  湯浅誠と河添誠のW誠が本田由紀、中西新太郎、後藤道夫と鼎談してつくられたのが本書。面白かったです。本当はね、気に入った論点など、土佐のなんとかさん見たいに備忘録をつくって、アップしておくといいだろうけれど、それよりも読むべきものがたくさんある。

 本田先生とのそれは、やや分野も接近の角度もちがう人だけに、緊張感も意外性もあって読み応えがある。読んでうなったのは、2番目の鼎談の中西さんの発言と、3番目の鼎談の湯浅さんの問題提起。中西さんは、自己責任論の構造と果たす役割みたいなものが、解き明かされる。ヨーロッパの個人主義はフィクションで、社会の紐帯は存在する。日本は新自由主義のもとで徹底的に個別化され、孤立している。その指摘に、ならば日本では主体的な連帯の形成しかない。そういう新しい時代に生きているということ、そのことにかかわっていると思うだけで、ワクワクするなあ。湯浅さんの、個別のケアと社会構造の変革へのアクセスとの関係というのは、とても重い実践課題で、今日の福祉ネットワークを見て感じたことにもつながる。後藤さんの受け答えも、なるほどと思った次第。

 まず若者と向き合うときにまず最初にあるべき視点とはどういうものか。若者を主体としてどう連帯していくのか。いろいろ考えさせてくれる一冊である。

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2008/11/11

チャベス政権 光と影~21世紀社会主義の行方~

081111_a_01 こちらの昨日に続いて、BS世界のドキュメンタリー。ベネズエラもなかなか日本で報道されることはないし、報道されても、反米の闘士というような話ばかりなので、よくわからないものが多いだけに、期待したけれど、やや表面的な印象をもった。

 番組は、「就任以来、石油を国有化し、社会主義政策を掲げて富の公平な分配を唱えるチャベス大統領。低所得者層も医療や教育を受けられるようになり、協同組合型の工場が各地にできた。しかし、その一方で貧困はなくならず、治安も悪化。社会主義政策で物価は下がったが、品不足で肉類や牛乳、砂糖は庶民の口には入らない」とする。それでも貧困層の間では、圧倒的にチャベス支持が多い。番組が強調する治安の悪化は、はたしてチェベス政権の責任に属するのかどうかもよくわからない。ここで掘り下げが足りないなあと思ったのは、国民がチェベスの改革になぜ支持をよせたのかの問題。アメリカやIMF・世界銀行が押しつけた、新自由主義改革が南米に何をもたらしたのかということについて言及がないことだ。
 さらに番組は、チャベスの影の面として、「そんな中、3選を果たした直後の2007年、チャベスは大統領の権限強化や任期延長などを盛り込んだ憲法改正のための国民投票を実施すると発表。独裁色を強めるチャベス政権への不満や犯罪率の上昇から、国内に住むヨーロッパ系住民の富裕層は、海外に移り住むことを選択し、大使館前にはビザを求め、連日、長蛇の列ができる。さらに、チャベス政権に批判的なテレビ局の放送免許更新を認めず、空いたチャンネルを国営放送に割り当てたことをきっかけに、学生たちが立ち上がり、大規模なデモに発展。チャベスの政策は大多数の国民の貧困の問題を解決できていないと主張する」
 たしかに、国民投票は僅差で否決された。が、その結果は、むしろ反対が増えたのではなく、これまで、チャベスを支持してきた層が危険に回った結果というものだったと記憶している(間違ってないですよね)。支持者が、反対にはまわらなかったが、支持もできなかったということなのだと思う。ここに何があるのか。いまなお実際には高い支持をえているチャベスの政策=21世紀の社会主義には、どんな特徴があり、共感もあるのか、一方で、その路線に、どのような問題や欠陥があり、どんな不安があるのか。直感的には、社会主義建設をすすめていくうえでの、強力な国民のとりくみの母体、主体をもたないことなどがあげられ、それがやや観念的とも言える急進主義的な面をつくっているのだろうけれども。こうしたチャベス政権の影の部分のとらえ方も、表面的で、ちょっとがっかりであった。

 まあ、つくり手の側にも、明確な基軸みたおなものがないのだろうなあ。社会の変化を捉えるというのは、たしかに難しい。

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傷ついた子どもを支える――自立への長い道のり

 昨日に引き続いて、NHKの福祉ネットワークを見た。今日は、二男にビデオをとってもらって家でみた。

 親からの虐待や養育放棄のため児童養護施設で暮らしてきた子どもたちが、自立への第一歩を踏み出そうとするとき、大きな壁が立ちはだかる。
 児童養護施設に入所できるのは原則18歳まで。高校を中退した場合にはもっと若くても、退所を促されることも多い。
 保護されるべき親もなく、10代後半で自立を迫られる子どもたち。しかし虐待を受け、社会や大人に不信感を抱えた子どもの中には、悩みを人に相談できず孤立したり、職場で行き詰まって仕事を転々としたりする子も少なくない。
 施設を退所した子どもたちを誰がケアするのか。番組では、施設を出た子どもたちと共同生活を送る「自立援助ホーム」にカメラを据え、こうした子どもたちが直面する壁を見つめ、どういった支援が必要かを考えていく。

 もともと、日本の社会的養護の分野は、きわめて遅れた分野だ。そのうえ、さらにその社会的養護にいた若者たちが社会に出て、自立していくことへの支援はおどろくほど貧弱な制度しかない。社会自体が大きく変容し、ただでさえ若者の自立をめぐって不安定さを強いられる現代において、この実態はきわめて深刻な事態を生んでいる。その若者たちを必死で支える、自立援助ホームのとりくみ。若者たちの姿に正直涙がでた。
 こうした一人ひとりに寄り添う取り組みが、社会に問いかけている問題は何なのか。そのことをよくよくかんがえなければいけないと思った。

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2008/11/10

ブラジルが世界を変える~ルーラ大統領の挑戦~

081110_a_01 NHKのBS世界のドキュメンタリーで、<シリーズ 変わる南米> がはじまった。第一回目がこれ。ただ、扱っているのは、第一期目のルーラの外交に焦点をあわせたものなので、すでに知っている人は知っているような内容で、とりたてて目新しい論点があるわけではない。
 ただ、03年に選出された直後から、WTO世界貿易機構ドーハラウンドで、インド・中国・南アフリカなどのG20諸国形成をリードするなど、先進国中心の国際政治を大きく変革しようとする外交姿勢は、鮮やかにクローズアップされる。「豊かな国は補助金つきで農産物を貧しい国々に輸出するのをやめよ」――ここにその核心があるということか。
 アメリカ主導のFTAA・米州自由貿易地域構想を拒否し、EUをモデルにした南アメリカの地域連合樹立に向け、歩みを続けている点に注目した内容は、おもしろい。ルーラとチャベス大統領が2005年9月に開かれた第1回南アメリカ首脳会議の席上で戦わせた激論の中継録画など、貴重な資料映像の数々から構成されていた。

 ルーラは、14歳から学校に行かず働き始めたという下層階級の出身である。しかし労働組合委員長の経験から、団結の力を信じ、自らの信念の一方で、常におごらず、妥協案を用意した外交姿勢は、なかなか説得力もある。世界銀行主導の経済政策ではなく貧しい民衆のために国際政治を変革すべきだという点で、チャベスなど、急進的な政権との連帯を述べる。とりわけ、この南米の共同体への、現地の強い思いはよくわかった感じがした。

 日本では、南米の変化は、なかなか報道されない。それだけに、南米の変化の1つの顔の理解の深まる内容だったように思う。

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傷ついた子どもを支える――施設内虐待を防ぐために

 NHKの福祉ネットワークで、表題のような番組を編んでいた。番組HPには次のような紹介がある。

 虐待や養育不能など、親元で暮らせない子ども達、およそ3万人が共同生活を送る児童養護施設。全国に560か所ありそこで暮らす6割以上が虐待を受けた子どもだ。親から離れても安心して暮らすことができるはずのこの施設で、内部での虐待が相次いで報告されている。 施設の職員による体罰や性的虐待、子ども同士のいじめや暴力…。国には年間十数件の施設内虐待が報告されるが、研究者によればこの数は氷山の一角にすぎず、施設内部で公表されないまま処理されているケースが多数あるという。
 施設内虐待がうまれる背景には、何があるのか。防止するために何が必要なのか。施設内虐待の実態や虐待を克服する取り組みを始めた施設の取材から、探っていく。

 多くの養護施設が、子どもに向き合って努力している。が、後をたたない事件がある。その背景には、社会や子どもたちの変化に比して、戦前からの「孤児院」時代の大舎制といって、個々の子どもにていねいに向き合うのではなく、大人数の集団で子どもを管理するという基準で、運営されていることがある。こうしたもとで、職員の専門性をしっかり担保していくような制度的な裏付けもない。
 これだけ、社会的養護が、大きな要請になっているときに、こうした実態を放置していることそのものが、ネグレクトということが言えるのだと思う。

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2008/11/09

祝 埼玉西武ライオンズ 日本一!

 やってくれましたね! 西武ライオンズが日本一です。見事なたたかいでした。
 課題であった中継ぎに弱さは、短期決戦らしく先発陣を総動員することで補いましたね。今日の涌井もナイスピッチングでした。
 攻撃では、いつもの失敗をおそれない姿勢が生きましたね。第一戦のけん制死をもろともせず、片岡は走り続けたし、今日の1回の本塁憤死にもめげず、8回の見事な走塁! 中村だって思い切りよく振り続けたことが、8回の四球での得点に結びついたのですから。そういう若い選手の力を信じたナベQは、すごいです。正直言って、巨人には勝てないかなあと思っていたのです。だから、よけいに嬉しいです。

 なぜ、西武かって。昔ね、西武球場の近くに住んでいて、球場まで自転車で子どもを連れて、見に行っていましたから。

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こうして“核”は持ち込まれた~空母オリスカニの秘密~

 今日のNHKスペシャルです。

081109_c おととし(2006年)、米フロリダ州の沖合に退役した1隻の空母が沈められた。その名は、「オリスカニ」。朝鮮戦争からベトナム戦争までの27年間、第7艦隊の主力空母として日本を拠点に活動した。NHKが入手した米海軍の機密資料からは、この空母が日本に核兵器を持ち込み、その後日本を拠点に朝鮮半島やソ連に向けて核攻撃態勢を整えようとしていたことが明らかになった。当時、米ソの核開発競争が本格化する中、アメリカは日本をその“最前線の基地”として位置づけていたのだ。
 それに対し日本は、非核3原則を掲げながら、アメリカに核持ち込みの有無を確かめることはなかった。日本を核戦略の一部に取り込もうとするアメリカ。アメリカの巨大な核の傘に依存しようとする日本。両国の利害が一致し、より強固な同盟関係が築き上げられていったことが、関係者の取材から浮かびあがってきた。
 番組では、1隻の空母を軸に、アメリカの知られざる核戦略の実態と、日米両国の思惑に迫る。

 核兵器工場まで存在したオリスカニ。こうして、前線に核兵器を配備をすすめ、実際に使用する訓練までもおこなっていたアメリカ海軍。やがて、最前線のアメリカ海軍は核兵器だらけになったという。日本に、艦船に積載されているという形での持ち込まれていたことは、半ば周知の事実だった。岸の発言なども生々しい。
 夏目事務次官の発言からは、中曽根内閣で打ち出された三海峡封鎖というものが、アメリカの核戦略の補完的作戦だったことも明らかにされる。その前提にもアメリカによる核も持ち込みがあるというのも生々しい。こういう非核三原則の空洞化は、過去のことだとしてしまっていいのだろうか。その経緯は、アメリカにひたすら従属した日本の姿であり、それは現在にも連なる。

 さて、現在はどうなのだろうか。いっそう使える核兵器を追求したブッシュ時代。では、オバマのアメリカは何をめざしのか。日本は、アメリカの核にどう向き合うのだろうか。

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2008/11/08

雇用・能力開発機構の廃止に反対する共同アピール

雇用・能力開発機構の廃止に反対する共同アピール

乾彰夫 (東京都立大学・首都大学東京)、大串隆吉(東京都立大学・首都大学東京名誉教授)、太田政男(大東文化大学)、後藤道夫(都留文科大学)、田中萬年(職業能力開発総合大学校名誉教授)、田端博邦(東京大学名誉教授)、平沼高 (明治大学)、本田由紀(東京大学)

 2008年9月、行政減量・効率化有識者会議は雇用・能力開発機構の廃止を打ち出しました。
 日本では、厚生労働省が所管する雇用・能力開発機構と、地方自治体の二つの柱立てで、公的職業訓練を実施してきました。雇用・能力開発機構の廃止によってもたらされるのは、機構の中心的業務である訓練業務の大幅な縮小、そして公的職業訓練の基盤となる職業訓練指導員の養成・再研修機能や調査・研究機能の縮小・廃止であり、それは公的職業訓練の大幅な縮小へとつながるものです。
 公的職業訓練は、受講者にとって、専門学校を始めとする他の多くの職業教育機関とは異なり、経済的側面をはじめとしてさまざまな点でアクセスしやすいという性質を持っています。そのため、学校教育や民間の教育訓練機関に馴染めない・アクセスしにくい層の職業能力形成、さらには人間形成をも担っています。2006年度では、22.3万の人が雇用・能力開発機構の、また11.5万の人が都道府県の公的職業訓練を活用して、職業能力形成を遂げています。地方財政の逼迫によって、人と金を職業訓練に回すことがむずかしくなっている自治体もあるなかで、機構が果たしている役割は小さくなく、機構廃止は公的職業訓練全体にとって、大きな打撃になることはいうまでもありません。
 訓練業務以外でも、機構の担っている役割は重要です。とくに、今回廃止が打ち出されている職業能力開発総合大学校は、上記の職業訓練施設において指導にあたる職業訓練指導員の養成と再研修、また職業訓練についての調査・研究を行う機関であり、公的職業訓練の基盤を支え、そしてさらには今後の職業能力開発の発展を支える役割を担っています。職業能力開発大学校の廃止は、公的職業訓練の基盤を大きく掘り崩すものに他なりません。
 機構の廃止方針は、行政改革の流れの中から打ち出されてきたものであり、いわば、廃止先にありきで決定された方針です。機構が本来、職業能力開発のための機関であることを十分に踏まえて、打ち出されたものではありません。もちろん、多くの論者が指摘しているように、機構の事業の中には、ハコモノ建設や労働者財産形成事業の促進など、改廃すべき事業が含まれています。機構の本来的改革は当然、行わなければなりません。しかし、機構のなかに改廃すべき事業があるからといって、機構そのものを廃止して、公的職業訓練の後退を招くことは、きわめて危険です。機構改革は、維持・拡充すべき事業と改廃すべき事業の腑分けをより慎重に行いつつ、廃止を前提にしない改革を追求する必要があります。
 周知のように、近年では若年雇用を中心とした不安定雇用とその長期化が問題となっています。こうしたなかで、若者や失業者等の職業能力形成の機会を公的に保障・拡充することこそが、政策として求められています。また、今後の「ものづくり」を中心としたさまざまな職業を支えていくという点でも、公的職業訓練の意義は大きいといえます。行政減量・効率化有識者会議がもくろむ雇用・能力開発機構の廃止は、現在高まる公的職業訓練の社会的必要性に、逆行するものに他なりません。
 私たちは、以上のような理由から、雇用・能力開発機構の廃止に反対します。

公的職業訓練を守る会のHPはここ。

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非正社員が4割弱に、派遣労働者が急増 厚労省の就業調査

 今日は、5時に起きて、一仕事。午前中は、職場で。10月初旬に取材したインタビューの処理をはじめる。
 午後には、もう1つインタビュー。なかなか深まった2時間。

非正社員が4割弱に、派遣労働者が急増 厚労省の就業調査(日経新聞)

 厚生労働省が7日発表した就業形態についての実態調査によると、労働者に占める非正社員の割合は37.8%となり、前回調査(2003年)から3.2ポイント上昇した。企業が柔軟な雇用を目指した結果だが、働く意欲を高めるための賃金制度見直しなど課題も多い。
 非正社員とは契約社員や派遣労働者、パートタイム労働者など正社員以外の労働者を指す。03年との比較では、派遣労働者の比率が4.7%と2倍超に増えた。製造業や金融・保険業で活用が目立つ。
 非正社員を活用する理由を事業主に複数回答で聞いたところ、「賃金の節約」が40.8%でトップ。続いて「1日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」31.8%、「即戦力・能力のある人材を確保するため」25.9%の順となった。

 昨日のエントリーのコメントで、叉葉賢さんの「また、派遣」が紹介されている。
 これはこれで、なかなか、ついている。

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2008/11/07

非正規の首切りを許さない大運動が必要だ!

 トヨタなどの、減益がメディアで報じられている。問題なのは、そのことを口実に、大規模は派遣労働者の首切りがすすめられようとしていることだ。強い憤りを感じる。

酷使して大もうけなのに大企業が「派遣切り」 マツダ・日産・キヤノン… 各地で強行(しんぶん赤旗)

2008110701_01_0 「派遣切り」と呼ばれる派遣労働者らの雇い止め(解雇)が大企業を中心に広がっています。派遣労働者らを使って空前の大もうけをあげながら、減益になると真っ先に切り捨てるやり方に対して、「労働者の使い捨ては許されない。社会的責任を果たせ」との声が上がっています。…

 たしかに、金融破綻の影響をうけて、アメリカでの販売が落ち、減益という事実はある。それでもトヨタ自動車は連結で6000億円の営業利益を見込むなど大もうけぶりは変わらない。キヤノンの関係者は、「雇用は派遣や請負会社の問題」とまで言い切っている。生産を縮小する以上、大儲けがあっても、派遣という「もの」がいらないということなのだろうか。あくまで、人を人として扱わないということなのか。
 こんな企業が世界で通用するほうがおかしい。これらの企業への厳しい社会の目こそがいま求められているのだと思うのだが。

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今年の「年次改革要望書」はフジテレビが大特集

 さて、この時期に毎年話題になる「年次改革要望書」。ことしは、フジテレビが大々的にとりあげたことで大きな話題になっている。
 正式には「日米規制改革及び競争政策イニシアティブに基づく要望書」は、「構造改革」のまさに原型となってきたものだが、これを「米国の国益あるいは米企業の利益だけが優先されたもの」と、特集で明らかにしたのだ。

 なぜ、今頃、フジテレビが、これを取り上げたのか。いまの政権が、これまでのような直線的な「構造改革」には、距離をとり、一定の修正をはかろうとしていることの反映なのだろうか? たしかに「要望書」は、日本の現実からはかけはなれた、色あせたものに見えなくはない。

 現物はここにある
 内容は相変わらずである。ただ、修正が図られるとしても、いまの政権のもとでは、迂回したルートで、規制緩和はすすめられると見た方がいい。それを変えるには、政治の流れを本格的に変えなければならないと言うことだろうと思うが。

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筑紫哲也さん死す

 今日は、いつもより腰が痛い。仕事は、遅く出勤して、夕方には、帰宅した。
 実は、今日は○○歳の誕生日。それで、帰省中の長男が、夕食をつくってくれた。
 8時に家につくと、正直、かなり楽である。気持ちにもゆとりが出る。いつもは、11時ごろだからねえ。

 さて、今日、ニュースキャスターの筑紫さんがなくなった。とくに、好きだったわけではない。いろいろ言いたいこともあった。が、彼がメインキャスターをしていたころの「NEWS23」は、いつも見ていた。やはり、キャスターが変わってから、この番組もずいぶん平凡になった。
 そう言えば、若い頃、彼が編集長の「朝日ジャーナル」なども読んでいた。
 テレビというものの、いろいろな可能性と課題や限界をいつも考えさせてくれたようにも思う。
 一つの時代が終わったのだろうけれど、同時に、新しい時代がはじまったのだと思いたい。

 合掌。

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国民審査で、竹内行夫に×を! という運動のお話

 阪口弁護士のブログを読んでいたら、「国民審査で、竹内行夫に×を!」という記事にぶち当たった。イラク派兵に反対する弁護団の一員の人たちがよびかけている運動だそうだ。その1人の毛利弁護士が紹介しているよびかけは以下のとおり。

http://www1.ocn.ne.jp/~mourima/08.10.27takeuti.pdf

 10月21日,麻生内閣は竹内行夫元外務事務次官を最高裁裁判官に任命しました。竹内行夫は,インドネシア大使などを歴任後,2002年から2005年まで外務事務次官を務め人物です。小泉政権のイラク戦争支持やイラク派兵を進めた張本人で,イラク戦争支持の日本政府に抗議した天木直人元レバノン大使をクビにした張本人でもあります。
 そもそも,行政組織のトップだった人物が司法府のトップとなること自体,三権分立から問題があります(法律上は禁止規定はありませんが)。しかも,イラク派兵については,2008年4月17日,名古屋高等裁判所において違憲判決が下されており,政府は年末にもイラクから自衛隊を撤退させる方針です。竹内は,まさに,憲法違反と断罪されたイラク派兵を進めた行政のトップだった人物です。憲法違反の政策を行った張本人です。そのような人物を,政府が違憲立法審査権を有する,憲法の番人たる最高裁裁判官にすえる,ということは,政府による平和憲法に対する明らかな「挑戦」です。…

 たしかに、この最高裁判事の人事は、きわめて政治的だとしか思えない。

  「この×運動は公職選挙法の適用がないので、事前運動、個別訪問、文書配布(メールでの呼び掛け、HPの更新など)はすべてOK」だそうだ。
 私も、個人の資格で、こうした運動に注目していたいと思う。

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2008/11/06

教育に穴が空く~“非正規”教員 依存のひずみ~

Photo26552 さて、今日はインタビューの原稿をいったん決着をつけ、午後にはたまった実務にのりだす。それから、少し新聞記者さんに国会の様子を聞いたり…。
 夕食後、職場で、今日のクローズアップ現代を見た。

 いま全国の公教育の場で、教員が確保できずに授業に穴が空くという事態が相次いでいる。財政難に苦しむ多くの自治体では、ここ数年、教育予算を抑えるため、正規の教員数を削減し続けてきた。その一方、教育現場には、少人数学級など「きめ細かな教育」が求められている。そうした中、増えてきているのが、時間給の非常勤講師など、人件費が安い"非正規"教員。現在、その数は教師全体の少なくとも14%に上っている。しかし、"非正規"教員への依存度があまりにも高まったため、その確保ができない学校が出てきているのだ。 非正規教員に頼り続ける公教育の歪みに迫り、教師とは何か、教育とは何か、その原点を探る。

  「構造改革」の名の下ですすめられた、三位一体改革や公務員の定員削減のもとで、学校現場がどのような事態になっているのか。番組では44名の教員のうち10数人が非常勤という学校の実態が、報道されていた。また、先生が病気になって、欠員がうまらないまま、自習が続く中学校の実態も紹介されていた。もう、公立学校がその体をなさなくなっている。一方で、先生を希望する意欲のある若者も多いのだけれど。
 教員の増員については、文科省が、今年、教育振興基本計画の策定にあたって、中教審段階と、最終決定段階で、かなりこそくな手をつかって、そのことを主張したが、財務省にきっぱりと拒否された経過がある。そもそも、教育にお金を使うということを、もっと真剣に考え、行動するということが政治の仕事であるはずだ。

 さて、ここで気になるのは、民主党の態度である。民主党は、昨年、教員数拡充法案を衆議院に提出している。要な教職員の人材確保を目的に、行革推進法が壁となっている規定の削除を求めたもので、これそのものは、大きくは間違っているわけではないと言えるのかもしれない。が、なぜ気になるかと言えば、一方で民主党は、自身の経済対策案の財源として、国家公務員の2割削減で1・1兆円というものを掲げている。ここで対象になっているのはどうも国家公務員であるようだけれど、教員の同じように、国民生活を守るために、本来、より増員が必要な国家公務員についても、削減をうちだしていることになる。たとえば労働基準監督署の職員だとか、食品の輸入を管理する職員だとかそれにあたると言える。あきらかに矛盾する態度のようにも見えるが、どうなんだろうか。しかも、地方公務員の問題などについては、どうもはっきりした言明はない。どう考えているのだろうか? 聞きたいものである。

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近藤益雄のことなど

 少し前、長男と話をしていると、「日本にはすごい人がいたんだね。授業で聞いて感動した」といって、意外な人物の名前を出してきた。近藤益雄である。われわれにとって、障害児教育の先達であり、敬愛する清水寛先生が、いろいろなところで語っている。が、いまでは、そのことを知る文献などもなかなか手に入らないのが現状だ。

4903186458_s たまたま手元に、「子どもらと歩く子どもらと生きる」という本があったので、パラパラと読んでみた。戦争での過ちの後悔のうえにたった近藤の生き様は、やはりすさまじい。
 われわれは、日本社会の遅れや問題を指摘をする。しかし、同時に、この日本社会には、未来を開くようなすさまじいとりくみの積み重ねもある。それが、不十分で、限界や問題があったとしても、学ぶべきとりくみや人生は少なくない。にもかかわらず、たとえば教育の分野の、そうしたかつての教師たち、教育研究者たちのとりくみについて、語られなくなったのがいつごろだろうか。教育史や教師教育史などあまりはやらない分野になってしまった。
 ボク自身も、正直、大学生のころ以降は、必要に応じて、手に取る以外は、あまり考えてこなかったと気づかされる。
 舵取りの難しい、いまの時代だからこそ、もう1度、学び直す価値もあるのだろう。そんな反省の念をもった。

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一日の終わりに(苦笑)

 2日間、葬儀などとため、仕事がすすまなかった分、遅れを取り戻す1日です。インタビュー原稿を何とか3分の2ほどまで、追い込んでメドをつけて、帰宅は11時すぎ。今日は、つれ合いが夜勤ではあるが、長男が実習で帰ってきているので、子どもだけで大丈夫かなと。帰ってみると、ゴミの山(爆笑)。あと、昨日まで、実家に帰っていたための、選択ものの山の取り入れ。不器用なため、結局、この家事に、1時間半ほど時間がかかる。さすがに疲れる…。

 でもいちようブログで、今日のニュースのチェックの作業をしなくては一日が終わらないしね。
 今日は、まずはオバマが米次期大統領に選出されたこと。アメリカの光と影を見事に映し出す選挙結果でもある。圧倒的な勝利だっただけに、変化をもとめる、このアメリカの光の部分に大きく期待したというのが正直なところ。ちょうと、アメリカに住む、友人が日本に帰国している。地方をうろうろとしているけれど、東京に来たときに、アメリカのじかの話を聞きたいもの。

 今日(もう昨日)の大きなニュースはこれ。

守屋前次官に実刑判決、懲役2年6カ月 防衛汚職(朝日新聞)

 防衛装備品の調達をめぐる汚職事件で、収賄と議院証言法違反(偽証)の罪に問われた前防衛事務次官の守屋武昌被告(64)に対し、東京地裁の植村稔裁判長は5日、懲役2年6カ月、追徴金約1250万円(求刑懲役3年6カ月、追徴金約1250万円)の実刑判決を言い渡した。判決は起訴事実をすべて認め、「収賄の期間、回数、金額なども甚だ悪質で、防衛行政や国家公務員に対する国民の信頼を著しく傷つけた」として実刑が相当とした。前次官側は即日控訴した。…

 いろいろな人が、いろいろな論評をしているので、これ以上、付け加える必要がないとは思うけれど、防衛行政(こういう言葉があるのか)の存在意味そのものが問われるような事件が続いている。行政組織である限り、その公共性というものが問われるわけだけれど、いまのこの組織のありようは、とうてい「公共」というものに、縁遠い姿を露呈している。しかも、それが軍事組織であるわけだから。
 自衛隊については、いろいろな議論が存在するとしても、この組織の成り立ちが、私的な思考や私的な利害に満ちているということに無関心、無警戒であっては決していけないと思うのだけれど。

 あと、これは報道はされていないけれど、上脇先生のブログに、ちょっと注目するニュースがある。国連自由権規約委員会が、2008年10月31日、第5回日本政府報告書に対する「最終見解」を発表したといいます。そのなかに、立川反戦ビラ事件等の経緯を踏まえて、日本における表現の自由に関して、非常に厳しい勧告を行っているというのです。詳しくはここで。

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2008/11/04

世界金融危機

32142139 小室哲哉が逮捕された。バブルの時代の文化を象徴した人物でもあるのだろうけれど。ボク個人としては、そんなに嫌いではなかったけれどね、彼の曲は。よくカラオケでも受かったよねえ。その劇的な転落は、時代のどんな姿を映しだしていると言えるのだろうか。

 さて、この本は、現在のアメリカ発の経済危機について論じる。

 ボクは、いまの経済危機というものは、アメリカの問題、ヨーロッパの現状、そして日本とアジアが固有にかかえるものそれぞれをよく見つめるべきだと思っている。
 この本は、そのアメリカの問題を論じている。たしかにアメリカを覆った投機経済というものが、どのようにアメリカ経済を歪めるようになったのかはよくわかるし、面白い本だとは思う。ただ、さすがアジテーター金子の手によるものだけに、何かしらあおられているという感じで、どうも読後感はよいとは言えないが。圧倒的に投機経済かしたアメリカだが、農業なども含め相対的に優位をもつ産業もアメリカにはある。そういうアメリカの力のなかで、投機経済が支配するようになったアメリカの経済の危機の正確を、しっかりつかみたいものなのだけれど。
 さんざん、危機をあおったうえで、今後はわからないと言っているところがなんとも。

 日本の経済の問題は、そんなにたくさん論じられているわけではないけれど、少なくとも、アメリカのように基軸通貨としての特権をもたない日本は、アメリカ型の経済をすすんだことがいまの危機をつくりだし、日本の将来を暗くしている。それは同感。ここには、1つは、アメリカのもとで、長期のあいだにつくられた依存経済という構造と、2つに、構造改革の名ですすめられた、よりいっそうの依存化と金融化という2重の問題があるのではないのだろうか。などなど、あまり知識のないなかで、もっと学ぼうという刺激をうけたブックレットだった。

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25年度、消費税6%上げ 国民会議が最終報告

 少し時間があったので、実家でたっぷりと寝た。あいかわらず、少し長めに寝るとその後無性に身体がだるい。資料を読みながら、インタビューの整理を進める。
 ここからは、葬儀に出かける。葬儀後、そのまま焼き場には行かずに、東京に。
 昔は、新幹線などあまり苦痛ではなかったけれど、いまは、それだけで、かなり疲れる。加齢を実感するのだけれど。

 さて、

25年度、消費税6%上げ 国民会議が最終報告(共同通信)

 政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東大大学院教授)は4日、首相官邸で会合を開き、最終報告をまとめ麻生太郎首相に提出した。年金や医療、介護、少子化対策など社会保障機能を強化する必要性を訴え、消費税増税を念頭に、安定財源確保に向けた税制改正論議を求めた。
 年金、医療などを充実させた場合、新たに必要となる公費負担は消費税率換算で2025年度は6%、15年度は3・3-3・5%との試算も公表。税率引き上げ幅はそれぞれ6%と3-4%となる。
 首相は会合で「初めて具体的な数字が示され、重要な議論の土台づくりとなった」と述べた。政府は今後、経済財政諮問会議などで将来の社会保障制度の在り方や財源確保に向けた具体策を年内にまとめる方針だ。…

 最終報告の現物はここにある。

 政府・与党は、消費税にはかなり強気だ。ボクの消費税増税についての意見は、先日、すでに書いたので、くり返さないけれど。ここ10数年の歴史をふり返っても、消費税の増税のもとで、社会保障が、その本来の機能を失ってきた歴史がある。保険制度の空洞化というものが、その典型ではないのか。もっとも困難にある人たちが、保険制度から排除されるに至っている。

 報告書は、それなりに美しいことばに、飾られていないわけではない。しかし、それは、「自立」と「多様」というオブラートにつつまれたとも言える。宙にういた議論は、もうこりごりだ、どうすれば、何をどう変えれば、多くの人が幸せになれる、安心できる制度をつくることができるのか。そんな議論こそが必要だと思うのだ。

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2008/11/03

民主党とお金の問題。増子氏不問も痛手=マルチ問題再燃か

 親戚に不幸があって、急遽、関西方面へ。いちおう長男ですから(苦笑)。桜井市という、まだ古代の臭いがする街である。

 さて、

増子氏不問も痛手=マルチ問題再燃か-民主(時事通信)

 民主党の増子輝彦参院議員が業務停止命令を受けたマルチ商法業者の監査役を務めていたことについて、同党は増子氏が業務停止命令後に監査役を辞めたことで「けじめを付けている」(小沢一郎代表)として不問に付す考えだ。しかし、党所属議員と業界との関係が再び脚光を浴びた形となり、同党にとっては大きな痛手となりそうだ。
 増子氏は3日、自身が監査役を務めていた業者への便宜供与を全面否定した。民主党を離党した前田雄吉衆院議員のように、国会での業界擁護の質問は確認されていない。このため、同党としては、業界から献金を受けていた山岡賢次国対委員長らと同様、問題にはしない方針だ。…

 まったくもってひどい話である。
 なぜ、日本の政党の少なくない部分は、このように企業からのお金に頼るのだろうか。何かしらの見返りを期待してお金が支払われるわけだから。
 民主党が、こうした問題に、きっぱりした態度を持ち得ないもう1つとして、自立した政治資金、つまり主権者の手による献金に依存した政党になっていたことがあるのだと思う。この政党は国からの助成金に依存している。そのことと、この政党が現在の政治の大きな枠組みのなかにあるということとは無関係ではないと思う。このことがもたらす弊害に、この政党は無自覚だ。
 苦労せずお金が入れば、政治への誠実な態度が崩れてくる。政党とは脆いものである。

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子どもの最貧国・日本

4334034705 ものすごくいい本です。最近、光文社新書はいい本をつくていると思いますよ。
 ユニセフやOECDのデータを使いながら、日本の子どもの貧困の実際を明らかにする。その貧困とは、どんな問題なのか、児童相談所の児童福祉司である著者の体験と、アメリカ留学の際の、アメリカの子どもの貧困の実相も紹介しながら、あきらかにする。とくにアメリカは、子どもの貧困大国であるが、同時に、子どもの貧困に向き合う、民間のとりくみと研究のある意味で先進国である。そのことにほとんど関心を示してこなかった日本の「貧しさ」が浮き彫りになる。
 アメリカの研究はおどろくほど豊富だ。子どもの、その家庭の貧困が子どもの発達にどのように影響するのか、そのメカニズムが説き明かされる。その経路は、住宅、ストレス、病気、など多様でもある。

 子どもの貧困が重要なのはわかるが、社会全体にある貧困を解決することが大事なのだと主張する人がいる。もちろん、そのことを何の否定をするつもりはないけれども、子どもの貧困を解決しなければならないのは、特別の理由がある。子どもの発達にかかわる問題なのだから、そのことが社会全体にもつ意味なども、この本は明らかにしてくれている。
 自分の理解の浅さなども教えられた。

 さて、昨日は、つれ合いが、研究会で留守。んなわけで、朝から家事。午後には、職場に出て、インタビュー原稿に向き合う。

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2008/11/02

大学4年生の就職内定「取り消し」相次ぐ、金融危機で

 結局、現在の金融危機でも、波をまずかぶるのは若者ということなのだろうか。いろいろ言うが、若者にまず問題のしわ寄せをするという構造は、バブル崩壊以降まったく変わっていないパターンだ。

大学4年生の就職内定「取り消し」相次ぐ、金融危機で(朝日新聞)

 米国に端を発した金融危機が、大学生や高校生の雇用に影を落とし始めた。ここ数年は「売り手市場」との声さえ聞かれた就職戦線。しかし、「経済情勢の激変」を理由に、一転して内定や求人の取り消しが相次ぐ事態になっている。急速に冷え込む「雇用」に大学や教育委員会は不安を隠せない。 ……

 ネットのニュースを見ても、各地でおこっているようだ。かなり大きな企業もおこなっている。「内定」というのは雇用を保障する労働契約というわけだから、明らかに企業のほうに問題がある。一定の内実があれば雇用契約そのものが成立したともみなされているそうだ。だからこそ、最高裁判例では取り消しは「客観的に合理的と認められ、社会通念の上で相当と是認できる場合」に限っている。法律の知識も少なく、労働組合にも守られていない学生なら、何をしてもいいということなのだろうか。

 まあ、この問題で不誠実な態度をとるような企業に未来はないのだろうけれど。学生たちには、負けずに、くじけずに、自分の道を歩んでもらいたいものだ。

 えっ、うちの息子? まだ、就職は決まっていませんよ。

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2008/11/01

無保険:中学生以下、無条件で給付停止除外対象に…大阪市

 子どもの無保険の問題が、社会的に大きくクローズアップされている。そうしたなかで、いくつかの前向きの動きも生まれてきているのは注目される。

無保険:中学生以下、無条件で給付停止除外対象に…大阪市(毎日新聞)

 親が国民健康保険(国保)の保険料を滞納して保険給付を差し止められ、多くの子どもが「無保険」状態となっている問題で、大阪市は31日、中学生以下は無条件で給付停止の除外対象とする方針を固めた。医療費の全額自己負担が必要になった世帯でも、子ども本人には通常の保険証か短期保険証(期限3カ月)を11月中旬に交付し、必要な医療を保証する。厚生労働省が無保険対策を公表して以降、政令市が独自策を打ち出すのは初めてで、追随する動きが広がりそうだ。…

 たしかに、憲法25条の立場から考えれば、子どもの無保険の問題だけではなく、資格証明書の発行ということ事態が大きな問題をはらむ、一刻も解決をしなければならない問題であることはいうまでもない。そこに政治の責任がある。

 ただ、子どもについては、特別に子どもの権利条約というものが締結されている。
 そこでは第24条で、

 締約国は、到達可能な最高水準の健康を享受すること並びに病気の治療及び健康の回復のための便宜を与えられることについての児童の権利を認める。締約国は、いかなる児童もこのような保健サービスを利用する権利が奪われないことを確保するために努力する。

 と、されている。
 子どもの健康ということについては、特別の責任が国にはあるということも意味する。

 そのことも、政治はよく考えるべきだとも思うのだが。

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歴史認識をうきぼりにする2つの事件

 政府の歴史認識をうきぼりにする事件が続いた。

空自トップを更迭 懸賞論文で「日本の侵略ぬれぎぬ」(朝日新聞)

 航空自衛隊トップの田母神(たもがみ)俊雄・航空幕僚長(60)が「我が国が侵略国家だったというのはぬれぎぬ」と主張する論文を書き、民間企業が主催した懸賞論文に応募していたことがわかった。旧満州・朝鮮半島の植民地化や第2次大戦での日本の役割を一貫して正当化し、集団的自衛権の行使を禁じる現行憲法に疑問を呈している。政府見解を否定する内容で、浜田防衛相は31日、田母神氏の更迭を決めた…

 問題の論文はこれ。ほとんど、駄文というか、実証的な研究の世界ではまったく通用しないもの。一般的なタカ派の主張でも、ここまで中国への侵略は否定しない(苦笑)。もっとも、最悪のタカ派の議論をならべたてたののという感じだろうか。
 だから、一般的な保守の人たちは、これで日本の政治が偏向したものと思われないかと、かなり焦っているようすが、今日の対応からの伺える。もちろん、やっている本人たちはかなり確信犯であり、そういう勢力もある程度存在することも否定ができないのだろうけれど。問題なのは、「軍」のトップにこのような人を任命しているという現実である。

 もう1つ、こんな事件があった。

二審も「軍の深い関与」認める=大江さん著書の名誉棄損否定-沖縄戦集団自決訴訟(時事通信)

 太平洋戦争末期の沖縄戦で住民に集団自決を命じたとする虚偽の記述で名誉を傷つけられたとして、元日本軍守備隊長らが「沖縄ノート」の著者大江健三郎さん(73)と岩波書店を相手に、出版差し止めや慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決が31日、大阪高裁であり、小田耕治裁判長は請求を退けた一審判決を支持、元隊長らの控訴を棄却した。原告側は上告する。
 …小田裁判長は「軍が集団自決に深く関与したことは否定できず、総体としての軍の強制や命令と評価する見解もあり得る」と指摘。直接の自決命令の有無は「証拠上断定できない」とした。
 また、証言や文献などから「命令が通説だった1970年の出版当時は、これを真実と信じる相当な理由があり、公正な論評も逸脱していない」として名誉棄損を否定した。

 この裁判は、教科書検定と直接関係しているのは周知の事実。原告の主張に共感する調査官がいたということも。
 実は、この裁判の原型も防衛省のなかにある。今年1月16日付けの『沖縄タイムス』と『琉球新報』で、防衛省の防衛研究所に所蔵されている沖縄戦関係資料には「戦隊長命令はなかった」「事実の捏造」という所見が付けられていると報道されたことを覚えているだろうか。防衛研究所は、防衛省のシンクタンクだと、省自身がいっている。この防衛研究所のなかに、戦争の実相を歪めようという修正主義の潮流が根を張ってきたということと、今回の空自幕僚長の事件と無関係と言えるのだろうかと。

 政治の中枢部に巣くう、歴史認識をうきぼりにする事件でもあった。

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29保育施設を閉鎖へ、経営難理由に

 ちょっと驚きのニュースである。

29保育施設を閉鎖へ、経営難理由に(JNNニュース)

 保育園や学童保育施設を閉鎖するのは、東京・豊島区に本社のある「エムケイグループ」です。
 エムケイグループは、「ハッピースマイル」の名前で、東京や埼玉などに29の保育施設を展開していますが、資金繰りの悪化などから、これら全ての保育施設を閉鎖することを決めたということです。
 「まだ、把握できていない。(Q.明日もやっている?)基本的には閉鎖するが、本体は全力でやります」(エムケイグループ 初見司副社長)
 このうち、0歳から5歳までの7人の園児が通う中野区の「ハッピースマイル東中野駅前園」では、30日午後10時頃、本社から保育士のところに「倒産したので、明日ですべての園を閉園する」と連絡がありました。
 このため、30日夜から職員が手分けして保護者に連絡し、31日朝、保育園に子どもを預けに来た保護者に対しては、閉園になることを説明し謝罪したということです。
 東中野駅前園は、2か月前にオープンしたばかりでした。 …

 我が家も子どもを保育園に預けて子育てをした。もし、明日から閉園ですといわれたらどうだろう。

 もともと、保育園という制度は、児童福祉法の規制によって簡単に撤退できないような縛りがかかっていた。保育園の建物などは、私的に所有することは許されなかったのだ。ところが規制緩和の株式会社でも保育園が経営できるようになった。それでも追いつかないから、認可園以外の制度の拡大も促進され、この「ハッピースマイル」のような形態が急速に広がったということができる。

 日本は、子育てにかかわって、公的な支出が極端に少ない国だ。それは、もちろん各種手当などの直接的な支出が少ないこともあるが、やはり保育など就学前の制度への支出も少ない。
 子育て支援のかけ声は、勇ましいが、この根本問題を避けたままで、推移してきたことを象徴するような事件でもある。
 もちろん緊急の対策が、行政には求められる。

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