戦争は罪悪である―ある仏教者の名誉回復―
竹中彰元の名前は、聞いたことがあった。真宗大谷派のとりくみも、講演を聞いたり、文章で読んだことがあった。ごく最近、光があたるようになった竹中の考え、当時の仏教界の様子を再現する。
日中戦争がはじまった1937(昭和12)年7月、大多数の宗教者が戦争に協力していく中で「戦争は罪悪。この戦争は侵略である」と説き、検挙された僧侶がいた。真宗大谷派の高僧・竹中彰元。警察の追及にも信念を曲げず、本山からも布教使資格のはく奪処分を受けて、1945年にこの世を去った。…
もちろん、竹中の発言は、日本の侵略のすべてを批判したものではないし、それまでの、朝鮮や「満州」・北支における日本の支配は容認したもののように受け取れる。でも、当時はすでに、戦争に国民を動員する時代である。竹中が処分された陸軍刑法99条は、憲兵政治の根拠になったものでもある。その時代に、「戦争は罪悪である」という発言を、公の場でおこないことの勇気は、いくら田舎と言っても、そのもつ意味はとてつもなく大きい。
「宗教者の戦争責任」ということが言われる。国民全体が戦争に動員された時代である。その動員というものが何であったのか、そこに国民、とりわけ知識人や専門家というものがどうかかわったのかということを問うことは、現在でも通じる、いやいま改めでおこなうべき作業であり。東京裁判などを勉強していても、日本の戦後のなかで、ボクらが十分意識的にと書けてこなかったものが多いから。
学ぶことが多い、そんな番組でもあった。
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