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2008/10/18

貧困研究大会

 なかなか仰々しいタイトルである。そんな研究会に朝から参加した。なかなかハードな一日だった。
 午前中は、「子どもの貧困と健康・障害」という分科会に参加。国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩さんが「子どもの貧困と健康の関係」と題した報告。アメリカの先行研究の紹介の部分は、ちょっとむずかしくて困ったけれど、この人のとりあげるテーマは、なかなかツボを押さえていて、出してくるデータも説得力がある。漠然と感じていた問題が確実に社会の問題としての認識として深まった感じがする。もう1人藤原里佐さんという方が、「障害児とその家族の貧困」と題して報告。たぶん障害観などはちがう立場の刀のだろうけれど、問題の関心領域だとか、養護学校の現場出身の方だけに似通っていて、面白かった。

 昼には、大学時代の先輩であるH大学のYさんと25年ぶりぐらいで再会して、いっしょに食事をした。いま、この分野では、最先端を走っている。

20081018161929 午後からは、「流動社会における新しい貧困のかたち−ネットカフェ調査の結果から−」と題したシンポジウム。住居喪失不安定就労者に関する厚生労働省全国調査について、厚生労働省の方が報告。全国的な調査のもつ意義は小さくはないけれど、大きな限界もあらわにしたような内容。厚生労働省の役人も、真面目にこの課題にとりくもうとはしているのだろうけれども、現在の政治の枠のなかでは、また、現在の厚生労働省のなかでは、限界なのだろう。
 大阪の釜ケ崎支援機構の方が、「『若年ホームレス生活者』への支援の模索」と題して、ここでおこなった、聞き取り調査について報告。これは、ていねいに聞き取った調査でなかなか刺激的だった。その「若年不安定就労・不安定住居者聞取り調査」報告書はココにある。。資料として掲載されている生活誌というのが読み応えがありそうだ。
 研究者の方が、「ネットカフェ生活者の住居と就労の流動性」と題して、研究者がやった調査も報告。
 3つの報告を聞いて、1つは、調査結果が微妙にちがう。さらに、一回きりの調査の限界で、その本質的問題も見えてこない。やはり、調査そのものがあまりにも遅れていて、まだまだ問題に接近できていないという印象。
 2つは、では問題にどう接近するのか。雇用の問題、社会保障の問題、これは後でのべるけれど、問題の構造的なとらえ方が、なかなか見えてこない。
 3つめは、NPOのあり方についても考えさせられた。まちがいなく大きな役割をNPOが果たしているのだけれど、これは、お役所のあり方と裏返しの問題として、国の施策からの独立性をどう考えるのかという問題がある。これだけ、国民統合という側面が強まっている時代である。報告を聞いていて、この問題は気になった点でもある。

 社会政策や社会学をやっている方は、いわば問題をそのまま分析をするという人が多い。だから、問題の構造について語る人は少ない。たとえば「貧困」という問題では、その不可視性などを強調する。渡辺治さんの言うように、単なる不可視性という問題ではなく、隠蔽する日本社会独自の構造=企業社会と地方への利益誘導政治――については、語らない。ボク個人としては、治さんの言う問題だけでは、「貧困」が隠されてきたことについては明らかにできず、やはり、社会の側の認識のあり方のほうにも問題があった、その両方が大事だと思っているけれども。しかし、構造のほうが、なかなか深まらないのはどうなのだろうか?

 研究者の報告を聞いていると、自分の考えていることはせまいなあといつも思う。もちろん、ボクは研究者ではないから、何でも簡単に理解したり、答えを導いたりはできはしない。でも、どれだけ、ちゃんと、研究者の議論に謙虚に耳を傾け、聞いた議論をもとに、いろいろな問題を考えることができているだろうかと考えると心許ない。いまつくっている雑誌だって、本当に、自分は努力してよく考えているのか、自信がなくなってしまう。そんなことをいろいろ考えた一日だった。

 研究会後、職場にもどって、3本ほど短い原稿を処理。それから帰宅。

 明日も取材。いまから、その準備。今日は5時過ぎに起きたので、かなり眠い。

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