戦場 心の傷(2) ママはイラクへ行った
NHKスペシャルでイラク戦争での兵士のPTSDを追いかけたシリーズの2話目。
ものすごく辛い内容だった。
7年前の同時多発テロを機に始まったアメリカの“テロとの戦い”。
アメリカ軍はイラクなどに、総兵力のおよそ11%にあたる19万人の女性兵士を送り込んできた。その3分の1は子供を持つ母親兵士だ。女性兵士に直接、戦闘を行う任務は許されていないが、イラクではどこからが前線なのかが曖昧で、しばしば銃撃戦に巻き込まれるのが現実だ。子どもに銃を向け、殺害することさえある。
これまでにない状況を経験し、その後、故郷に帰還した母親兵士に今、深刻な問題が生じている。戦場で負った心の傷が原因で「以前のように子どもを愛することができない」、「子どもを愛おしく思う心さえなくした」という母親が増えているのだ。マーシーさん(26)は12歳のイラク人少年に突然、背後から銃撃され、撃ち殺した経験からPTSD(心的外傷後ストレス障害)になった。症状は息子を出産した後、悪化した。自分の息子の顔がイラク人少年の顔に重なってしまうのだという。育児が出来なくなり、いまは入院治療を続けている。
イラク人の復興を支えたいと行ったイラクで見た厳しい現実。番組は、家族との葛藤に苦しむ元母親兵士の姿を通して、多くの女性が“前線”で闘うという、これまでにないアメリカの戦争の闇を描く。
この現実に、彼女たちは抗することはできないのだろうか? 結局、この戦争がなぜおこなわれたのか、その責任を問わない限り、傷ついたこころはすくわれないのではないのだろうか。そのことは、実は、人類史的な課題でもあるのかもしれない。
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